蔵前バイオ通信 第92号2025年11月15日

メールマガジン蔵前バイオ通信 第92号(2025年11月15日)をお届けします。今回は主に9~10月の活動報告および自然エネルギーそして環境情報をご案内いたします。どうぞ、ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加を期待しています。ホームページより連絡ください。

*******************目次 ***************************

  1. 活動トピックス(編集部)
  2. 技術情報検討会(吉川)
  3. アルジェ研究会(廣谷)
  4. 熱エネルギー研究会(進藤)
  5. 林業システム研究会(篠崎)
  6. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
  7. 竹林プロジェクト(篠崎)
  8. 地熱研究会(清田)
  9. ホームページによる情報発信(編集部)

 

1.活動トピックス(編集部)

1)地球表面の約70%を占める、海をテーマに専門の先生方を招いて第10回目の公開講座を11月21日(金)午後3時から開講します。多数のご参加を期待しています。参加には「公開講座参加申し込み」をクリックしてください。
2)恒例のバイオマスセミナーの開催(蔵前工業会主催、蔵前バイオエネルギー共催)を準備しています。開催日は2026年2月19日です。総合テーマ:「森林資源循環型社会の形成とバイオマスの役割」として、①酒井秀夫氏 (一社)日本木質バイオマスエネルギー協会会長、東大名誉教授 題目:日本の森林の維持・育成とバイオマス利用の状況と今後の課題、②赤松伯英氏 (株)大林組 技術本部 環境・エネルギーソリューション部長 題目:木材と森林の循環利用に向けての2件の講演を予定しています。ご期待ください。

2.技術情報検討会(吉川)
世界的に再生可能エネルギー(以下、再エネ)の発電コストが着実に低下していることを受け、関連情報を整理・検討しました。

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)の報告によれば、2023年に導入された再エネ発電設備の総容量は473GWに達し、そのうち約81%に相当する382GWの均等化発電原価(LCOE)が、化石燃料による火力発電のコストを下回ったとされています。

再エネの中でも、太陽光発電のLCOEは前年比で12%、陸上風力は3%、洋上風力は7%それぞれ低下しており、今後もこの傾向が続くと見込まれています。また、太陽光発電の設備利用率も、2010年の13.8%から2023年には16.2%へと約17%改善しており、技術進歩の成果が確認されています。

一方で、変動性電源の導入が進む地域では、送配電網の強化や定置型蓄電池の導入が不可欠です。系統網の増強には巨額の設備投資と長期にわたる許認可手続きが必要なため、近年では技術革新によりコストが大幅に低下した定置型蓄電池の導入が加速しています。

再エネの導入は順調に進んでおり、2024年末時点で世界の累積設備容量は4.44TWに達しています。しかし、2030年までにCOP28で合意された11.2TWの目標を達成するには、今後毎年1TW以上の新規設備導入が求められます。
IRENAは、米国トランプ政権による関税引き上げや地球温暖化政策の転換が再エネ市場に悪影響を及ぼす可能性について懸念を示しています。特に、関税措置により太陽光発電のLCOEは最大18%、定置型蓄電池は20%上昇するとの予測があり、サプライチェーン全体への影響も大きいと見られています。さらに、米国のパリ協定離脱はCO₂排出量の増加に加え、国連など国際機関への資金拠出の減少を招き、気温上昇を1.5℃以内に抑えるという国際目標の達成を一層困難にしています。
こうした状況の中、2025年11月にブラジルで開催予定のCOP30では、今後の国際的な方向性がどのように議論されるかが注目されます。
国内では、採算性の高い大規模メガソーラーの建設計画が急増していますが、開発に伴う環境破壊や景観への影響などが社会的課題として顕在化する事例も増加しています。再エネ推進と環境保全の両立は、既に重要な検討課題となっています。

3.アルジェ研究会(廣谷)
評論・提言・主張「世界の大衆がEV,HVを決める 2025年11月14日 廣谷 精」をご覧ください。

4.熱エネルギー研究会(進藤)
石油由来の化学品や燃料使用を削減し脱二酸化炭素を推進すべく、森林資源を活用してバイオエタノールを製造し化学品へ展開する技術開発が進められています。このバイオエタノールは非可食性のセルロース系バイオマスからの製造なので、これまでのトウモロコシなどの可食性原料(E1G)とは区別して、次世代のバイオエタノール(E2G)と呼ばれています。木材などのセルロースは分解技術が困難ですが、製紙会社はパルプ製造などでの技術を有しているので、日本製紙や王子製紙などが木質原料のバイオエタノール製造に取り組んでいます。バイオエタノールは脱水してエチレンになるので、その誘導化学品や燃料用途への展開を目指しています。製造コストは今後の検討課題と思われますが、森林資源を有効活用し、食料とも競合しないバイオエタノール製造の実用化が期待されます。

5.林業システム研究会 (篠崎)
(1)今年も12月中旬開催のエコプロに向けた出展準備が始めました。今年の出展テーマは林業機械であるK-システムがメインになります。今後は展示物を製作したり、資料を作成したりの作業を行います。今年は展示したモデルをブースに立ち寄ってくれた「みどりの大使」に操作してもらい、動画を撮影して今後のPRにさせてもらいます。
(2)熱帯における伐採の方法がまずい。熱帯では皆伐した後に木が生えてこないのだそうです。それは当然でしょう!森林があるから土地の乾燥が防止されているのですが、皆伐したら土壌は乾燥してしまいます。これを防止するには南北に列状間伐を行わなければなりません。樹木の高さが30mだとして、30mの幅で間伐すると、上空から太陽光が入るのは90°の角度の時間、つまり6時間だけで済みます。そうすれば乾燥を防止することができるのです。このような簡単なことを知らない日本の商社が熱帯雨林を荒らしまわっているようです。ある講演会でこのような惨状を知りました。

6.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
(1) 12月に開催のエコプロに出展します。今年は手動で動くK-システムの模型と、実物のチェーンとその連結環、チェーンに集材木を取り付ける特殊フックを展示します。また、Kシステムで可能な山越え集材や、資材運搬機能についてもポスター展示を行います。
(2) 飯能市と大林組が「森林利用に関する基本協定」締結しています。2025年7月にプラチナ構想ネットワークが提唱している「ビジョン2050日本が輝く森林循環」の森林資源フル活用事業のモデルプランの一例として公表されました。これから飯能の伐採木の搬出困難な山林を含めた森林・林業の再生・利用に向けた具体的活動の検討が始まります。Kシステムの活用を提案して参ります。
(3) Kシステムの開発において、構造設計、試作を請け負い具体的に進めていただいた生田さん(生和サポート・元日立建機)が9月7日に逝去されました。生田さんが保管されていた特殊滑車(V滑車)をご自宅に伺い引取りにました。奥様は「生田は大変穏やかな人で家庭でも仕事でも頼まれれば決して断らず、何でも引き受けていて、引き受けた仕事は一人で完成させていました。Kシステムの事は最後まで気にしていました」とコメントされました。Kシステムがここまで来られたのは生田さんのおかげです。改めて御冥福をお祈りいたします。

竹林プロジェクト(篠崎)
(1)河野理事が他の活動団体の支援のために退会しました。
①開発 この数年間で「先導キャップ」という実用新案を取得しました。
②途中 開発途中の新しい竹炭、竹炭を使った商品開発がありますが、後任に引き継いでもらいます。
③その他 公開講座「水と環境」は河野理事が企画して第9回まで開催しました。今後も継続されます。
(2)長崎県から竹林整備とポーラス竹炭の製造について見学希望があり、提携NPOを案内しました。
①期日 10月18日(土)竹もりの里、19日(日)いすみ竹炭研究会の2か所
②場所 千葉県長生郡長柄町鴇谷の竹林整備、いすみ市椎木大栄寺境内にてポーラス竹炭製造
③来訪 女性2人(長崎から牧野亜衣さん・埼玉から小林結子さん) 篠崎がマイカー送迎
④結果 二人はてきぱきと安全に作業を習得しました。昼食が美味しかった。
このように我々が開発した竹林整備法と竹炭製造法が全国に、世界に広まることを期待します。

8.地熱研究会(清田)
第8回地熱研究会を行いました。テーマ 「地球環境 日本はどうなる、世界はどうなる」
日本は現在、世界第5位のGDP大国です。 自動車生産では世界第1位のトヨタを擁する工業国であります。しかし、日本経済研究所によると、一人当たりGDPで2024年現在29位だが、2075年には45位に落ち込むと予測されています。
「最大の問題は、日本の少子高齢化であろう。この問題を解決できるのは「地球エネルギー活用」である。」というリーダーの主張に対して、参加者から様々な意見が出ました。K-BETSとしてこれからどう取り組むべきか、今後議論していくことになりました。

9.ホームページによる情報発信(編集部)
今回は、吉澤会員による本の紹介その他(サロンの話題)です。
「水の戦争」 2025年11月8日 吉澤有介
「戦国の食術」—勝つための食の極意-2025年11月5日 吉澤有介
「進化を超える進化」—サピエンスに人類を超越させた4つの秘密—2025年11月3日 吉澤有介
「神社の古代史」 2025年10月31日 吉澤有介
「先生、シロアリが空に向かってトンネルを作っています!」 2025年10月25日 吉澤有介
「野鳥物語 夏~初秋編」  宮地利彦
20世紀科学論文集「プレート・テクトニクス」 2025年10月22日 吉澤有介
「ローマ教皇」—伝統と革新のダイナミズム— 2025年10月15日 吉澤有介
「氷河が融けゆく国・アイスランドの物語」   2025年10月10日 吉澤有介
「タネまく動物」—体長150センチのクマから1センチのワラジムシまで— 2025年10月7日 吉澤有介
「葛飾北斎 本当は何がすごいのか」  2025年10月5日 吉澤有介
「台湾の日本人」—証言と史料が示す親日のルーツ—2025年10月3日 吉澤有介
「足軽の誕生」—室町時代の光と影—2025年9月24日 吉澤有介

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
https://kuramae-bioenergy.jp/
〒108-0023東京都港区芝浦3-3-6
キャンパスイノベーションセンター801号室
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