今回も、私たちの活動状況と自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。是非ご活用ください。私たちの活動に興味をお持ちの方の参加をお願いします。
蔵前バイオ通信 第55号 2019年1月15日
*******************目次 ***************************
- 活動トピックス
- 技術情報検討会(吉川)
- 事業化推進検討会(岸本)
- 熱エネルギー研究会(進藤)
- 林業システム研究会(篠崎)
- Kシステム開発プロジェクト(米谷)
- 竹林プロジェクト(篠崎)
- バイオチクプロジェクト(渡辺)
- ホームページによる情報発信
1.活動トピックス
- 11月18~18日2018年林業機械展でKシステムを紹介
東京都あきる野市で開催された林業機械展で、Kシステムをパネルと動画で紹介しました。多数の来訪者があり、ぜひ現物を見て見たかった、あるいは使ってみたいというコメントをいただきました。詳細は ホームページ「活動報告」⇒「トピックス・新着情報」からアクセスしてご覧ください。
- 12月6~8日「2018エコプロ展」出展
エコプロ展に竹もりの里とともに共同出展しました。 2ブース連結で展示とPRを行いました。近隣には樹木医女子会など仲間のブースがあり、たとえば、フルボ酸サンプル入手など有用な知見を得るといった、有意義な情報交換ができました。炭化炉「炭之助」、ポーラス竹炭、竹炭入りうどん、および竹籠を展示、解説用パネルを壁に貼り付け、竹炭製造の様子をパソコンでビデオ表示しましたホームページ「活動報告」⇒「トピックス・新着情報」からアクセスしてご覧ください。 - 12月、1月例会時に例会後に勉強会を開催しました。
2018年12月11日 講師 進藤昭夫 (蔵前バイオエネルギー副理事長)
「森を活かす」をテーマとして以下の話題提供をしました。①約100年前に、針葉樹と広葉樹の特性を活かし造林された明治神宮の森づくりの考え方。②町・村の神社(鎮守の森)や公園の森は、阪神大震災では火災の延焼を防ぎ、東日本大震災では津波の被害を防いだ実地調査事例。③宮脇横浜国大名誉教授が主導する震災地域復興の防潮堤「いのちを守る森づくり」の紹介。マツなどの針葉樹は根が浅く防潮林としては機能しないが、広葉樹は根が深く真っ直ぐ地中深く伸び大地を抑えるので防潮提に活用できる。④森の樹木が浄化や滅菌・癒し作用のある「フィトンチッド」の効果事例。⑤健全な森の姿は、山の上部を広葉樹林の自然林、下部は木材利用ができる針葉樹林の人工林(育成林)であり、現在の荒廃した人工林の整備が急務。餌となるドングリが実る広葉樹林の育成により獣被害を減らせる可能性もあります。
2019年1月6日 講師 河野 通之氏(蔵前バイオエネルギー 会員)
「風船爆弾の開発が残してくれた技術」~複合、複層材のその後の発展について~
和紙にコンニャクを塗った複合材で直径約10mの風船を製作しました。この複合材は驚異的な低水素漏洩性能を持っており、風船爆弾を完成させることができました。この日本の複合材の技術は、現在、さらに発展した応用技術となり、自動車、航空機などに欠かせない材料となり、世界の経済の発展に大きく寄与しています。日本の複合材なしでは、世界の空を飛び回っているジェット旅客機は生産することはできないのです。
- 2019年1月 蔵前バイオエネルギーホームページを更新しました。
約10年ぶりにホームページの更新を行いました。この間の、私たちの活動進展、そしてWebページ構築の技術革新を取り入れて、画面のシンプル化、画像使用の拡大、メンバー専用ページの設置など内容を刷新し、同時に、ページの柔軟な改造、改変が可能になりました。
- 新入会員
2018年には、新しく様々な経験をお持ちの6名の方が入会されました。フレッシュな感覚で、これからの活躍を期待しています。
2.技術情報検討会(吉川)
2018年12月に開催されたエコプロ展2018の会場からメンバーが新しい技術情報を収集してきたので、早速、その中からいくつか取り上げ検討してみました。
①ペットボトルのリサイクル(帝人)
②CCSの実証試験(国立環境研究所・他)
③バイオプラスチック製自動車部品(マツダ)
④生分解性プラスチックの実用化(各社)
など、いずれも「環境にやさしい」「地球温暖化防止」の観点から注目されていますが、技術面やコストの問題をクリアして実用化できるのか議論が別れるところです。今後を見守りたいと思います。
今年もバイオマスに関わる技術情報の信憑性を多角的に検討して行きます。
3.事業化推進検討会(岸本)
①ポーラス竹炭の市場開拓先として千葉県茂原市の企業を先般訪問、今後、再度接触して話を進める。
②ポーラス竹炭の用途開発の参考情報として、“バイオ炭”の視点からの下記の情報が提供され、本テーマに関して多くのコメントやアイディアが出され活発な議論がされた。
◎木炭や竹炭などのバイオ炭(Biochar)が、地球温暖化への対応手段として最近世界的にも関心が集まり、論文等も多く提出されている。
◎竹炭を堆肥と共に土壌改良剤として畑に散布し、炭素の貯留化およびその農作物をブランド化し販売を行っているプロジェクトの事例がある(京都府亀岡市)。
③神奈川県行政の環境施策等の情報を得るため県環境農政局緑政部を1月中に訪問する予定。
4.熱エネルギー研究会(進藤)
木質バイオマス資源は地域に分散しており、化石燃料に比べ資源が薄く広範囲に存在する特性があるので、本来は、臨港立地の燃料輸入による大規模集中型より内陸立地の小規模分散型によるエネルギー利用が地域資源の有効活用になります。小規模では発電効率からガス化による発電と熱供給の熱電併給が投入エネルギーを無駄なく利用できます。但し、現在、ガス化装置や発電機は年間連続運転の実績があるドイツなどからの輸入になっています。当研究会では、ドイツの熱電併給装置を使用した事例として、熱利用をしている群馬県上野村でのキノコ栽培、岐阜県飛騨高山の温浴施設、宮崎県串間市での木材乾燥などを検討してきました。小型であれば、熱需要がある場所に(化石燃料代替として)設置が可能であり、更に熱利用にもFITの様な支援があれば、熱電併給による木質バイオマスの有効活用が進展し、地域活性化に資すると考えます。
5.林業システム研究会(篠崎)
NPO法人FG21によるポーラス竹炭製造デモンストレーションが群馬県で開催され、米谷理事長とNPO法人竹もりの里鹿嶋理事長が立ち会いました。10月に開催された「ポーラス竹炭シンポジウム」参加者が感激して、自分の町みなかみ町でもやりたいと企画したものです。ポーラス竹炭の原料が真竹であるため燃焼速度が速く、二人が到着したときには終盤に差し掛かっていました。この製造方法が全国的に広まることを願っています。
6.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
トピックスにあるように2018年林業機械展で、2枚のパネルと動画を使用してKシステムを紹介しました。これを機会に、2019年秋の発売に向けて、開発を加速させてまいります。ご支援をお願いします
7.竹林プロジェクト(篠崎)
①マッシュプーリーシステムの改良試験:延べ4日間のスケジュールのうち、2日間をK-BETS参加で技術サポートしました。搬出は課題が残り、平地における操作熟練訓練、開発技術のレベルアップ、一歩一歩の前進が必要です。
②第2回大型炭化炉の実験を実施。目的はA3人で作業できるか、B燃焼時間が短時間で収まるか、C消火時間を短縮できるか、D袋詰め作業が簡略化できるかの4点、いずれも好結果が得られ、大量生産方式の確立に一歩近づく成果が得られました。ほぼ収益が確保できるデータが得られ、コスト的低減が可能であると考えられます。3月にもう一度製造実験を行う予定です。
③第25回竹林会議の開催:竹もりの里と共同で開催していますが、今後はいすみ竹炭研究会を入れた3NPOで開催したいと考えています。ポーラス竹炭の新しい実験データが続々と出てきていますので、それらの特性を生かした製品開発を行いたいと考えています。
8.バイオチクプロジェクト(渡辺)
世界で廃棄プラスチックによる海洋汚染の問題が大きく取り上げられています。この課題に対しては、廃プラスチックの燃料として再利用の促進が望まれます。そして、プラスチックをバイオマス系プラスチックに転換することで、カーボンの固定も進むことが期待されます。燃料としての再利用を効率的に行える熱分解による燃料化装置の開発を進めている企業があり、注目しています。
9.ホームページによる情報発信
主に会員吉澤有介が要約した一般図書。および会員の研究ノートです。
どうすれば「人」を創れるか 石黒 浩著 2019年1月5日
「人類5000年史Ⅰ」出口治明著,ちくま新書 2017年11月刊 2018年12月25日
「食べることをどう考えるのか」橋本直樹著 2018年12月20日
[DNAの98%は謎」小林武彦著 2018年12月12日
「動物たちのすごいワザを物理で解く」マテイン・ドラーニ、リズ・カローガー著、吉田三知世訳 2018年12月8日
「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト」ニール・シュービン著2018年11月23日
特定非営利活動法人 蔵前バイオエネルギー(略称 K-BETS)
(http://www.kuramae-bioenergy.jp/)
〒108-0023東京都港区芝浦3-3-6
キャンパスイノベーションセンター801号室
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