蔵前バイオ通信 第87号2024年12月15日

蔵前バイオ通信 第87号2024年12月15日

メールマガジン蔵前バイオ通信 第87号(2024年12月15日)をお届けします。現在、エコプロに出展、バイオマスセミナーの開催、公開講座の実施など啓蒙活動にも力を入れています。また、地熱研究会を開始しました。私達の活動状況と、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。どうぞ、ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加を期待しています。ホームページより連絡ください。

*******************目次 ***************************

  1. 活動トピックス(編集部)
  2. 技術情報検討会(吉川)
  3. アルジェ研究会(廣谷)
  4. 熱エネルギー研究会(進藤)
  5. 林業システム研究会(篠崎)
  6. 地熱研究会(清田)
  7. Kシステム開発プロジェクト(米谷)
  8. 竹林プロジェクト(篠崎)
  9. ホームページによる情報発信(編集部)

 

1.活動トピックス(編集部)

・12月4日~6日東京ビッグサイトにて開催のエコプロ2024に出展

今年は、当NPO開発の開放型炭化炉DECA2を中心に、ポーラス竹炭、炭の利用を主要なテーマで展示しました。小学生から社会人まで幅広い支持を得られ、大変好評でした。詳細は活動報告エコプロ2024に掲載しますのでご覧ください。
・「2024年度 蔵前工業会バイオマスセミナー」開催

「持続可能な脱炭素社会への取り組み」をテーマとして蔵前工業会主催、蔵前バイオエネルギー共催で2025年2月20日、Zoomによるオンラインで開催します。詳細は開催案内をご覧ください。

・公開講座「水と環境」第8回

「王子製紙における森と水の循環による環境への取組」を2025年2月6日に開催します。詳細は開催案内ご覧ください。
公開講座「水と環境」第6回、7回 を開催しました。
講座内容 第6回 (1)「オープンファクトリー精練の世界」、(2)「織布産業構造を一変させた日産シャトルレス繊維機械の頑張り」
講座内容 第7回  (1)魚介類養殖における水質汚濁防止、(2)世界の水紛争
上記2回のプレゼン資料をHP「公開講座  プレゼン資料」に順次掲載しますのでご覧ください。

2.技術情報検討会(吉川)
大気中に放出された二酸化炭素(CO2)を取り除く技術(DAC)の技術開発が世界中で進められており、パイロットプラントも建設されていると報道されています。このDACが実用化され大気中のCO2濃度を下げることが出来れば、地球温暖化を防ぐことができると期待されているのです。
この技術に関して『WIRED』のコントリビューターである物理学者が、大気中のCO2を取り除くのに必要なエネルギー量を、熱力学の基本的な考え方を適用して算出しています(雑誌『WIRED』日本版 VOL.53)。算出されるのは理論上の最小値で、実際には効率を考慮する必要があります。また、分離したCO2を移送したり、隔離したりするのにもエネルギーが必要です。計算結果から、現在、世界中で排出されているCO2を回収するためには、おそらく1,000基以上の原子力発電所が必要になると著者は予測しています。DACの建設費とこれらの運転経費を考えると現実的とは言えないでしょう。
現時点では、CO2を除去する最も効率的でコストも安い方法は植物の光合成を促進する事であり、森林を保護し、森林面積を増やす政策を世界で協力して進める必要があると考えます。

3. アルジェ研・・EV大手デスラの影、HVの発展・・・(廣谷 精)
EV大手のテスラの発表したのは2024年4~6月期決算は、最終利益が前年同期比45%減の14億7800万ドル(2300億円)となり、2四半期連続の減益となりました。世界的EV販売の低迷で業績不振が続いています。多くの企業がEVに参入し「テスラにとって困難な状況となっている」と同じ問題にあっている筈です。
イ-ロン・マスク最高経営責任者(CEO)は決算会計説明でにがにがしく説明しました。売上高は蓄電池関連が伸びで2%増産ですが、営業費用をカバ-出来ず減益となりました。EV販売は5%減の44万3956台で、2四半期連続のマイナスとなりました。テスラのEVの世界のシェアは約2割でトップですが、米国では新しい技術への関心が高い富裕層へ、意外と販売が広がらず、フォ-ドに追い上げられています。中国ではBYDでの競争で、競っているがBYDは自身苦労しています。世界の車の10%はEVとなっています。
HV(トヨタ)は、スタ-ト時は、電池で電気モータ-を動かします。順調に動き出せばエンジン(ガソリン)が動き出し、充電が始まります。トヨタHVは2023.3月期に272万台、2024.3月期に359万台に売れました。

4.熱エネルギー研究会(進藤)

持続可能な航空燃料(SAF: Sustainable Aviation Fuel)」として、廃食油、植物などのバイオマス原料からジェット燃料製造の実用化が進められています。世界各国の多くの航空会社が、「2030年SAF10%利用」を目標に技術開発と実証生産をおこなっています。SAF導入を拡大していくには安定的な原料確保が課題です。廃食油は世界的な需要増加で供給量が不足し、価格が高騰している状況の様です。植物系では、トウモロコシやサトウキビを原料としたバイオエタノールからのSAF製造技術がありますが、この様な可食原料は使用制限されており、非可食植物あるいは廃棄物によるバイオエタノール製造の技術開発が進められています。日本の石油元売企業では大規模SAF製造の取り組みを開始しており、エネオスとコスモ石油では廃食油原料、出光興産と太陽石油ではバイオエタノールによるSAF製造の技術開発・実証の取り組みをしています。またエネオスと出光興産ではCO2と水素からの合成燃料によるSAFの技術開発・実証もおこなっています。国際的な航空燃料の厳しいCO2排出規制に対応すべく、SAF製造が強化されています。

5.林業システム研究会(篠崎)
主たる活動として「エコプロ2024への出展」を報告します。ここ10年来出展を継続していますが、今年のメインテーマは「竹炭」としました。当NPO法人が開発した竹林整備用グッズと炭座が手掛けた炭下着を展示しました。前者では伐採した竹や樹木を集める先導キャップおよび可搬式開放型炭化炉を展示し、同時に大型ディスプレイにより動画で説明しました。そして製造した「ポーラス竹炭」の使い方をパンフレットにして説明しました。後者では備長炭を繊維に付着させた女性用下着で、大人に人気がありました。同時に老人男性・女性からは「男性用下着を開発して下さい」とのありがたい要望が複数出されました。このようにポーラス竹炭と炭下着は予想以上の注文がありました。

また、この場は思ってもみなかった人と遭遇する場でもあります。来年の予定は12月10日(水)~12日(金)です。今まで東京ビッグサイトに来られていなかった方も今から予定しておいてください。「ミス日本みどりの大使」という理知的美女とも会えますよ!

6. 地熱研究会 「地球熱エネルギーとは」 (清田)

地球の中心は6000℃を超える温度であり、この熱は中心から地球の表面に向かって熱伝達されています。地球の表面から穴を掘っていくと100mごとに30℃程度温度が上がると言われています。地球表面から15㎞程掘ると、400~500℃程度になるこの温度を熱熱媒を使って地上に高温のエネルギーを汲み上げ、発電に利用しようという特許を申請し、このほど認可されました。

地球のこの熱エネネルギーのことを仮に「地球熱エネルギー」と命名しました。この熱エネルギーは地球内部にある崩壊性原子が崩壊するときに出る原子が別の原子に衝突し、その原子を崩壊させるため、次々と崩壊を繰り返し、熱エネルギーが供給されます。こうして中心部分の高温は維持されています。つまりこのエネルギーは太陽光と同じく、ほぼ永遠の自然エネルギーと言え、これを取り出す方法を模型を使い参加者にご説明しました。

7.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
1,11月19日に王子木材緑化(株)の本社を訪問しKシステムに関する質疑応答と今後の進め方の打合せを行いました。Kシステムが使われているところを見学する事になりました。Kシステムのデモ等について日建と打合せを行います。
2,南都留森林組合の今年度の作業が諸般の都合で進んでないのでKシステムを使うのは来年度以降になりました。

8.竹林プロジェクト(篠崎)
今年は他の活動に時間を取られて、年度初めに計画した活動を十分には行えていません。しかし、その中で学会活動は生態工学会と建築学会での発表は予定通りの成果をあげました。そのほか、新入会員は地元での竹林整備研修会に参加して、竹の伐採などの現場実習を行いました。彼は企業で世界を飛び回っていたのですが、脱サラして父の跡の農家を継いだのです。上述したエコプロでは外人への説明はお手の物でした。
そのほか竹に次いで成長の速い「早生桐」の観察を続けていますが、2年目で樹高が4m以上になりました。また、不本意で雑草と一緒に伐採された木からは蘖(ひこばえ)が芽吹き、思わず「万歳!」と叫びました。この木の活用法を考え続けていますが、現在、一番に上げているのが子供用の「積み木」です。軽いので赤ん坊でも怪我をすることなく遊ぶことができます。近いうちにお目に掛けることができるよう準備しています。お楽しみに。

9.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の活動報告・評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題・調査・活動報告 (ダブルクリックでリンク先情報が表示されます。)
「互恵で栄える生物界」—利己主義と競争の進化論を超えて-2024年⒓月⒓日 吉澤有介-
「雪と暮らす古代の人々」  2024年⒓月7日 吉澤有介
「部首の誕生」—漢字がうつす古代中国—、      2024年⒓月5日 吉澤有介
「古代史の正体」—縄文から平安京まで—2024年11月29日 吉澤有介
「在野と独学の近代」—ダーウィン、マルクス、南方熊楠、牧野富太郎まで—2024年11月27日 吉澤有介
「人も鳥も好きと嫌いでできている」—インコ学概論–  2024年11月22日 吉澤有介
「縄文文化が日本人の未来を拓く」 2024年11月20日 吉澤有介
「盗伐」—林業現場からの警鐘—2024年11月16日 吉澤有介
「毒々生物の奇妙な進化」    2024年11月⒓日 吉澤有介

「もののけの日本史」—死霊、幽霊、妖怪の1000年– 2024年11月7日 吉澤有介
「マシュマロ・テスト」―成功する子・しない子 2024年10月28日 吉澤有介
「人口減少時代の農業と食」 2024年10月20日 吉澤有介
「野鳥物語2024年の冬~秋編」2024年10月13日 宮地利彦
「論理的思考力を鍛える33の思考実験」 2024年10月12日 吉澤有介
「日本人の知らない世界遺産」2024年10月3日 吉澤有介
「世界を支配するありの生存戦略」 2024年10月6日吉澤有介
「王朝文学の楽しみ」2024ン2ン9月30日 吉澤有介
「ヒルは木から落ちてこない」―ぼくらのヤマヒル研究機(増補版) 2024年9月26日 吉澤有介
「タマムシの翅はなぜ輝いているのかー自然への感性を育む生物学 2024年9月14日 吉澤有介

特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
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