英国、全党議会グループがエタノール混合燃料E10の導入を推進 2018/8/2 荒川英敏

ロンドン便り その172

英国の国会議員で構成されている党派を超えた全党議会グループは、現在の英国の自動車燃料混合物にさらにエタノールを加えることで、道路から70万台の自動車が削減されるのと同じくらいにCO2削減が可能になると、発表した。

英国のバイオエタノール燃料を推進する、全党議会グループは、E10燃料の迅速な導入で、英国のバイオ燃料産業に対して、£10億(1400億円)/年の売り上げ増に貢献できる、と  述べている。

全党議会グループによると、E10燃料とは、10%エタノールと90%ガソリンの混合物で、現在、小麦またはテンサイから作られたエタノールは、最大5%までガソリンに混合されているが、それを10%にするというものである。エタノールの原料となる小麦やテンサイは英国では多く生産されているので、調達は容易である。


英国の農場で多く生産されている小麦の収穫風景(出所:BBC Home Page)

2015年、ドイツ自動車メーカーによるディーゼル排出ガススキャンダルによって、予期せぬ結果の1つは、ガソリン車の販売台数の急増で、燃料の販売に大きな影響を及ぼした。
自動車排ガスのCO2削減は、低炭素社会を目指す政府の計画の重要な柱の一つである。 バイオエタノールが作られる原料の小麦は、成長するにつれてCO2を吸収するからバイオエタノールを混合したE10燃料の導入は意義深いことである。

全党議会グループの議長のニック・ダキン議員は、「自動車のCO2削減は、容易なことではなく、一夜にして車がすべてが電気自動車(以下、EV)に切り替わるわけではないし、そうだとしても現在の電力網では、全てのEVに電力を供給するための容量不足も事実である。EVは、自動車の排ガスに対する長期的な解決策であるが、E10は今直ぐにでもCO2削減に貢献できる、比較的簡単な手法である」と、述べ、更に「また、これは政府にとって最優先事項でなければならず、遅くとも2020年までにE10を導入すべきでだと政府に要請して行く」と、述べている。

既に、フランス、ドイツ、ベルギー、フィンランドでもE10が導入されており、中国やインドなど他の国でも同じように設定されている。ブラジルでは、最小エタノール含有量は現在27%となっている。環境面では、大気汚染と気候変動への取り組みに貢献できる、よりクリーンで環境にやさしい燃料であり、E10の導入によって、英国で新たに約6,000人の雇用の可能性があり、英国も導入を急ぐべきである。

出所:BBC News 2019/7/17付け 環境担当者記者:マット・マクグラスより

https://www.bbc.co.uk/news/science-environment-49003496

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