本書の中心テーマは、「地球環境問題」と「米国経済の弱体化と格差の拡大」を
採りあげて、2008年の夏の時点で書かれている。
著者の名前は、日本では知られていないが、アメリカの雑誌「タイム」では著者を
「最も影響力のある100人」(2009年4月時点)に選んでいる。
「グリーンカラージョブ」は著者の発案で、環境負荷の少ないグリーン産業に転換さ
せて、新規雇用を政府の関与によって創出する。職を失った階層の人々が、経済
的恩恵を受けるような「グリーンカラー・エコノミー」の実現を目指す。
という内容である。
「グリーン・ニューディール」の言葉も、この本が最初の様である。
2009年にスタートした「オバマ政権」の再生可能エネルギーの大幅促進政策は、
この本の内容に沿った方向で進んでいる。
日本の新連立政権の関係閣僚も、その影響を大きく受けていると思われます。
この著書の力を入れているところは、環境問題を重要課題としながら、その対策の
方法を社会的弱者の雇用の創出を重視する具体策を、数多く提示しているところであ
る。
日本の状況にそのまま当てはめるのは無理があるが、環境対策を雇用増加に面から
採りあげる論理は参考になる。
再生可能エネルギー関係では、やはり太陽光発電と風力発電に関する事業の面が
多く記述されているが、バイオマスエネルギーに関する内容は、表面的なものに
終わっている。
著者は、環境活動家として、アメリカの第一線で活躍し、自治体政府とのつながりと
提言活動を重視して影響力を発揮している。アメリカ流の「NPO活動」の実践な
ど、数多くの事例を紹介して、雇用創出の実践活動を行っている。
バイオマスエネルギーの技術促進と事業開発を目指す当NPOメンバーの
参考になる個所もあると思います。
鳩山新政権の動きをみていく上でも、アメリカの「グリーン・ニューディール」の
情報は欠かせないでしょう。
記 渡邊 雅樹
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