3年ぶりの行動制限のない年末年始を過ごし、新型コロナは収束するかに見えましたが、第8波といわれる感染者数の増加が続いています。予断を許さない状況ですが、私達の活動はこれに負けないように、用心深くかつ活発に進めてまいります。本年もどうぞよろしくお願いします。
今回も、私達の活動状況と、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加を期待しています。ホームページより連絡ください。
*******************目次 ***************************
- 活動トピックス(編集部)技術情報検討会(吉川)
- 事業化検討会(岸本)
- アルジェ研究会(廣谷)
- 熱エネルギー研究会(進藤)
- 林業システム研究会(篠崎)
- Kシステム開発プロジェクト(米谷)
- 竹林プロジェクト(篠崎)
- ホームページによる情報発信(編集部)
1.活動トピックス(編集部)
●「熊本県森林・山村多目的機能地域協議会 令和4年度 施業技術講習会」において篠崎理事が招待を受け「ポーラス竹炭の利活用」と題して講演しました。詳細はこちらをご覧ください。
●東京ビッグサイト12月7日~9日開催の「エコプロ2022」にNPO蔵前バイオエネルギーとして出展しました。活動のポスター主体のブースとし、加えて、私たちの2大製品であるチェーン式集材装置と、ポーラス竹炭炭化炉の模型を製作展示して、来訪者の関心を集めました。未来を担う多数の小中学生や高校生たちがエコプロを社会勉強の場としており、当ブースにも多数来訪してくれて、彼らの学習をサポートできました。また、自伐林業家、竹林の処理に頭を悩ませている方、SDGsに関心がある企業の方等の来訪を得ることができました。詳細はこちらをご覧ください。
●新たな活動として公開講座「水と環境」を開講いたします。詳細はこちらをご覧ください。
2.技術情報検討会(吉川)
新年に相応しい明るい話題がネット情報の中にありました。 Wired US 発信の情報です。
サハラ砂漠で太陽光と風力で発電した電力を、英国に輸送する壮大なプロジェクトが始まっているようです。発電規模は英国の総電力需要の8%に相当する10.5ギガワットで、8,400㎞を4本の高圧直流電流(HVDC)ケーブルを海底に敷設する事で実現させようとする壮大な計画です。工期は2023年~2030年、総工費は記載されていませんが3兆円を超える投資が進められていると記載されています。英国は既にアイルランド、フランス、ノルウェー等とのケーブルネットワークが出来ており、再エネ電力の変動分は吸収可能としています。まだ難問も沢山残っていると予想されますが、それだけに期待する声も大きいと思います。この情報については今後もフォローして行くつもりです。
検討会では、この他にも再エネ蓄電技術に関する調査検討やカーボンプライシングの種類と実施方法に関する政策についての検討も行いました。今年も多くの技術情報の中から新技術に関する知見が得られる情報を紹介し、また各種情報の信憑性を追求して行く活動を続けてまいります。
3.事業化検討会(岸本)
●木質バイオマス資源の利用技術について(その1)
現在日本では国内に豊富にある木質バイオマス資源、国内の森林による建築木材の利用過程で発生する端材、家屋建て替えなどによる廃材、また都市の公園や街路樹の剪定枝等の膨大な木質バイオマス資源などが有効に利用されていない状態となっています。最近ではバイオマス発電の燃料として利用されるようになっていますが、さらに有効かつ多面的なバイオマス資源の利用技術の開発が必要と考えられます。この利用技術の開発についてK-BETSのメンバーが調査した概要を、今後数回にわたり簡単に報告します。
●横浜市 リサイクルプラントによる堆肥およびチップの製造
横浜市グリーン事業協同組合では、市内で発生する公園や街路樹の剪定枝や伐採材を市内にあるリサイクルプラントで、一般園芸用・農家用として堆肥の製造、および建材ボード用チップの製造を行っています。年間の処理量は約5,000トンで、堆肥化のために熟成期間が必要で横浜全域の剪定枝等の発生量には対応は出来ていないようです。
●茅ヶ崎市 都市型バイオマス発電所
2021年8月、茅ヶ崎市郊外に㈱都実業により稼働開始した出力規模2MWの都市型バイオマス発電所です。現在国内のバイオマス発電所が、燃料の多くを輸入バイオマスに依存していますが、本発電所は近郊の公園・街路樹・一般家庭の剪定枝等を燃料として使用している都市型バイオマス発電所であり、エネルギーの地産地消と言えます。首都圏では、このような都市型バイオマス発電所はすでに横須賀市にあり、埼玉県の東松山市にも設置が予定されています。
4. アルジェ研究会 エネルギ-への遺伝子組み換え (廣谷)
食品の遺伝子組み換えは世界では進んでいます(例えばトウモロコシ、ダイズ)。しかし日本では保守的で、それでも食品の調達は国内生産を含め有る程度出来ています。しかしバイオエネルギ-、特にバイオジェット燃料(BJF)、あるいはSAFは現在では日本では試験的なものしかなく生産はありません。間もなく廃食油、FT合成、藻等が出て来る可能性が有りますが、その中に遺伝子組み換えが入る可能性があることを期待したい。そのやり方により思わぬ原料、大量製品の可能性があります。
実際の例を示します。Lanza Tech社(米国)はCO2、COを原料とし、遺伝子組み換えバクテリアで嫌気発酵を実施、アルコ-ルを造り、重合しバイオジェット燃料としています。CO2、COは工場の各工程で出て来るが利用する事が必要です。微生物にはゲノム編集を含めて実施の余裕が有ると思います。バイオジェット燃料においては可能性が高いです。まだやる事は沢山あります。
5.熱エネルギー研究会(進藤)
企業は脱炭素経営(主にCO2排出量削減)を目指し、事業活動において再エネ活用を推進しています。国際的なRE100(Renewable Energy 100%の略)への参加企業も増えています。我が国の再エネは太陽光発電が主流ですが、近年はパネルの設置に適した土地が少なくなり、新たな設置場所を工夫した発電事例を検討しました。事例として、NTTの子会社は千葉県千葉市若葉区や香取市の空き地を利用して太陽光発電をし、その電気をセブン&アイグループの首都圏店舗に供給するという電力販売契約(PPA)をし、お互いの脱炭素経営に寄与しています。またソニーの事例では、農家所有の牛舎屋上に太陽光パネルを設置し、発電した電力をソニーの工場へ送電する形態や自社所有の物流倉庫の屋根にパネルを設置し、遠隔地の事業所に送電するという自己託送をしています。これらは分散型発電・利用の典型とも言えます。
6.林業システム研究会(篠崎)
①熊本県森林組合連合会から講演依頼が届きましたので11月22日に講演しました。その概略は上記報告のとおりです。
②今年も12月7~9日のエコプロに単独出展しました。昨年同様、当ブースに多くの人が来訪してくれました。前の林野庁長官も激励に見えました。
③上記来訪者の中から当NPO法人に入会者が一人現れました。連携NPO法人竹もりの里の推薦によるものでした。1月15日に竹林整備現場を案内することにしています。
④コロナ禍の活動に十分注意しておりますが、普段の生活での感染者が発生しています。第8波の感染者数は従来の方法で数えると、第7波をすでに上回っているそうです。どおりで死者数が過去最多を更新しているはずです。安全には十分気を配る必要があります。
7.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
昨年は残念ながらKシステムの使用実績はありませんでした。しかし、例えば2名といった最低限の作業者で集材を効率的に行い、作業性の向上に大きく寄与する無線による運転操作の実地試験を八ヶ岳の山林で行い、距離、地形の起伏、樹木の状況など、どのような条件で確実に操作できるかを明確化し、Kシステムの集材距離200mまで使用可能な技術を確認しました。
次に、懸案の、障害物を回避して牽引するのに有効な特殊滑車の改造品を製作し、今月、山梨の工場でテストを行い、その後、実際の山林で有効性を確認します。これらを踏まえ、本年はシステムのさらなる改良と、実際の作業に使用する働きかけを積極的に進めます。
エネルギーをめぐる状況は昨年来大きく変化しており、森林資源の地産地消に適したKシステムの必要性は益々高まっていくと感じています。
8.竹林プロジェクト(篠崎)
今年度の活動方針に対する現状の進捗は以下の通りです。
①活動資金獲得のため助成金申請を行う。➡いまだ成功せず。
②DECA2販売を実現する。➡販売が1台確定しました。
③資金を得てポーラス竹炭の特性究明を推進(ガス吸着挙動、微量元素定量分析)➡ガスの吸着挙動が助成金未獲得のため未実施です。自費で計画中
④各種竹炭商品開発の推進・販売(調湿・脱臭器、新鮮保持剤、入浴剤、融雪剤など)➡学会発表実施 新しくアンケートによりニーズを絞り込む作業を開始しました。
⑤「Ugandaプロ」の再挑戦➡ウクライナ侵攻により当面は活動停止状態です。
⑥「林プロジェクト」の遂行・継続➡林氏が再加入してくれました。
⑦NPO、学協会、企業との連携の継続➡企業との連携を鋭意努力中です。
⑧商標登録(初企画)➡決め手がなく未実施
⑨展示会出展(費用は林業研)➡エコプロは完了、エコメッセちばは自費公開中です。
⑩新規1➡竹イノベーション研究会発表の成果として、熊本で招待講演を実施(上記)
⑪新規2➡千葉県茂原市在住の農家高貫清一氏(賛助会員)から真竹の処分を依頼され、ポーラス竹炭を製造しましたが、天候不良のため続きを1月中に実施します。
9.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の活動報告・評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題・調査・活動報告 (ダブルクリックでリンク先情報が表示されます)
「年輪で読む世界史」 2023年1月15日 吉澤有介
野鳥物語 秋ー初冬編 2023年1月13日宮地利彦
「前方後円墳とはなにか」2023年1月10日 吉澤有介
「昆虫学者、奇跡の図鑑をつくる」2022年12月25日 吉澤有介
「こうして絶滅種復活は現実になる」2022年12月20日 吉澤有介
「SDGsな野生動物のマネジメント」—2022年12月10日 吉澤有介
特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
(https://kuramae-bioenergy.jp/)
〒108-0023東京都港区芝浦3-3-6
キャンパスイノベーションセンター801号室
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