蔵前バイオ通信 第72号 2022年1月15日

メールマガジン蔵前バイオ通信 第72号をお届けします。

昨年、ようやくコロナの新規感染者が低位安定していましたが、オミクロン変異株の出現で怪しくなり、現在第6波のさなかにあります。どうやらしばらくは、対面での研究会などの活動は期待できません。しかし、私たちの活動は、コロナ感染症対策をきちんと行い、積極的に進めています。本号でも私たちの活動による、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加をお願いします。

*******************目次 ***************************

  1. 活動トピックス(編集部)
  2. 技術情報検討会(吉川)
  3. 事業化検討会(岸本)
  4. アルジェ研究会(廣谷)
  5. 熱エネルギー研究会(進藤)
  6. 林業システム研究会(篠崎)
  7. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
  8. 竹林プロジェクト(篠崎)
  9. ホームページによる情報発信(編集部)

 

1.活動トピックス(編集部)
●年頭のご挨拶  米谷理事長
 明けましておめでとうございます。おおむね穏やかな天候に恵まれた新年でしたが世の中は状況は激変しています。新型コロナ騒ぎもさることながら、地球温暖化による異常気象が多発し、COP26では温暖化ガス排出量を2030年には50%、2050年に0に削減することを決定しました。日本は、2030年には46%、2050年に0に削減することを世界に公約しましたが、この目標達成には再生可能エネルギー比率を19年度実績の2倍に引き上げる事や、原発27基を稼働させる事などかなり実現困難な内容です。令和4年度政府予算案では2050年カーボンニュートラル達成のため1000億円が計上されています。この税金が無駄金にならず持続可能な社会の実現に有効に使われることを祈念します。 昨年はK-BETSの活動大きく進展した年でした。今年は、さらに進展させるため、KシステムについてはPR活動を行いながら更なる拡販を目指して、信頼性のアップや使いやすくする開発を進めています。竹関係では炭之助とDECA2の拡販とポーラス竹炭の用途拡大を積極的に展開し、牡蠣の養殖筏の処理や消臭・滅菌の用途など具体的な引き合い・検討が広がっています。さらに、ウガンダなど海外の活動支援も行われるようになりました。
長年懸案であった会員の高齢化や減少についても、ビッグサイトでのエコプロ展への出展の効果もあり、活動に賛同し入会される方が徐々に増えてきています。
今年も世の中の温暖化防止の動きは急速に進みます。バイオマスのエネルギー利用を技術的にサポートするK-BETSの活動は益々重要となっています。昨年にも増して活発な活動を行いたいと思いますので積極的な御参加・ご支援を期待いたします。

  • 12月例会後に勉強会を開催
    「」 講師 田中優子氏 (K-BETS会員)
    小学生2人と夫婦4人暮らしの田中さん、 衣食住の生活に、朝起きてから夜寝るまで実践&実感している炭ライフについての紹介でした。
    話題は古代中国の馬王堆漢墓の炭の存在、炭素原子の解説から始まり、炭パワーを日常に活用するための実践方法など幅広い内容でした。炭の効能として、①遠近赤外線効果、②吸着・デトックス効果、③天然ミネラル効果、④脱臭、調湿・殺菌効果などがありますが、これを、単に利用するのでなく、その効果を科学的に追求、そして、自ら実験をして証明し、工夫をして日常生活に取り入れています。さらにその普及活動を展開し大活躍中です。また、田中さんが小学校時代に活動していた「枯れかけた樹木を回復させるために炭を撒く活動」を大人になって、本格的に再開しました。つい、引き込まれていくような素晴らしいプレゼンで、大変興味深く、刺激的な勉強会でした。
  • 「エコプロ2021」に出展しました。
    理事長+4名の理事会メンバーが準備委員会を結成して3回の準備会を開催しました。それでも種々の不備がありましたが、新入会員の獲得、商談、支援者の紹介、会員の活動範囲拡大、アフリカとのZoom中継、他業種の情報入手などに大きい成果がありました。また、ミス日本みどりの女神のブース巡回時には蔵前ジャーナルに会員募集するための記念写真を撮影しました。その写真をミス日本協会の確認を経て4月号には掲載できることになりました。これを読んで比較的若い会員が入会してくれることを期待します。反省会で討議した結果、次回も出展することに決めました。
  • NPO法人蔵前バイオエネルギーの紹介パンフレットを改訂しました。以下のURLでダウンロードできます。https://kuramae-bioenergy.jp/public-mail_magazine_no/

 2.技術情報検討会(吉川)
日本の森林の高齢化と防災や脱炭素への取り組みに対するコスト障壁に関する日経の記事を検討会で取り上げました。その後、この記事に関しての林業実務家からの反論及びコメントが業界レポートに掲載されていました。高樹齢化への異論と木材価格の経済性評価に関する現業家の立場からの見解を述べたもので、なるほどと思わせられる所が多い意見でありました。なかでも、丸太材に占める伐採運搬コストが70~80%と他の林業国の3倍近いとの指摘は、最近現場活動が多い当NPOも身近に共感するところです。いずれにせよ、山主の林業意欲を維持する制度が必要との思いは共通しています。
検討会では、このほかにも真鍋淑郎氏の気象変動モデル、韓国で大きな問題となった尿素不足、広範囲に影響がでている世界的な半導体不足の原因等について、各種の情報から選んで検討を加えました。
今年も新技術の紹介や技術動向の調査だけでなく、情報の信憑性についてしっかりと検討を加えて行く所存です。

3.事業化検討会(岸本)
事業推進検討会では、ビジネス事業のアイディアの発掘・調査・推進検討を目的として毎月議論を行っています。現在俎上に乗っている案件やテーマは、直接ビジネスには関係しない項目も含めて、約30~40件ほどあり議論を行っています。一般的にマーケティングや商品開発における成功率は俗諺として「千三つ」の言葉があり、アイディアの成功率は3/1000、即ち0.3%位と言われています。そこまでではなく「百三つ」の成功率としても、逆に言えば30件ほどのアイディア・テーマがあれば1件は成功が見込めますので、本年も事業推進検討会では喧々諤々の議論しながら、最低1件の事業化提案が成立するよう目指します。

4アルジェ研究会-(廣谷) バイオジェット燃料について
日本の元首相が2050年にはCO2をゼロにすると国際的に約束をしました。それによって日本の進む方向は決まったと思います。ジェット燃料に焦点を当てましょう。石油由来のジェット燃料は大量のCO2を排出します、バイオジェット燃料に変えていくことが必要です。日本政府は製品として100円/ℓ以下と決めている。したがって、そのバイオ原料は量が確保でき、かつ安価でなければなりません。
世界でバイオジェット燃料を造るのに成功している原料は4つあり、それは都市ゴミ、廃木材、廃油、そして排ガスである。それを実施している国、地域は欧州、アメリカ、中国、インドであり、生産国としては21ヶ国です。日本は未だその有利な原料を利用していません。利用しない原因は種々あるにしろ、バイオジェット製品ゼロである。日本のユーグレナ社は藻でバイオジェット燃料を造ろうとしています。他の国による実績が無い事をしようとしているわけで。製品として量の確保ができ実用化出来れば快挙と言えるます。計画どおり進む事を願っています。

5.熱エネルギー研究会(進藤)
脱炭素に向けて水素やアンモニアの発電利用の研究開発が進められています。太陽光発電による水素製造は福島でも実証事業が実施されていますが、発電利用の課題は水素の量の確保になります。その架け橋として、日本原子力機構(JAEA)は「高温ガス炉」からの高温熱を利用して、水から熱化学法により水素の量産を目指した実証開発をしています。その状況を当研究会にて報告しました。JAEAの熱化学法による水素製造技術は世界でも先行しており、水素の安定供給が期待されています。英・米・中でも高温ガス炉を含む小型原子炉を脱炭素の重要技術に位置付けて、開発を進めているようです。
今後、クリーン・エネルギーの供給は大規模から、熱や水素も含めた分散型エネルギーへの移行が進むと考えられます。当研究会では、今年も主に分散型エネルギーの需給、特にバイオマスに関しては地産地消型の資源によるエネルギーの利活用について検討し、情報交換をしたいと思っています。

6.林業システム研究会(篠崎)
今回の活動の主要内容はエコプロ2021への単独出展でしたので、それを概説します。①準備会の開催:今回は経費の値上がりで予算オーバーしました。
②前日の設営と連携団体との懇親会:NIMSとの昼食会、林業関係者との懇親会
③初日のミス日本みどりの女神来訪応対:会員募集の印刷物とチラシを事前準備作成
④新入会女性会員の参画:4月に入会した若い女性活動家にエコプロを体験してもらった。
⑤ウガンダとのZoom会議:駐在女性会員のバイオ炭製造による女性地位向上計画を報告
⑥NIMS協力者の展示:共同実験した熱電発電素子を展示し、廃熱利用をPRした。
⑦次回開催時の配慮:年度初めからの準備が必要、展示品・方法の改良が必要そのほか

7.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
秩父大滝での急斜面・大径木の伐倒・集材で予想以上の過酷な条件で使われた結果明らかになった課題、現場の作業に携わった林業家の意見・要望について、多面的な検討を加え、解決を図ってきました。たとえば、ダメージを受けた部品などの強化を行い、要望のあった特殊滑車については、発生する荷重の測定や滑車の挙動の確認の試験を工場で実施し、試作品の設計製作を進めています。

8.竹林プロジェクト(篠崎)
 炭化炉の販売について若干の進展がありました。竹材の利用後廃棄物を用いてポーラス竹炭を製造する計画を支援しています。代表者は行政に働きかけて市ぐるみで体制作りをしていますが、担当者の理解がなかなか得られないので、当方が理論的に回答をしてきました。ここにきてやっと最終段階に来た模様です。前例ができれば一気に普及します。 一方、ポーラス竹炭を用いた商品開発も徐々に進展しています。粒度調整が意外に大事であることが分かってきました。実験協力者も増えています。
新入会員が日本財団に提案したビジネスアイディアが優秀賞を獲得しました。快挙です。今後どのように発展実施されるか大いに期待が持たれます。全体で支援します。今年も新たな課題に向かって進みます。JICAの再挑戦は何としても成し遂げたい。

 9.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の活動報告・評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題・調査・活動報告 (ダブルクリックでリンク先情報が表示されます)
「ヒマラヤの高峰」深田久弥著、山と渓谷社ヤマケイ文庫、2021年⒓月刊 2022年1月12日 吉澤有介
「砂と人類」-ヴインス・バイザー著  2022年1月5日 吉澤有介
「関さんの森の奇跡」関 啓子著、新評論2020年1月刊  2021年12月23日吉澤有介
「ポスト・ヒューマニズム」岡本裕一朗著、2021年12月12日 吉澤有介
茅ヶ崎バイオマス発電所 見学報告2021年12月4日 岸本、進藤
「魚にも自分がわかる」幸田正則著、ちくま新書、2021年10月刊2021年11月30日 吉澤有介
日本の山林に適した集材装置の開発 2021年11月28日 宮地
「富士山大噴火と阿蘇山大爆発」巽 好幸著、幻冬舎新書、2016年5月刊 2021年11月17日吉澤有介

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)(https://www.kuramae-bioenergy.jp/)
〒108-0023東京都港区芝浦3-3-6
キャンパスイノベーションセンター801号室

カテゴリー: メルマガ:蔵前バイオ通信 パーマリンク