蔵前バイオ通信 第63号 2020年6月15日

蔵前バイオ通信 第63号 2020年6月15日

メールマガジン蔵前バイオ通信 第63号をお届けします。
新型コロナウィルス感染拡大防止のための非常事態宣言は解除されました。しかし、第2派の恐れもあり気が許せない状況です。我々も不要不急の外出自粛を続けています。そこで、IT利用レベルを引き上げることに挑戦し、通常総会をはじめ外部関係者を含めた、オンライン会議を開催して活動を続けています。この新しい活動様式を定着させて、活発な活動を進めてまいります。
本号でも私たちの活動による、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加をお願いします。
蔵前バイオ通信 第63号 2020年6月15日

*******************目次 ***************************
1. 活動トピックス(編集部)
2. 技術情報検討会(吉川)
3. 事業化検討会(岸本)
4. アルジェ研究会(廣谷)
5. 熱エネルギー研究会(進藤)
6. 林業システム研究会(篠崎)
7. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
8. 竹林プロジェクト(篠崎)
9. ホームページによる情報発信(編集部)

1.活動トピックス(編集部)
●5月20日通常総会をオンライン会議で開催しました。
初めてのオンライン会議で会ったが15名の参加を得て無事成立、議事報告など滞りなく進められて。
●オンライン会議について
数回のリハーサルを行い、運用ノウハウを積んできた。これまで、田町で行われていた研究会そのほかの会議をこれまですべて、オンライン会議で実行できたことは喜ばしいことである。また、田町の談話室等で行っていた会議と比較して内容的に引けを取らない会議になっていると考えます。
今後は、参加者はオンライン会議を意識した、準備と会議進行のスキルを向上させる必要があります。また、会議システムであるZoomシステムの機能を調査し、さらに良い結果を出せる会議にしていきたい。
●チェーン式集材装置(Kシステム)使用予定地現地調査
K-BETSメンバー2名と協力関係者2名で、6月5日に9月以降にKシステムの使用が予定されている秩父の現場において状況調査を行いました。ここでは、約1000本の集材を予定しています。現地は、ほぼ中央に尾根があり南、北にそれぞれ最大斜度約45度の斜面が広がる杉林です。地形、距離、斜度などを確認し、Kシステムによる集材が可能と考えられます。今回の情報をもとに実施方法について具体的に立案検討していきます。

2.技術情報検討会(吉川)
 新型コロナウィルスの感染拡大により、多くの人々が犠牲となり、経済活動も大きく後退しました。この影響で、2020年の温暖化ガスの排出量の減少が過去最大になるとの試算が国際エネルギー機関(IEA)等から発表されています。IEAによれば、2020年のCO2排出量は前年比8%減(約26億トン)と予測され、リーマンショックの08年がごく僅かに減少したのを除けば、史上初めてと言える大幅な減少です。
 一方、”パリ協定”が掲げている“産業革命からの気温上昇を1.5℃に抑える”という温暖化防止の努力目標は、年間7.6%のペースで減少させる必要性を説いています。これはパンデミックと称される今回の感染爆発での減少幅とほぼ同じです。いかに温暖化ガス削減という課題が大変なのか、まざまざと見せつけられたという感じです。
これからの経済回復過程で、反動的に増加の方向に向かう事が予測されますが、“これを機会に、経済回復とクリーンなエネルギーへの移行とをいかに結び付けて行くのか”が問われているのです。治療薬やワクチンの開発により、ウィルスとの共存は可能でも、温暖化防止の特効薬は無さそうです。

3.事業化検討会(岸本)
ポーラス竹炭関係の活動
・ポーラス竹炭について
竹林プロジェクトチームと連携した活動において以前報告した通り、千葉工業大学石原研究室では竹炭の屋上緑化用土壌改良材としての研究を今年度も引き続き行って頂く予定で、また千葉県畜産総合研究センターでは竹炭の畜産用途開発のための予備的試験を今年度行って頂くことになりました。今後はこれらの研究成果をもとに、千葉県内の園芸資材企業や畜産資材企業へのアプローチを積極的に行い事業化を目指します。その他竹炭の活性炭機能を活かした果物のエチレン吸収剤としてのアイディア等の検討も行っています。
・その他について
最近外部の方より相談頂いた案件で、海外(アフリカ、東南アジア)でのバイオマスを利用したエネルギーなどの資源有効利用案件がありました。これらはK-BETSが今までに蓄積した知見や情報が十分活用できると思われ、今後事業推進検討会でも議論することになると思われます。その他、横浜市での事業化活動案件や新規案件の発掘を今後とも継続して行っていきますので、会員の方からの提案をお持ちしています。なお開始を延期していますが現在の新型コロナウィルス感染の問題が収束した後には、工場・研究所の見学会を予定していますので、その際には積極的な参加をお願いします。

4.アルジェ研究会(廣谷)
2019秋に蔵前バイオ講演で、私が尊敬するRITEの乾将行氏の講演が有りました。この人を選んだのはいまの時に極めて適切な人を選んだものだと思います。講演内容は「今は温暖化が進んでいる。そのためにはバイオジェット燃料を造る必要が有る。その為には遺伝子組み換えも必要である。そしてバイオジェット燃料の中心はC9~C15である」ということでした。それまでは良く分かります。しかし、それ以上分からなかった人も居るのでないかと思います。講師はコリネ菌(コロナ、コレラではない)で発酵実績を重ねていると言います。コリネ菌はアミノ酸を造る菌です。
55年前、某社の研究所で、蔵前出身の私にリジンの生産性を高める研究をしろと言う命令が来ました。普通は微生物の専門家の仕事ですが、やって見ようと思い、生産性を2倍にする事が出来ました。当時その菌はミクロコッカス・グルタミカスと言われて。アミノ酸C9~C15ではありませんでした。
講師は現在、ブタノールを遺伝子組み換えエコーライで検討している様です。戦争中日本の戦闘機はブタノールを2分子結合したイソオクタンを添加した燃料で戦っていたという情報があります。これはC8であるから目的に近い。また、リグニンの分解物を検討をしていますが、それはエネルギーが高く添加物としては適切と思います。しかしバイオジェット燃料の中心であるC9~C15はどうやって造るのでしょうか。コリネ菌の遺伝子組み換え菌で油が出来るのであれば良いなと思いますが。蔵前後輩の乾さん、頑張れ。

5.熱エネルギー研究会(進藤)
経産省(資源エネ庁)は、再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取組みを進めています。日本の再エネは太陽光に偏っていますが、発電コストは欧州の約2倍であり、コストダウンの加速化が課題となっています。また、国民負担(賦課金)が増大し、FITからの自立化も課題です。これらの対応の一環として、近年FITが見直され、小規模以外は入札制度に移行しています。更に、長期安定的な事業運営を確保する為に、再エネは、地域活用電源とする検討もなされています。例えば、自家消費の住宅用や小規模事業所の太陽光発電、災害時対応・復活強化への活用、地域循環型のバイオマス熱電併給、RE100に対応する再エネ需要への適応などです。また系統接続ルールを設定し、再エネに対応する系統の開放を目指しています。

6.林業システム研究会(篠崎)
(1)通常総会などに続いて、林業研にとって初めてのWeb会議を開催
アフリカのウガンダで活躍している日本人女性(大学院生)にもZoom meetingに参加してもらい、言わば国際会議となりました。これはウガンダの都会と地方との生活の格差を縮めようとする活動で、近いうちにJICAへの申請を計画しています。具体的にはバイオ炭を燃料用に生産し、都会に供給するストーリーです。打ち合わせのために4月に帰国する予定がコロナ禍の規制によって大幅に遅れています。
(2)間伐材集材:Kシステムの評価が定まりつつあり、なお多くの現場でのデモンストレーションを予定していますが、これもコロナ禍をやりくりして進行中です。
(3)竹林整備:ハードの開発として最後に残っているのが「先導キャップ」ですが、その方向性が定まってきたので、今後は試作と現場実験を行う予定です。
(4)助成金完了報告:一社ヤンマー資源循環支援機構の助成金を得て活動を行いました。その完了報告書を作成して郵送しました。事務局はテレワーク中なので、4月中に届いたのかどうか不明ですが、書き留にしているので安心です。

7.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
トッピクスの項をご覧ください。また、新開発デバイスの特許出願を進めています。

8.竹林プロジェクト(篠崎)
(1)海外支援
東南アジアやアフリカへの支援の協力依頼があります。いずれもポーラス竹炭に関係していますが、農家への技術支援や地方の貧困家庭への支援です。いずれも雇用を生み、生活の安定と向上につながる技術支援です。ウガンダからの協力依頼は当NPOのホームページを見てくれた人からなされました。HPの大事な役目で世界に繋がりました。
(2)国内支援
国内でも特定のニーズがあり、技術支援を依頼されて現在、竹用炭化炉の導入検討が進められています。一般に廃棄物と考えられているものが立派な資源であるということは、最近になって種々の例で示されています。放置竹林もそれに該当します。環境省では「竹は伐採した途端に廃棄物として処理されなければならない」とされます。つまり焼却場へ搬入して燃やすべき存在になるのですが、そんな馬鹿なことがありますか?!
(3)助成金申請
NPO活動は資金が無いばかりに進捗が遅れます。活動資金があれば複数の課題を並行して進めることが出来ます。今年度も助成金を獲得すべく、申請先を探します。

9.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題
「小泉文夫フィールドワーク」小泉文夫著 2020年5月22日 吉澤有介
「ジャンボ・ジェット機はどう飛ぶか」佐伯亦男著 2020年4月27日 吉澤有介
「怨霊と縄文」梅原猛著 2020年4月7日吉澤有介
「ウィルスは生きている」中屋敷均著 2020年3月20日吉澤有介
「対論!生命誕生の謎」山岸明彦・高井研 共著 2020年3月16日吉澤有介
「昆虫は美味い」内山昭一著  2020年3月11日 吉澤有介
「大恐慌のアメリカ」林 敏彦著 2020年4月29日 吉澤有介

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
(https://www.kuramae-bioenergy.jp/)
〒108-0023東京都港区芝浦3-3-6
キャンパスイノベーションセンター801号室
ご質問等は本メルマガの返信メールでお寄せください。

カテゴリー: メルマガ:蔵前バイオ通信, 活動情報 タグ: パーマリンク