蔵前バイオ通信 第74号 2022年6月15日

蔵前バイオ通信 第74号 2022年6月15日
 コロナ禍も安定状態になってきました。外国人観光客の受け入れも再開され、経済活動の活発化が期待されます。私たちの活動においても、有効な感染防止策の実施は引き続き必要ですが、外出しての活動もできる状況になって来ました。対面による会合・調査、現地における実地調査など、これまでの遠隔会議などと合わせて、活動を活発化して参ります。
私達の活動状況と、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。ご利用ください。私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加を期待しています。ホームページより連絡ください。

*******************目次 ***************************

  1. 活動トピックス(編集部)
  2. 技術情報検討会(吉川)
  3. 事業化検討会(岸本)
  4. アルジェ研究会(廣谷)
  5. 熱エネルギー研究会(進藤)
  6. 林業システム研究会(篠崎)
  7. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
  8. Kシステム普及プロジェクト(米谷)
  9. 竹林プロジェクト(篠崎)
  10. ホームページによる情報発信(編集部)

1.活動トピックス(編集部)
2022年通常総会を開催
 5月18日に2021年度の第17回通常総会がオンライン会議にて実施されました。正会員45名の中で、25名の議決参加者があり定足数を満たし、総会は成立しました。総会議案の21年度の事業報告と決算内容を説明後、深田監事から監査結果は適法かつ適正であるとの報告があり、総会議案は全員異議なく承認可決されました。
総会後の説明会は、理事会で承認された事項の報告がなされました。まず21年度の各事業の活動報告と22年度の活動計画について、理事長から、21年度の活動を踏まえ、22年度活動計画の要点が説明されました。次いで、部門別各事業の21年度会計収支実績および22年度の各事業計画の予算を基に収支予測が報告されました。22年度の人事体制は、役員の非改選期なので、現行体制で活動する旨が理事長から報告され、質疑応答を経て説明会は終了しました。尚、総会で承認を得た21年度事業報告と決算内容は、K-BETSのホームページ「私たちの情報」に掲載されています。

 2.技術情報検討会(吉川)

温暖化ガス削減策の中で、CCSは排出されるCO2を回収し地下に貯留するという、最も確実で効果的な技術です。その歴史は古く、石油や石炭の燃焼ガスからCO2を分離する技術は20年以上前から研究され、地下貯留についても油田からの原油の2次回収「EOR]として1970年代から実施されています。そこで、最近の情報を検討し纏めてみました。IPCCは今年の報告書で CO2 の地下貯留容量は 1 兆トンと推定し、パリ協定が掲げる 2100 年迄の気温上昇を1.5℃に抑えるには十分だと述べています。と同時に「技術的、経済的、制度的、生態環境的、社会文化的な障壁に直面している」とも指摘、実用化への難しさを危惧しています。
このような環境の下で、CCSは2021 年に稼働中のプロジェクトが 27 件、計画は 163 件と急増中です。最大の問題はコストですが、経産省が苫小牧市で実施した CCS の大規模試験から算出したモデルによると、CO2 の分離・回収から圧縮・圧入まで含めた費用は、1 トン当たり1万円強となっています。国際的には、IEA が大規模石炭火力の CO2 回収コストは平均トン当たり 45 ドルと試算しています。 日本で排出されるCO2 の大半を処理すると5~10兆円と試算されます。国家予算的には不可能な数値ではないでしょうが、日本には CCS に適した地下貯留層が少ないと言われていますので、地層調査が喫緊の課題となります。

3.事業化検討会(岸本)
事業推進検討会では、最近は下記のようなテーマで活発な議論や検討がされています。1.ポーラス竹炭関連
・融雪剤としての利用
メンバーの軽井沢に住む知人の方が、ポーラス竹炭を融雪剤として使用したところ有効であったとの事例が紹介された。ポーラス竹炭は土壌改良機能もあり、果樹園(リンゴなどなどへの展開が期待できるなどの意見があり、今後さらに検討を進めることになりました。
・竹炭を利用したコンポスト
コンポストに竹炭を利用することで、水分などが吸収されごみの減量化が可能となる案が提案された。大都市では大型の焼却炉による処理が一般的であるが、地産地消の観点から狭いエリアを対象とすることは意義があるとの意見が出され、さらに検討を行うこととなりました。
2.都市型バイオマス資源の有効利用
従来より、横浜市のような大都市のバイオマス資源(街路樹や公園の剪定枝等)の有効利用のための技術(バイオプラ化、バイオ燃料化等)の予備的な調査を行ってきましたが、次のステップとして横浜市の関連団体等を訪問してさらに情報収集を行うことが報告されました。

4アルジェ研究会-日本のBJF生産(廣谷)
・(株)ユ-グレナは17期(2020年10月~2021年12月)を終へて総会終了し、経常利益63憶円赤字となった。これから如何に回復するかが問題である。海外の事業は伊藤忠が担当であるがインドネシアのBJF生産の話は交渉がまとまらなくなり、2025年25万㎘生産の話は夢と消えた。今後はNEDOを頼りに三重県多気郡多気市でバイオディ-ゼル中心に実施する。
・日本のBJF生産をしようとする他のグル-プ、IHIを中心とするグル-プ(ボツリオコッカス使用)、中部電力、三菱日立パワ-システムズ、産業技術総合研究所等FT合成グル-プ等は大幅に遅れていて何時になるか分らない。マツダは進んでいると言うが詳細分らない。今日本ではBJFを確実に出来る会社はない。しばらく待たなければ。

5.熱エネルギー研究会(進藤)
 脱炭素に向けてアンモニアのエネルギー源としての活用動向を検討しました。アンモニアは水素を3原子含み、液化温度はマイナス33℃で、水素のマイナス253℃に比べ常温に近く、輸送・貯蔵の冷却コストが抑えられ、カーボンフリーの水素キャリアーとして有用性が着目されています。
現在、石炭火力発電のCO2排出削減の為に、アンモニア20%混焼の実証試験が碧南火力発電所で実施されています。アンモニア専焼では、重工が4万kW超のガスタービンを25年に実用化する予定です。さらに重工では、20万kW級の大型ガスタービンにおいて、液体アンモニアをガスタービンの排熱600℃で水素と窒素に分解し、水素ガスタービンで燃焼して発電するという研究開発も進めています。これはアンモニア燃焼の問題であるNOx発生の対応が不要となります。また、IHIは、製造から輸送、活用までの供給網全体で技術開発を進めており、オーストラリアで丸紅と組み、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を使う「グリーンアンモニア」の製造・輸出を目指しています。但し、現在、アンモニアは主に肥料用途なので、燃料としての量の確保と生産が今後の課題になります。

 6.林業システム研究会(篠崎)
2022年度の活動計画を策定し総会で承認されました。
昨年度の活動を基盤としてさらに以下を発展させます。
① K システム改良の補助金獲得申請をする。
② K システム実施事例をさらに増やす。
③ K システムの PRを広範囲に行う。
④ 作業安全態勢の改善を具体化して、今年も災害ゼロを達成する。
⑤ Zoom meeting によるオンライン会議を継続する。
⑥当研究会への参加者を増やす。事前連絡で活動会員の状況を把握する。
⑦助成金を獲得するべく申請を継続する。
⑧エコプロ展など適切な出展を行う。学会発表も継続する。

7.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
 Kシステムの更なる改良を行って市場への普及を進めるために、林業機械化協会が公募していた「先進的林業機械緊急実証・普及事業」へ、万全の準備を行って応募しましたが残念ながら6月6日に不採用の通知が届きました。急遽同じ令和3年度の補正予算で(一社)社会実装推進センターが6月13日申請締め切りで公募している「林業分野への新技術導入・実証事業(異分野技術導入・実証)」に応募すべく超特急で申請書作成に取り組みましたが、こちらは準備不足で残念ながら応募を断念しました。これからは特殊滑車の改良を行いながらユーザーの開拓と、来年度の応募案件の検討・準備を進めていきます。

8.Kシステム普及プロジェクト(米谷)
 東工大のロボットの研究をされている先生から、林業機械について取組んでいくのでKシステムが使用されている現場を見たいとのご依頼がありました。KシステムのPRの一環としてコンタクトを進めていきます。

9.竹林プロジェクト(篠崎)
今年度の活動方針は以下の通りです。知恵をお貸しください。
①活動資金獲得のため助成金申請を行う。
②DECA2販売を実現する。
③資金を得てポーラス竹炭の特性究明を推進(ガス吸着挙動、微量元素定量分析)
④各種竹炭商品開発の推進・販売(調湿・脱臭器、新鮮保持剤、入浴剤、融雪剤など)
⑤Uganda プロの再挑戦(有用な情報を多数入手)
⑥林プロジェクトの遂行・継続
⑦NPO、学協会、企業との連携の継続
⑧商標登録(初企画)
⑨展示会出展(費用は林業研)

10.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の活動報告・評論・提言・主張および情報紹介です。
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特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)(https://www.kuramae-bioenergy.jp/)
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