「身近な鳥の生活図鑑」  2026年3月1日 吉澤有介

三上 修著、ちくま新書、2025年12月刊   著者は1974年松江市生まれ、東北大学大学院を修了して博士(理学)。現在は、北海道教育大学函館校准教授です。鳥の行動や生態、とくにスズメなど都市に棲む鳥類の研究が専門です。著書に「スズメの謎、身近な野鳥が減っている?」(誠文堂新光社)、「スズメ—つかず・はなれず・二千年」(岩波書店)などがあります。
日本には約600種の鳥がいます。一年中いる鳥に、ある特定の季節にだけ見る鳥もいて、前者を留鳥、後者を渡り鳥といいます。その一部が街の中に暮らしていました。一年を通じて50種ほどが見られます。では、鳥たちにとって街すなわち都市とは、どのような環境なのでしょうか。都市とは、それまで森林や草原や湿地だったところを、人が暮らしやすくするために、つい最近につくった人工的な場所です。もともと生態学者たちの研究対象ではなかったのです。しかし、ここにも独自の生態系があることが、次第にわかってきました。
まず、人が密集して住んでいます。そのためにイタチ、キツネなどの哺乳類、ヘビなどの爬虫類、大型のワシやタカなど、鳥たちにとっての天敵が少ないのです。植物でも、公園などでは、自然界以上に多様な種類が揃っています。街路樹もあり、気温の変化が少なく、水も豊富です。一部の鳥たちが、この環境にうまく適応するようになってきました。
その代表はやはりスズメでしょう。日本中どこにもいて、人を恐れません。大きな群れをつくって都市で生活しています。個体は全長14,5cm、重さは23gで、オスとメスの違いが少なく、ほとんど見分けがつきません。巣の場所は、家の軒下、戸袋、鉄骨やパイプの中などで目立たず、子育ては年2~3回、4~6個の卵を産み、2週間で孵化します。秋になると数千羽の大群となって、鳴き合いますが、鳴く意味はまだわかっていません。住宅の構造変化で、生息数は減少傾向にあり、街の雑草や害虫の駆除など、今後問題になりそうです。
ハトは、世界に約300種、日本には10種がいますが、街に多いのはドバトとキジバトです。世界では古くから、カワラバトを通信用に改良して、伝書鳩をつくり出していました。日本に輸入され、逃げ出して野生化したのがドバトになりました。ドバトは植物食ですが、雛にはミルクを飲ませます。ハト類に共通なピジョンミルクには。豊富な栄養がありました。
キジバトは古くから日本列島にいました。本来が山鳩なので、都市では神社や公園の深い林を好みます。大きな鳴き声に特徴がありました。ハトたちは特別の歩き方をしていますね。
カラスには、ハシボソカラスとハシブトカラスの2種がいて、それぞれが住んでいるところ、行動、気性が違います。都市にいるのは主にブトで、生ごみをあさり、攻撃的で、小鳥の雛を食べ、人をも襲います。ホソは、郊外にいて、クルミを車に割らせて食べていました。
ツバメは人の近くに巣をつくります。人に天敵から守ってもらい、農害虫を食べるという相利共生関係になっていましたが、近年は減少傾向にあるようです。この頃目につくのは、ハクセキレイです。もとは北日本の沿岸にいましたが、なぜか都市で急増しています。独特の尾を振る動作に、飛び方にも特徴があります。公園には、キツツキの仲間コゲラもいます。身近な鳥にも、新しい発見がありました。じっくり観察して楽しむことにしましょう。了

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