「リハビリ専門病院に入院して」  2025年7月18日 吉澤有介

皆さんは、リハビリ専門病院をご存じでしょうか。実は私も殆ど知りませんでした。それが思わぬことから突然入院して、つぶさに体験することになったのです。
今年の3月下旬のことでした。早朝に自宅の玄関先で突然のめまいに襲われて転倒し、気づいたときには右腕が骨折していました。救急車で国立埼玉病院に搬送され、応急手当を受けましたが、右上腕部の厄介な螺旋骨折とのこと。通常は手術が必要でしたが、私の年齢が95才と高齢のために見合わせ、自宅に帰されてしまいました。やむなく近所のかかりつけのクリニックに相談したら、リハビリ病院への入院をすすめられ、それが大泉の自宅に近い和光市にあるリハビリ専門病院だったのです。
近くの国立埼玉病院からの要請で、5年前に開設されたばかりとのことでした。
どの大病院でも、腦疾患やケガで手術や治療を終えた患者を、完治するまで入院させてはおけません。次の患者のために、早くベッドを空けなければならないのです。そのニーズに応えたのがリハビリ専門病院でした。ここで私は精密診断の結果、部分麻酔による手術を薦められ、系列の整形外科病院で、右上腕に針金を4本入れました。まさに筋金入りです。完治までの筋力と脚力維持のためのリハビリに入りました。
リハビリとは、病気やケガなどで身体や心に障害を抱えた人に、再び社会生活を送れるように運動機能や心の回復を支援する活動で、高齢化社会では、とくにそのニーズが高くなっていたのです。その活動に従事するのが、理学療法士、作業療法士や言語聴覚士などの国家資格を持った専門家でした。厳しい国家試験に合格しています。
和光の病院でも、70人ほどの患者が、殆ど車椅子で入院していましたが、通常の支援や介護の職員とともに、30人近くの若いリハビリ専門スタッフが揃っていました。さらに4月には新人が11人も加わったのです。ほぼ男女同数で、ベッドや各種の機器を揃えたリハビリフロアが、一そう明るくなりました。しかも、その殆どが地方の高校時代に各種競技の部活に熱中して、県大会レベルなどで活躍したアスリートたちでした。大学の保健学部を経て、資格を取得しています。それに皆さん揃ってイケメンでまた可愛いい。その上、実に礼儀正しいのです。言葉遣いも申し分ありません。
入院中の高齢者に、孫世代の彼らが親しく触れて、背中、越、太ももから足先まで、筋肉を丁寧に揉みほぐし、ストレッチを繰り返します。自然と会話も弾み、それだけでリハビリ効果が上がっていました。車椅子から歩行訓練へと進みます。
一般に高齢者は、加齢→病気やケガ→要支援→要介護→施設入居の流れで、介護問題が深刻な話題になっています。トラブルも絶えません。しかし、リハビリ病院には明確な使命がありました。一時的な障害があっても、リハビリで自宅回帰、社会復帰を目指します。これほど若くて溌剌とした職場は稀でしょう。私も3カ月で退院しましたが、若い人たちとの交流は実に愉しく、貴重な社会勉強となっていました。「了」

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