「巨大地震はなぜおきるのか」—日本列島にせまる脅威–2026年2月25日 吉澤有介

監修/遠田晋次 ニュートン、2026年1月刊  監修者は、東北大学大学院理学研究科を終了して理学博士。専門は地震地質学、主な研究テーマは、活断層、地震連鎖、断層相互作用の研究で、現在は東北大学災害科学国際研究所教授です。著書には「連鎖する大地震」、「活断層地震はどこまで予測できるか 日本列島で起きていること」など。本書は「本当に感動するサイエンス超入門」シリーズの一冊です。
地震には主に「プレート境界地震」と、「プレート内地震」があり、多くの巨大地震は、「プレート境界」で発生します。日本列島は、まさに4枚のプレートの境界にありました。このうち太平洋プレートは、地球上最大のプレートで、年間8㎝という速さで沈みこんでいます。海洋プレートが沈み込むと、大陸プレートには大きな力が加わるので、多くの断層を形成します。日本列島には2000以上の活断層があり、それらが動くと「内陸型地震」となり、その多くが私たちの住まいの近くで起きるので、「直下型地震」とも呼ばれています。
近年、巨大なプレート境界地震の発生が予想されているのが、「南海トラフ」です。M9クラスが、いつ起きてもおかしくありません。恐ろしいのが津波です。発生した津波の速さは、水深4,000mでは時速700㎞、陸地に近い水深200mでも、時速160㎞になります。2025年の高さ予想では、関東から九州まで10m以上、土佐清水市では34mとされました。津波は、30㎝でも大人が動けなくなり、1mで致死率100%になります。まずは逃げなければなりません。観測網はありますが、大阪市では2時間後に、3,8mの津波が襲来するのです。
首都圏は、1923年の大正関東地震が発生して、関東大震災をもたらしました。プレート境界地震で、繰り返し発生しています。海岸段丘の年代でみて180~590年の間隔でした。

しかし現在、警戒されているのは、M8級の関東地震よりも、M7 級の首都直下型地震です。30年間で発生する確率が70%とされました。2008年、編著者らによる新たな仮説「関東フラグメント」が注目されたのです。太平洋プレートの先端部が千切れて破片となり、厚さ25㎞、幅100㎞ほどの小プレートが、関東平野の直下40~100㎞に横たわっているといいます。1980年~2005年に発生したM5,5以上の地震は、千葉県北西部、北東部、東京湾北部、茨城県南部で、ここに地震の巣がありました。「関東平野直下地震帯」と呼んでいます。
大地震は連鎖します。「応力電波」という現象でした。大正関東地震では、11時58分に神奈川県西部でM7,9の本震があり、12時1分に東京湾でM7,2の余震が発生しました。東京では、余震のほうが大きく揺れています。南海トラフも関東に連鎖するかも知れません。
では大地震の前兆は、あるのでしょうか。近年の研究でも、短期の予想はできなません。ただし、変化傾向は知られています。活動にサイクルがありました。2011年3月の東日本大震災では、震源の東側で1か月前からスロースリップが発生し、最大M5 クラスの地震が多発していました。2日前にM7,3が発生しました。どうやらこちらが本震で、M9を誘発したらしいのです。本書では、最近の能登半島巨大地震も詳細に論じています。南海トラフと富士山噴火が連動する可能性もあります。巨大地震では、まず緊急避難ですが、どのようにして命を守り、生活してゆくか、最低3日間の自助努力が強く求められています。「了」

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