蔵前バイオ通信 第60号 2019年12月15日

メールマガジン蔵前バイオ通信 第60号をお届けします。
本格的冬到来の季節になりました。私たちの活動状況と自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。また、私たちの活動に興味をお持ちの方の参加をお願いします。
蔵前バイオ通信 第60号 2019年12月15日

*******************目次 ***************************
1. 活動トピックス(編集部)
2. 技術情報検討会(吉川)
3. 事業化検討会(岸本)
4. アルジェ研究会(廣谷)
5. 熱エネルギー研究会(進藤)
6. 林業システム研究会(篠崎)
7. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
8. 竹林プロジェクト(篠崎)
9. ホームページによる情報発信

1.活動トピックス
12月5日~7日に東京ビッグサイトで開催された、エコプロダクト展2019に単独出展しました。
主催者側の発表によると14万人余りの入場者がありました。当ブースには100人以上の方が来訪し、延べ16人の説明員が対応しました。熱のこもった質疑の末に「多目的ポーラス竹炭」の小包を買って下さったり、Kシステムの木工モデルを操作したりして楽しんでくれました。(写真)なお、「ミス日本みどりの女神」藤本麗華さんは開場早々に巡回してこられ、私たちを慌てさせました。
 11月29日に群馬で、竹林整備・ポーラス竹炭シンポジウムを開催しました。
群馬のNPO法人フォレスト群馬21が今年もかんぽ生命の補助金で竹林整備・竹炭の利用に関するシンポジウムを開催しました。広島大名誉教授の中根周歩先生の竹炭の効能や利用の実施例についての基調講演のあと、地元関係者や竹もりの里やK-BETSの参加者でのパネル討論と質疑応答が行われ活発なシンポジウムとなりました。群馬でのポーラス竹炭の利用が進み、被害が拡大する竹林の整備が進む事を期待します。

 11月例会後に勉強会を開催しました。
講師 曽田史郎 氏 蔵前バイオエネルギー会員
議題:「ケーブル送電を中心として電力システム」
電気というとらえどころのない用語から始まり、電力ケーブルの構造、なぜ交流か、フェランチ効果、送電経路に関するいくつかの現象、超電導ケーブル、電力システム・系統の難しさなど盛りだくさんでした。 FIT制度による電力への再生可能エネルギーの利用推進に伴い、電力システムの在り方がクローズアップされている中で適切な勉強会であった。
12月例会後に勉強会を開催しました。今回は日本の歴史についてです。
講師 福島巌 氏 蔵前バイオエネルギー会員
議題:日本に古墳時代を招来した男の話
古墳は一般に言われているような天皇や豪族の墓ではない。鉄を運ぶための港として作ったのが最初。その後奈良盆地で灌漑用の池を作るために活用され、稲作が急激に広がった。豊かになった関西地区が政治・経済の中心になるのである。

2.技術情報検討会(吉川)
送電線網の容量不足に関する記事(日経10/11等)が数多く報じられています。FIT制度の下で急増する再エネ発電力に対応できなくなっているためなのですが、非常時用の確保枠や未稼働原発分をもっと再エネにと云う業者の声もあります。その再エネ電力も太陽光や風力発電は、天候による振れ幅が大きく最大値で契約しても平均送電量はずっと少ないと云う事情もあり、簡単ではありません。送電線の新設には大きな設備投資が必要なので、賢い運用で送電容量の余裕を見直そうという動きが国や大手電力からも出ているようです。
この他、最近の技術進歩の話題として、バイオ技術を使った人工「クモの糸」繊維やリチウムイオン電池の最近の進化を採りあげて検討しました。

3.事業化検討会(岸本)
1.ポ―ラス竹炭 市場開発関連調査活動
屋上緑化の基盤材用として、千葉工業大学石原研究室の協力を頂き現在竹炭の保水性等の性能試験が進行中で、来年2月頃には結果がまとまる予定です。またその他の活動としてポーラス竹炭の市場や基礎的情報収集を目的として農研機構やキッコーマン㈱を訪問しました。
2.農作物残渣等のバイオマス燃料化装置の開発支援
K-BETS会員河原井氏のバイオマス燃料化装置の開発支援の一環で、土浦市のベンチャー企業を訪問し技術内容について情報交換を行いました。
3.神奈川県、横浜市での調査活動
K-BETSの地元での活動を行うための調査として、神奈川県森林再生課および横浜市のヨコハマSDGsデザインセンターを訪問し、ヒアリング・情報収集を行いました。

4.アルジェ研究会 FT合成によるバイオジェット燃料(廣谷)
FT合成は第一次世界大戦中にドイツで開発された油の燃科で、原科は石炭でした。その後、米国が改良して木材、都市ゴミのバイオでバイオジェット燃料を造れるようになり、 ロンドンの都市ゴミを使って空港にバイオジェット燃料に用意しています。EU上空は2020年になるとジェット燃料は10%以上バイオ由来でないといけないと決めていて。アジア、米国など20 国がバイオジェット燃料の生産が2020年に営業運転出来るが、日本は出来ません。
日本でFT 合成を研究しているのは中部電力、三菱日立パワーシステムズ、東洋エンジニアリング、JAXAです。研究の対象の原料は木材チップで、 その購入費用はトン当たり1.1万~1.5万円です。水分50%、 油効率は 20%で、燃料生産コストは110~150円/ℓと国の目標100円/ℓを上回る。原料のバイオ原料調達が課題ですが、日本には稲が有り、300万haで栽培されていります。この稲わらは燃すのでなく、集めれば立派なバイオ資源になる。コストを米で回収できるので、稲わらは運搬費だけで安くなります。そのシステムが出来ていない事は残念な事である。

5.熱エネルギー研究会(進藤)
経産省は、再生可能エネルギーの配電に関し、新規事業者が大手電力から譲渡や貸与された“地域の配電網”を運用できるよう免許制度を設ける方向です。地域内の太陽光や風力などで発電した電力は、蓄電池や電気自動車のバッテリーなどにためて利用することで、電力会社を通さず、家庭や工場に直接供給する自立した「地産地消」です。免許を得た事業者は地域の配電網を維持管理する事になり、人工知能やIoTを活用することで運用の効率化が期待されています。この新たな制度は再エネの普及を促すとともに、災害時に大手電力からの電力供給がストップしても地域の電力確保を可能とする狙いもあります。経産省は電気事業法の改正も視野に、2020年代半ばの実現を目指しています。

6.林業システム研究会(篠崎)
この研究会では間伐材集材と竹林問題の二つのプロジェクトを主な議題として検討しています。前者であるKシステムの開発はチェーンシステムによる集材方式の開発が確立され、今後は取扱企業の選定と各地でのデモンストレーションが主な作業になります。後者の放置竹林問題への対処もほぼ同様の経過をたどっています。両者とも活動成果が問われる段階になって来ました。加えて、我々に相応しい次の開発テーマを探します。

.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
Kシステムを使う予定の2か所の現地下見を行いました。
①筑波山東側のスカイラインから下方の斜度35度の入り組んだ沢沿いの杉の人工林。皆伐ですが幅4~50mの複雑に分岐した約200mの集材距離。集材場所は雑木の放置林の下方100m先なので機械の設置場所確保が問題です。
②秩父の三峰神社の先の40度の杉の人工林。距離100m 幅100mの50%の 間伐材の引上げ。道際に機械を設置する場所がほとんど無く斜めに引上げの可能性があるのと、急斜面の作業なので落下の危険が伴います。
いずれもリスクはある現場ですが、他の方法では難しいので是非Kシステムを使いたいとの要望で実施するので、実績を出すチャンスです。

8.竹林プロジェクト(篠崎)
放置竹林問題の解消のために必要なハード関係の開発がほぼ終わり、次はポーラス竹炭の商品開発に勢力を注いでいます。多目的用途を洗い出して、それに適したユーザーを探します。これは大変地道な作業になりますが、これをしないと問題解消になりません。多くの会員の叡智を結集する必要があります。先のエコプロダクツ展では「多目的ポーラス竹炭」と「自然エアコン」ともいうべき空気清浄器を展示販売しました。私たちは商品を開発しますので、それを販売して下さる相手を探しています。

9.ホームページによる情報発信
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題
「新しい1キログラムの測り方」臼田 孝著 2019年10月25日吉澤有介
「世界がわかる地理学入門」水野一晴著 2019年11月15日 吉澤有介
「教師宮沢賢治のしごと」畑山 博著 2019年11月17日 吉澤有介
「ライト兄弟」デビッド・マカルー著、秋山勝訳  2019年11月4日 吉澤有介
「太陽は地球と人類にどう影響を与えているか」花岡庸一郎著2019年11月24日 吉澤有介

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
(https://www.kuramae-bioenergy.jp/)
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