2007年の夏山は木曽の御嶽山に出かけました。ここには数年前にも東面の中の湯から登って、その原生林の素晴らしさに圧倒されたので、今回は木曽福島からのバスで北麓を回り、岐阜県側の濁河(にごりご)温泉から玉の池小屋に上がって、御嶽北面の静かな別天地を一人で楽しんできました。その印象を報告しましょう。
まず塩尻から木曽福島までの中山道は、両側が急峻な狭い谷間ですが、見たところ山は殆どが美しい広葉樹の自然林で、人工林は全体の1~2割くらい、それもヒノキとカラマツが大半で、そのうちヒノキだけはきちんと間伐してあります。スギはごく僅かでした。
ただその街道筋に製材所が見あたりません。奈良井宿のごく小さなものが一か所あっただけです。木曽の本場としては不思議な感じがしました。
これは木曽福島から開田高原までの御嶽東面の山村でも同様でした。
しかし北麓に回るともう圧倒的な原生林です。濁河までの約一時間のバスドライブは広葉樹と針葉樹の見事な原生林の中を快適に走ります。
一日二便のバスの乗客は私ひとりでしたので、運転手に話を聞いてみました。この辺りは全て国有林で、かっては営林署があちこち盛んに伐採していましたが、十数年前に事業をやめたのでもうすっかり原始の森に戻ったのだそうです。そのため林業の仕事は殆どなくなったとのことでした。
濁河温泉はその原生林の中にあります。標高は約1800メートル、十数軒ありますがすべて露天風呂つきの素朴な宿で、ほんとうに素晴らしいところです。近くの周遊コースには見事な滝もみられました。
翌日頂上の一角にある五の池小屋に泊まりましたが、ここでパトロール隊と一緒になりました。岐阜県と長野県各5名の合同チームで、それぞれの森林管理事務所と森林組合の人達でした。
その中の木曽福島の森林組合の人に話を聞いてみたところ、民有林ではヒノキだけが今でも昔ながらのやり方で採算が採れているので簡抜も熱心にやっていますが、カラマツやスギは全くダメですべて放置されているとのことでした。製材所も大半がつぶれたそうです。
バイオについても関心は強く、近く木曽福島にペレット工場をつくる計画があるそうです。ボイラー燃料にする予定だそうですが、そのボイラーが高価なので困っているとのことでした。何とかしてあげたいところですね。(吉澤記)