講演会:オーストリアの林業事情 

開催日: 2009127

講師: オーストリア大使館商務官ルイジ・フィノキアーロさん
機械輸入商社:コーレンス社第4営業本部中村雅仁さん

オーストリア国
面積は北海道よりやや大きい程度、山に囲まれ国土の半分は森林である。
人口は830万人と少ないので国民の合意が得られやすい。

エネルギー政策
オイルショック以降
「省エネルギー」と「再生エネルギーの利用拡大」
に重点が置かれた。
1次エネルギーの内訳は石油42%、ガス12%、石炭12%、再生エネルギー22%である。
原子力は国策で禁止している。
再生エネルギーの比率が非常に高いのが特徴である。
この主体は「水力発電」と「バイオマス」である。

木質バイオマスが14.4%を占め薪ストーブ、ペレットストーブなど低温域の燃料
として活用されている。

山岳地帯が多いので小規模な水力発電所の比率が高い。
農林牧畜業から発生する木材や牧草、わらなどのバイオマスをガス化して発電に
向けている。バイオマスが積極的に使われているのは国の補助金や税政によって
国民が儲かるシステムができあがっているため。
市場原理で運用されたら未だその力はない。

 

オーストリアの林業機械について

 

シューターとウィンチを使った集材方式がユニークである。
シューターは半円形の強化プラスチック製の溝。1ケ5m、25kgの大きさの
ユニットを器具で連結するといくらでも長くできる。

直径35cm以下の木材が対象である。
斜面を下ろす場合はこのシューターに入れるだけで自然落下する。
引き上げる時はワイヤーを上方の木に固定しこれにウィンチを引っ掛
けて引き上げる。
ウィンチは1.5mほどの長さ。

プラスチックヘッドを2~3本の木の頭にセットして馬に引かせる。
日本では馬の代わりにロボットとか小回りの効く小型自動車が使えるのでは?

大きな木材にはタワーヤーダーやプロセッサーを使った本格的な方法もある。

オーストリアでは森林学校がいくつもあって3年、5年の専門教育をやって
プロを育成している。
若い人も自然の中で働きたいと希望して林業の現場に入るのに違和感がない。
機械が故障しても修理は自分でやってしまう(日本はメーカーまかせ)。

材木はまず家や家具に向けられ余材をチップやペレットに加工する。
ペレット製造設備、ペレットストーブなど大きさも種類も豊富にある。

映像の中で解説者の博士が若木の頭にプラスチックのキャップを被せているもの
があった。これは苗木を鹿から守るためという。
日本ではすごいお金をかけているが頭だけ守れば良いのであれば安く済むことになる。

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