蔵前バイオ通信 第82号2024年1月15日

メールマガジン蔵前バイオ通信 第82号(2024年1月15日)をお届けします。
2024年元日は、東京では晴天となり穏やかな日になりました。しかし、能登半島地震の発生、それに続く羽田空港の衝突事故など、波乱の新年になりました。このような状況のもと、私たちは、慎重かつ大胆に、活動を展開して参りたいと思っています。
今回も、私達の活動状況と、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加を期待しています。ホームページより連絡ください。

*******************目次 ***************************

  1. 活動トピックス(編集部)
  2. 技術情報検討会(吉川)
  3. アルジェ研(廣谷)
  4. 熱エネルギー研究会(進藤)
  5. 林業システム研究会(篠崎)
  6. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
  7. 竹林プロジェクト(篠崎)
  8. ホームページによる情報発信(編集部)

1.活動トピックス(編集部)
2023エコプロ(2023年11月6日~8日、東京ビッグサイト)出展しました
今回は、2点の新しい取り組みを実施しました。Kシステムに特化した展示としたことと、小中高生の環境学習の場として「環境学習向け展示情報」に登録したことです。前者ではチェーン駆動装置、V滑車、荷掛けに使用するフック、戻り滑車をほぼ実物と同じ機能を持つ木製模型を使用してその特徴・対象作業などを体験できる形としてPRを行いました。後者では、小学生にもわかる内容のチラシを作成し、模型を操作しながら学習してもらうことができました。次年度は、ポーラス竹炭を主体に展示する予定です。
公開講座 水と環境 第3回 開催
12月9日、オンライン形式で開催しました。講演は次の2件で、好評でした。
(1)「山田堰と堀川用水物語」
講演者:福岡県朝倉市秋月博物館 学芸員 乙藤 慎(まこと)
(2)「生き物と人と風景が溶け合う越戸川」講演者:和光自然環境を守る会 会長 峯 岸 正 雄
上記2件のプレゼン資料をHP「公開講座  プレゼン資料」に掲載しましたのでご覧ください。また、第4回を2月24日に予定しています。HP活動予定で予告いたします。

2.技術情報検討会(吉川)
アラブ首長国連邦で開催されていたCOP28では化石燃料からの転換を参加各国に求める成果文書に合意したと報道されています。
パリ協定で合意された産業革命前からの世界の平均気温上昇を2℃未満・出来る限り1.5℃未満に抑制するための温室効果ガス排出削減努力に関して、各国が決めた貢献(NDC)の現状把握が行われました。その結果、各国は2050年までにネット・ゼロ(温室効果ガス排出実質ゼロ)を達成するために、エネルギー・システムにおいて化石燃料を転換していくことを約束しました。
また、2030年までに再生可能エネルギーの発電容量を3倍、エネルギー効率を2倍にすることを目標としました。新たに気候変動の悪影響に伴う損失と損害に対応するための基金を含む資金措置の制度の大枠に関する決定も採択されました。しかし、合意文書からは、初期の草案にあった「化石燃料の段階的な廃止」という文言がなくなりました。これは、産油国や石炭火力を推進する国々の反対によるものです。
参加各国はこの合意に基づいた気候変動対策を実施することが求められています。
COP28は、気候変動対策における一定の前進を示したと言えますが、まだまだ不十分な点も多く残されています。2023年の世界の平均気温は観測史上最高を記録したと予測されています。このままでは1.5℃の目標値を達成する事は困難ではないでしょうか。今後、日本を含む各国は、より野心的な気候変動対策を実施し、国際社会に貢献することが求められます。
検討会ではこの他に、最近のリチウムイオン電池の製造についての解説記事や温暖化ガス排出権取引の動向に関する情報等を取り上げて議論を交わしました。今年も多くの技術情報の中から興味深い情報を取り上げて紹介するともに、各種情報の信憑性を追求して行く活動を続けてまいります。

3.現状のSAF(廃食油利用)   アルジェ研(廣谷)
飛行機の燃料JFは過大なCO2を出し、よってバイオでBJFあるいはSAFに変える必があります。日本はバイオが得意ですがSAFの実績がありません。欧米、中国は着々と準備しています。色んな方法が有りますが廃食油について述べます。廃食油に関して穀物油、動物油、魚油、植物油を含めてNeste Oil(フィンランド)が実施しています。年間生産量200~400万㎘です。Dynamic Fuels(米)は廃調理油を原料としSAFとしてKLMに供給しています。Sinopec(中国)は北京の廃食油を使用して東方航空のSAFとして使用しています。
日本は何をしていたのか。IHIは藻ボツリオコッカス(神戸大、榎本教授)をタイで大きく培養する計画が有りました。又ユ-グレナ社はユーグレナ(ミドリムシ)をインドネシア、コロンビアで培養する計画が有りました。それ以降自然に消えました。藻の先進国である米国は藻でのSAFの研究後コスト降下が不能である事、SAFには広大な表面培養面積が必用である事もあり止めています。米国を乗り越えて日本がやろうとしています。その結果2024年日本は実績ゼロ。
遅ればせながらENEOSは廃食油でSAF40万㎘(25年)を生産予定です。又コスモ石油と三井物産が共にバイオ油を処理し22万㎘(27年)供給する予定です。今度こそ信じます。

4. 熱エネルギー研究会(進藤)

アンモニアのエネルギー利用が着目されています。日本の電源構成では、現在約3割が石炭火力であり、2030年目標の原発電源が2割となっても、石炭火力はまだ約2割が必要とされています。この石炭火力のCO₂削減を目指すべく、アンモニア混焼が進められています。愛知県碧南石炭火力発電所(出力100万kW)では、2023年から4年間の実証試験でアンモニア20%混焼を目指す計画があります。日本の全ての石炭火力で20%の混焼が実現されれば、電力部門では約10%のCO₂排出削減につながると試算されています。
但し、このアンモニア原料の水素は水電解からのグリーン水素、又は化石原料による水素製造において、CCS等によりCO₂を除去したブルー水素の製造が必要です。燃料用アンモニアは新たに製造する必要があるので(既存のアンモニアは肥料や化学品で需要あり)、水素の量確保とコスト高の問題があります。更に欧米からはアンモニア混焼は石炭火力の温存(延命)につながるとの批判もあります。現実ではアジア圏を含め主要国の電源構成では石炭火力発電が平均約35%あり、混焼はCO₂削減への過渡期とも捉えられます。IHIは混焼技術から得た知見により、将来はアンモニア100%専焼発電技術の開発を目指すとあり、この実現が期待されます。

5.林業システム研究会(篠崎)
(1)12月6~8日開催のエコプロに出展しました。今年はKシステムのPR展示を主体にすることにして準備をしました。今年はコロナが終息し、多くの関係者のブース立寄りがありました。とくにKシステムモデルの改善によって子供や女性たちも大はしゃぎでした。
(2)友人と富山県を旅行した際に「ナラ枯れ」の光景を探したのですが、1本も見つかりませんでした。それよりも日本海側に起点を持つ活断層による震度7、MG7.6の能登半島地震によって新年が始まりました。Kシステムと先導キャップなどによる林業機械、あるいはポーラス竹炭による融雪剤の新しい出番が予測されます。
(3)早生桐に関する打ち合わせをNPOや企業とで打ち合わせを行いました。早生桐は落葉樹であることが判明しました。次回は早生桐林の実際の場所を見学します。

 6.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
南都留森林組合関係
12月11日に杉本商店を訪問し以下の打合せを行いました。
・10月に下見したKシステムを使う予定の森林については、「森林施業提案書」を森林組合が作成中<収支が厳しい>、すでに作業道の入り口の工事は開始、Kシステムを使うのは8月以降。
・杉本社長から<Kシステムは集材だけでなく運搬その他いろんなところに使える優れたシステムだ。考案中の新造林システムではチェーンを途中で吊り上げるジグザグ滑車があると良い。新造林システムの試験は別の場所で実施する。
・開発中として、日建でのテストやエコプロ展での模型の挙動を動画て説明。
・次回打合せは1月下旬。
2、エコプロ展
・V滑車を主体にした新しく作り直したKシステムの模型が好評。小中学生だけでなく森林や環境の専門家など多数の方にKシステムのPRが出来ました。
・立寄られた佐野市在住の方から<栃木では手入れがされず放置された森林が多くある。Kシステムを使って出すことを地元の関係者に紹介したい。とりあえず県庁に栃木の森林の状況を聞きいてから今後の進め方を相談する>とTELがありました。
K-BETSへの入会とKシステムの使用先候補としてフォローします。

7.竹林プロジェクト(篠崎)
(1)ポーラス竹炭の連続式大量生産方式を検討中です。道路や屋根の融雪剤としてのニーズが新たにクローズアップされました。斬新なアイディアを募集します。
(2)ポーラス竹炭の性質のうち、まだ解明していない性質があります。それは熱伝導率と電気伝導度です。今後資金を工面して測定します。
(3)茂原市でのポーラス竹炭の製造と販売が軌道に乗りそうな気配になってきました。竹林プロの活動に新しい拠点が生まれそうです。K-BETS茂原支部とでも呼びましょう。今は亡き福島特別顧問が応援してくれています。

8.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の活動報告・評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題・調査・活動報告 (ダブルクリックでリンク先情報が表示されます)
低温「ふしぎ現象」小事典—0℃~絶対零度で何が起ころか–2024年1月6 吉澤有介
「小説で読みとく古代史」-神武東遷、大悪の王、最後の女帝-2023年12月25日 吉澤有介
「超・長寿の秘密」—110歳まで生きるには何が必要か– 2023年12月13日 吉澤有介
「星空をつくる機械」—プラネタリュウム100年史–  2023年12月7日 吉澤有介
「アンテイキテラ」古代ギリシャのコンピュータ 再掲
「古生物出現!空想トラベルガイド  2023年11月22日 吉澤有介

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
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