英国の大手スーパーなど食品廃棄物半減を誓約 2019/7/14 荒川英敏

ロンドン便り その171

 英国の大手スーパー、小売店、政府に2030年までに食品廃棄物半減を誓約し署名

6月13日、英国の主要スーパーマーケットを含む、食品の大手100社以上が、政府の   環境・食糧・農村地域省(DEFRA)からの行動要請を受けて、食品廃棄物を半減する画期的な行動をとるという誓約書に署名を済ませた。署名した主な食品大手は、アスダ、コープ、コスタコーヒー、セインズベリー、スターバックス、テスコ、M&S、モリソン、ネスレ、ユニリーバ、ワールドワイルドライフファンド等である。

誓約書は以下の方法で、食品廃棄物の削減を求めている。

・国連の持続可能な開発目標12.3に沿って2030年までに食品廃棄物の半減を目標。

・食品廃棄物削減ロードマップの作成。

・行動に優先順位をつけ、進捗状況の報告。

今年初め、政府は、食品業界による食品余剰および廃棄物の年次報告を政府がどのように導入するかを定めた、その画期的な「資源および廃棄物戦略」に基づいて、食品廃棄物削減に取り組むフェーズ1の£1500万(20億円)の変革計画を開始している。政府はまた、2030年までに食物廃棄物を半減させ、国連の持続可能な開発目標(SDGs)12.3を支援することを、公約としている。

現在英国では、年間約1,020万トンもの食品廃棄物が出ており、その価値は約£200億  (2兆6千億円)にのぼる。英国の家庭では、食べられたかもしれないが捨てられてしまう食品に、毎年£150億(2兆円)を費やしていると推定され、世帯当たり、年間約£500    (7万円)に相当する。年間の食品廃棄物1,020万トンのうち、180万トンは食品製造から、100万トンは飲食業から、27万トンは小売り業から、残りの約700万トンは家庭からのものである。

DESRAのマイケル・ゴーブ大臣は、次の様に語っている。

非常に多くの英国の食品業者が、食料廃棄物を削減するための変革的な行動に取り組んでいることを嬉しく思う。英国はこの分野で真のリーダーシップを発揮しているが、現実は、毎年何百万トンもの食料が無駄になっている。私たちは一緒になって、環境的および経済的スキャンダルである食品廃棄物問題を終息させる覚悟である。

食品廃棄物激減キャンペーンのリーダーのベンリオット氏は、食品廃棄物問題は集団的行動によってのみ解決することができる。そのため食品廃棄物の大半を占める、家庭や  職場向けには、必要な食品だけを購入し、購入分は全て食べる習慣を啓蒙して行くと、  述べている。

世界的な食品大手ネスレUKのCEO、アゴステイニ氏は、食品廃棄物は環境的、社会的観点からも重要な問題であり、私たち全員で削減の役割を果たすべきである。私たちが協力して、私たち自身の事業、サプライチェーン全体で食品廃棄物を減らす努力をして、さらに家庭で食品廃棄物を減らすように、消費者を支援することが重要であると、述べている。

大手スーパーのセインズベリーのバッチェラー取締役は、食品廃棄物は、今日の社会が現在直面している最大の課題の1つであり、温室効果ガスの排出と気候変動に取り組むという私たちの総合的な対応の本質的な部分である。セインズベリーとして食品廃棄物問題に取り組むことが緊急かつ重要な優先事項であり続けている、と語っている。(了)

出所:https://www.gov.uk/government/news/uk-supermarkets-sign-government-pledge-to-help-halve-food-waste

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