蔵前バイオ通信 第84号2024年6月15日
メールマガジン蔵前バイオ通信 第84号(2024年6月15日)をお届けします。皆様のご協力により、5月22日通常総会を無事終えることができました。ありがとうございました。
今回も、私達の活動状況と、自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。ご利用ください。また、私たちの活動に興味をお持ちの方々の参加を期待しています。ホームページより連絡ください。
*******************目次 ***************************
- 活動トピックス(編集部)
- 技術情報検討会(吉川)
- アルジェ研(廣谷)
- 熱エネルギー研究会(進藤)
- 林業システム研究会(篠崎)
- Kシステム開発プロジェクト(米谷)
- 竹林プロジェクト(篠崎)
- ホームページによる情報発信(編集部)
活動トピックス(編集部)
・通常総会(Zoomによるオンライン会議)を2024年5月22日開催
通常総会において、2023年度の事業報告書(決算書を含む)が承認・可決されました。そして、5月1日の理事会で承認された、2024年度の人事体制、2023年度の活動報告と2024年度の活動計画、および2024年度の各事業の活動予算が報告されました。貸借対照表と事業報告書についてはホームページに掲載しております。
・公開講座「水と環境」第4回 を開催しました。
(1)「屋上・壁面緑化概論」
講演者:千葉工業大学 創造工学部建築学科 教授 石原沙織
屋上緑化の歴史や種類、メリットや課題(防水、植物の根の力など)内外の事例を紹介し幅広く話していただきました。
(2)「夢は砂漠化しない~襟裳岬緑化事業70年の歴史 豊かな森、海に~」
講演者:林野庁 北海道森林管理局日高南部森林管理署治山グループ えりも治山事業所宮崎技官
明治の開拓により砂漠化が進んでいたえりも岬緑化事業は、えりも岬緑化工法、防風垣による強風対策など様々な試行により成功するに至りました。その内容を独自の管理手法を交えて話していただきました。
上記2件のプレゼン資料をHP「公開講座 プレゼン資料」に掲載しましたのでご覧ください。
・ホームページの更新
「公告・定款・パンフレット・ 蔵前バイオ通信 バック№」ページを見やすく更新しました。また、活動報告に「シニアのためのPC講座資料集」を追加しました。
2.技術情報検討会(吉川)
新聞報道によれば、日本の電力分野の脱炭素化への道は欧米諸国と少し異なっているようです。欧米諸国が30年ごろまでに石炭火力の全廃を目指している中で、日本は同年以降もアンモニア混焼または専焼によるCO2排出削減対策をとりながら石炭火力を使い続ける道を選んだようです。 石炭や天然ガスから再生可能エネルギーへの転換をする方策として、アンモニア混焼率を徐々に高めて専焼へと移行する事によって、CO2排出量の削減を目指そうとしているのです。
日本が石炭火力などの全廃に及び腰な理由は明確で、日本が欧米諸国と比べて日照時間や風況に恵まれず、再生可能エネルギーの発電コストが割高だからです。脱炭素化を進めながら経済成長とエネルギー安定供給を両立させるための現実解が、アンモニアや水素のようなクリーン燃料による石炭火力発電設備の維持という事でしょう。
しかし、欧米からは石炭火力の延命策ではないかと疑いの目で見られています。問題は再生可能エネルギーによって製造されたグリーンアンモニアを低コストで大量に調達できるかに掛かっていると思われます。日本政府は30年までに300万トン、50年までに3000万トンのアンモニアを燃料用に確保するとしています。現在、世界のアンモニアの生産量はおよそ2億トンでその8割は化学肥料用です。これらのアンモニアも脱炭素化の圧力の下でこれからグリーンアンモニアに転換して行かなければならないのです。この状況下で燃料用グリーンアンモニアの供給量を増やせるのかを世界は注目していると思います。
この他、検討会では農業分野における「Jクレジットの現状」等を取り上げました。
3.日本旅客機のSAF採用 アルジェ研(廣谷)
米国で、炭酸ガスを原料としバクテリアの嫌気発酵でエタノ-ルを造り、触媒で重合してSAFを造るライザテックと言うベンチャ-がありました。それに資金を出しライザジェットに育てたのが三井物産です。ライザジェットは米国の遺伝子組み換えトウモロコシの安いエタノ-ルを使い安いSAFを造りました。米国ではブラジルより安いエタノ-ルと言う事と、農業政策で生産性の高い遺伝子組み換えトウモロコシが選ばれた。フランスが米国遺伝子組み換えトウモロコシの試験をし、良くない結果が出ましたが、日本でも議論があったが、今はエタノ-ルの事で不要な事かもしれません。
日本のSAFは如何しようとしていたのでしょうか。藻で挑戦しているグル-プは安いSAFが出来ていません。FT合成は欧米ではそれなりの価格の物が出来ています。EUで廃食油、動物油処理を実施しているネステの販売価格は23年化石燃料価格の3~5倍であり、日本が見習いしようとしています。ライザジェットのコストはネステ価格の3~6割と下がる様です。これで日本はそのSAFで飛ぶ事が出来ます。
4. 熱エネルギー研究会(進藤)
(株)INPEXは、新潟県内で操業する南長岡ガス田からの国産天然ガスを利用し、水素とアンモニアを製造し、その利用までを一貫して実施する国内初の実証試験を計画しています。2025年に試運転、30年頃に商用化を目指す予定です。水素は天然ガスの改質により製造し、製造の際に発生するCO2は回収し、既にガス生産を終了した東柏崎ガス田の貯留層へ圧入(CCS)して、大気への排出量を抑えます。この(ブルー)水素は水素発電の燃料とアンモニア製造へ利用されます。電力は新潟県内に供給し、アンモニアは新潟県内の需要家への供給を目指しています。アンモニア合成には、東工大細野教授らが開発した高性能触媒が使用される予定です。本実証試験は、NEDOの「ブルーアンモニア製造に係る技術開発」として採択された助成事業のもとで実施されます。
このプロジェクトは、地場の原料を使い、CO2を排出しない水素を製造し、発電した電力と製造したアンモニアを地域で利用する地産地消型の事業といえます。
5.林業システム研究会(篠崎)
1年ほど前から林業研の通知方法を改善しました。
①ほぼ1週間前に予告メールを発信します。その際に概略情報を添付します。
②前日にZoom meetingへの招待メールを発信します。概略情報に情報を追加します。
③当日は開始15分前にZoomを立ち上げます。直前の情報を追加します。*
*当日の午前中に重要な情報が入ることがあります。
④議事録はその日に作成し、案としてメールでお知らせします。**
**出席者と欠席連絡者の名前を記録します。
このような方法に対して、長期欠席者からお褒めの電話をいただきました。
6.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
(1)南都留関係
Kシステムを使用予定だった場所での間伐・集材には先方都合で使わなくなりました。南都留森林組合と林業業者から、Kシステムは多くの長所があるので開発に協力する用意はある。作業道を造れない谷間や尾根越えで集材出来れば山主に利益を還元できる、とのご意見があり、Kシステムの試用候補地として、林道わきの作業道の開設が困難な場所を数か所下見しました。これから具体的な検討を進めていきます。
(2)特殊滑車(V滑車)
これまでのテスト結果を反映した改良品を作成試験場で試験を行い良好な結果を得ました。今後は実作業現場での確認を進めます。
(3)次のKシステムの試用候補として飯能、相模原、山梨をフォローしていきます。
7.竹林プロジェクト(篠崎)
学会発表原稿の作成と事務局との調整に時間を費やしました。
(1)生態工学会年次大会にてオーガナイズドセッションを申請し、5件を6月末発表予定
①「竹搬送用先導キャップの開発」〇河野・篠崎
②「ポーラス竹炭の融雪効果(3)」村上(元東工大)・〇篠崎
③「早生桐の成長因子」〇篠崎・田中・鹿嶋(竹もりの里)
④「世界の水紛争(4)」〇伊藤規志子(ぶんかサイエンスカフェ)・篠崎
⑤「ポーラス竹炭の熱伝導率と電気伝導度」〇篠崎・米谷・鹿嶋(竹もりの里)(2)建築学会大会に1件を8月30日に発表予定
①「竹炭・木炭を用いた屋上緑化基盤の保水排水特性」○篠崎正利・石原沙織(千葉工大)
8.ホームページによる情報発信(編集部)
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。会員の活動報告・評論・提言・主張および情報紹介です。
サロンの話題・調査・活動報告 (ダブルクリックでリンク先情報が表示されます)
「世界史の構造的理解」—現代の「見えない皇帝」と日本の武器–2024年6月15日 吉澤有介
生き物の「居場所」はどう決まるか-––攻める、逃げる、生き残るためのすごい知恵— 2024年6月⒓日 吉澤有介
「記紀の考古学」 2024年6月3日 吉澤有介
「ツキノワグマの掌を食べたい!」—ジビエ探食記—2024年5月31日 吉澤有介
「生成AI」-ChatGPTを支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか 2024年5月22日 吉澤有介
「ヒグマとの戦い」—ある老狩人の手記—2024年5月⒕日 吉澤有介
おもしろくてためになる「鳥の教科書」 2024年5月8日 吉澤有介
「なつかしい本の話」 2024年5月5日 吉澤有介
「コーヒーで読み解くSDGs」–いま、私たちができること–2024年5月1日 吉澤有介-
「森の声、ゴリラの目」—人類の本質を未来へつなぐ—2024年4月27日 吉澤有介
「古事記の禁忌(タブー)・天皇の正体」 2024年4月21日 吉澤有介
つなわたりの倫理学」—相対主義と普遍主義を超えて—2024年4月20日 吉澤有介
「アンモナイト学入門」—殻の形から読み解く進化と生態–2024年4月16日 吉澤有介
「化石に眠るDNA」—絶滅動物は復活するか—2024年4月5日 吉澤有介
「歴史探偵忘れ残りの記」 2024年3月27日 吉澤有介
「考えるナメクジ」—人間をしのぐ脅威の腦機能—2024年3月18日 吉澤有介
「土を育てる」—自然をよみがえらせる土壌革命—2024年3月15日 吉澤有介
特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
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