蔵前バイオ通信 第49号 2018年2月15日
*******************目次 ***************************
- 活動トピックス
- 技術情報検討会(吉川)
- 事業化推進検討会(岸本)
- アルジェ研究会(廣谷)
- 熱エネルギー研究会(進藤)
- 林業システム研究会(渡辺)
- Kシステム開発プロジェクト(清田)
- 竹林プロジェクト(篠崎)
- バイオチクプロジェクト(渡辺)
- ホームページによる情報発信
- 世界のバイオマス
1.活動トピックス
l 理事長の新年の挨拶を会員にメールで配信しました。
² http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=1188
l 蔵前バイオエネルギーの紹介パンフレットを更新しました。ご覧ください。
² http://www.kuramae-bioenergy.jp/assets/files/about/leaflet.pdf
l 会員相互の親睦をはかることを目的に、本NPOの活動に関係なく自由に投稿できるメーリングリスト K-BETSサロン(salon@k-bets.jp)を正会員を対象に開設しました。日本古代史の話題、ゼロウェイスト社会の話題など、盛り上がっています。会員の皆様気楽に投稿しましょう。
l 例会時に勉強会を開催しました。
1月9日 :「森林認証制度について」 講師 岸本直彦氏(K-BETS理事)
国内および東南アジア等の森林の現状とともに、自然資源としての森が水源林涵養機能・地球温暖化防止機能など多面的価値を持っていることが紹介されました。またこれら森林の適正な保全管理を行う仕組みとしてのFSC制度やSGEC制度が徐々に広がり始めていることや、国内で初めてFSC制度の認証を受けた三重県の速水林業の事例が報告されました。
2月6日:「バイオマスガス化ボイラーの概略説明と熱利用の事例紹介」
講師 さつきばれ工業 社長 繁田忠男氏
繁田社長が半世紀にわたり取り組んできた環境保全・リサイクル事業で培われたノウハウで開発されたガス化燃焼技術、熱利用、同社技術の特徴、「リサイクル」代替燃料をキーワードに環境の保存を主軸にしたビジネス展開について熱く講演されました。その後懇親会にも参加され、バイオマスの熱利用、日本の森林の広葉樹再生など幅広く懇談しました。
2.技術情報検討会(吉川)
EV車とガソリン車のCO2 排出量をLCA(Life Cycle Assessment)で試算した論文について議論しました。走行時の排出量は根拠がありますが、製造時については難しいようで、車の価格と比例するという大胆な仮定に基いて算出し、合計するとEV車の方が多いとの結論です。他の試算についても調べてみる必要がありそうです。12月の検討会では、エコプロ展で入手した情報の紹介も多数ありました。その中で、IHIの「既存石炭火力を活用し、木質ペレットを熱量比50%まで混焼できるシステムの開発」という情報が話題になりました。石炭ミルを改造してペレットミルと組み合わせたのがポイントのようです。コスト次第ですが、木質ペレットの需要が伸びるかも知れません。
3.事業化推進検討会(岸本)
現在主として下記のテーマについて盛んに議論を行っています
①K-BETS会員募集のためのパンフレットの作成
活動会員を増やすことがK-BETSの重要な課題となっているので、会の活動内容をよく知ってもらうため、研究会別に活動内容を記載したパンフレットを作成することになり現在検討中です。
②横浜市に対する環境活動提案の検討
所在登録地を横浜にしたことに伴い、横浜市に対してK-BETSとして環境問題に関する活動提案等を行うことが議論されました。現在横浜市との協働事業のアイディアを検討中です。
4.アルジェ研究会 日本エネルギーの未来は海のバイオにあり (廣谷)
2020年にはバイオジェット燃料が日本には58万klが必要となる。日本は太陽光藻システムで用意しているが200~300klしか用意出来ないはずだ。そこで外国から購入するしかないということになる。外国は木材、ゴミでFT合成で造る方法、廃食糧油の再生方法、発酵槽方式でやろうとしているが、実は外国も困っていると推定している。そして日本に売ってくれる会社が有るかが心配な処だ。米国はエネルギー省(ODA)が海藻開発の為に24億円お金を出すと決めた。それにウッズホール研究所は海藻3億乾燥トン計画を提出した。又米国が目指すのは食料でなくエネルギーと見ている。そこが日本と違う処である。
日本は米国に対して海なら海岸線は1.5倍、EEZは1/3である。それを比率で計算すると海藻は1.1億乾燥トンとなる。それをゴミと扱うと実績よりFT合成でバイオジェット燃料は2090万klとなる。今後の日本の未来は海のバイオにあると思う。
5.熱エネルギー研究会(進藤)
① 再エネの設備容量はFIT制度開始の2012年から2017年で約2.5倍に拡大しています。これに伴い、FITによる買取費用は、2017年度で年間約2兆7千億円(標準家庭で約8200円/年)の国民負担となり、2030年目標のエネルギーミックス(再エネ約24%)では、年間約4兆円に増大すると予測されています。太陽光などのFIT費用が海外に比べ約2倍と高く、入札制度も含めて今後のFIT制度の動向に着目し、議論していこうと思います。
② 石炭火力発電に木質バイオマス混焼が計画も含めて増えています。11.2万kW以下の小規模石炭火力発電は、環境アセスが自主規制となった事もあり、2016年では全国で約10か所の11.2万kW以下の混焼発電の実施計画あり、混焼率は30~50%を目指しています。今後、環境問題と安価なエネルギー供給および木質バイオマス利用の観点から注目していく課題と考えます。
6.林業システム研究会(渡辺)
① 竹林タスクチームで活動をスタートした、竹林整備の手法として、2012年に取組みを開始した、「可搬式開放型炭化炉」の実用化が完成しました。今後の啓蒙活動を広める施策の段階に入っています。各方面に広める活動の支援が必要ですので、研究会への参加、および、竹林プロジェクトへの情報提供をお願いいたします。
② 長年の願望、「森林環境税」の国税実現が通常国会で成立する見通しです。自治体が森林、竹林整備に有効な活動が継続できるように、森林環境税の使い道を研究していく課題が重要となります。
③ 林業の現場における小径材・枝葉は、大量に林地内に廃棄されています。また、市街地のおける樹木の剪定材は、産業廃棄物として焼却処分されます。これらを、熱エネルギー利用の燃料材として活用できる技術開発を、茨城県の会員が取組み中で、今後も支援活動を検討していきます。
7.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
①これまでの試行で得られた様々な課題に対する対処策を取り込んだ新システム試作品が12月に組立完了しました。
②この試作品に対する実地試験として、1月に、飯能市農林課のご協力で、名栗地区の市有林で、最大斜度27度の斜面に択伐された伐倒木の集材作業を行いました。その結果、牽引距離55mと短い距離でしたが、チェーンラインの設置から、連続集材、撤収まで、新しく採用した機能の効果が想定以上に得られました。次の試験を2月に同所で行う予定でしが1月末の豪雪の為現地が雪に埋まり4月に延期となりました。
8.竹林プロジェクト(篠崎)
①NPO法人竹もりの里と共同開発した世界初の解放組み立て式大型炭化炉「炭之助」の取り扱い説明書が完成しました。今までは実地指導をして販売していましたが、今後は取り扱い説明書を付けるので、実地指導は不要になります。安全を重視した中身にしましたので必要に応じて有償で現地指導は受けることにします。
②マッシュプーリー竹集材システムの導入試験を行いました。元来は間伐材の収集のために開発されたものなので、竹集材に便利なように種々の工夫が必要であることが解かりました。今後はハードとソフトの両面で改善して行く予定です。
9.バイオチクプロジェクト(渡辺)
①竹材料をベースとした商品化の研究を支援しています。開発企業様は、ファインテック(株)と、金型企業のペッカー精工(株)。両社の協力と、バイオチクプロの支援により、「IOT・AI金型」の研究開発が進行しています。バイオプラスチック及び竹パウダー入り商品の開発に応用できる新技術です。
②商品化の土台となる竹材料の供給は、引き続き「竹もりの里」との協力関係を継続して、安定的で低コストの供給を目標にしていきます。
③2016年、2017年に開発した【樹勢回復剤】ブレスパイプは、商品化が実現して、普及啓発段階に進んでいます。竹炭と竹パウダーが配合されている新商品です。
10.ホームページによる情報発信
主に法人会員吉澤有介が要約した一般図書。および会員の研究ノートです。
- 「桜」 勝木俊雄著 2018年2月10日[木の性質・役割]
- 「怖くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著 2018年1月30日[人体・動物]
- 「生命の内と外」永田和弘著2018年1月25日[人体・動物]
11.世界のバイオマス情報トピックス
特別顧問 佐野 勇 による世界のバイオマスから抜粋したトピックスです。
①米国で藻・海藻の利用が加速している
2017年には海草の産業利用が進捗し、アメリカを世界最大の海草生産国に引き上げ、輸送用燃料の10%を海草で賄う計画が具体化した。関連業界に対するエネルギー省の資金的援助も積極化した。海草の栽培、加工、利用の具体化に伴い、この分野の爆発的な成長を期待した2018年には、より一層の関心の高まりが期待されている。また、米エネルギー省再生可能エネルギー研究所 (NREL) が、藻の利用改善の目的で新しい工程を開発した。緑藻をポリアミドで軟凝集、酸処理したあとの連続培養後に高収率、高滴定濃度が得られたがコストがまだ高い。高純度のコハク酸が得られるので、これを併用すれば高い経済性が期待できる。
②森林の保護・回復が急務 気候変動の主因である大気中CO2の吸収源となっている熱帯林が、伐採、および森林の劣化のの影響でその役割が逆転する。すなわち吸収源から放出源になっている。
③バイオプラスチック採用の動き マツダは自動車の外装用として、三菱化学製バイオプラスチックである産業用プラスチックDurabioの新グレードを、新車種のMazda CX-5で使用を始めた。マツダは新グレードの利用範囲の拡大を、三菱化成は自動車以外の市場への拡大を目指してさらなる新グレードの開発を加速させる。