*************** 自然農法と立山のブナと杉の原生林***************
今青森県の木村秋則さんが自然農法に則ったリンゴ作りで有名になっている。
彼の成功体験をまとめた著書も何冊か出版されていて参考になる点がたく
さんある、「木村秋則と自然栽培の世界」日経新聞出版社など。
自然農法は日本が育んだすばらしい農法で今求められている循環型社会実
現の一本の柱になる可能性をもっている。
この農法を始める木村さんのキッカケ
福岡正信さんの「わら一本の革命」の本との出合いだった。
米と麦の「連続不耕起直播栽培法」である。
直ちにこの方法の考え方を取り入れて無農薬でリンゴ栽培に取り組んだ。
「リンゴは農薬を使わないとできない」といわれている通り農薬を使わない
各種の方法を試みたが病虫害が激発何年もの間収穫ゼロの年々が続いた。
無農薬栽培をあきらめかけていた時
山のドングリの木が生き生きとたくましく空に向かって育っているのを見た。
この木を再現できたら良いとピンと来るものがあった。
山と彼の畑の差は何か?
山には草が生え放題、地面は足が沈む位フカフカで落ち葉や枯れ草が積み重な
り虫や微生物の働きで独特な匂いを放つ(放線菌の働き)土ができていた。
雨が少ないのに湿気があって手で軽く握りしめても固まらずほぐれる。
畑の土は栄養分が不足していてリンゴの木が弱っているために虫や病気にかか
り易くなっていることに気付いた。
それまでは「如何にして害虫を撲滅するか」に考えが向かっていたと反省して
いる。
栄養分に富んだ山の土は温かい
山の土は深く掘っても温度が変わらない。微生物がいて活発に活動している
ためで深く掘っても17~18℃を保っているが畑は10cmも掘ると極端に温度が
下がってしまう。
大型機械を使って土を固めてしまうのも問題だ。
微生物の寿命は短くたくさん死んでその体内にあったタンパクやアミノ酸が
壊れてこれを植物が吸収する。
他の生物もこれを利用し地力となって根の発達を促進する。
自然農法の3原則
作物の本来の力を引き出すために人間がお手伝いするとの立場で作業にかかる。
(1)自然の生態系に沿った栽培をする
(2)化学的に合成されたものは使わない
(3)植物本来の持っている力をいかにして生産向上につなげるか
例えば肥料をやらないとだめという固定観念を打破する。
一般的に雑草がいっぱいあったら栄養分が吸収されてしまうということで草取り
を徹底する。
木村さんは草刈をやめることで逆に昆虫や微生物が繁殖し土の栄養分を豊かにし
てきた。自然栽培を3年続けると病気が減ってくることを体験できた。
木村さんの提言
自然農法を長く実践してきた木村哲学
(1)常識に囚われるな
(2)徹底的にバカになれ
(3)自分に置き換えて考える もし自分が・・・・・ならばどうする
具体的には土を休ませる、田圃を乾燥させる(パンツの法則、濡れている
のは付けたくない)
等々あり彼に習ってこの方法を取り入れている流れが日本に築かれつつあ
るようだ。
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立山のブナと杉の原生林
この話は北日本新聞社発行の「沈黙の森」に載っていたもの
立山の弥陀ヶ原に育つタテヤマスギとブナの原生林について。
立山ケーブルを登った美女平の上、ブナ坂とブナ平地区にこの原生林があり
巨木が周囲を圧倒している。
富山で開かれた学会に参加したヨーロッパの先生達が立山に登山してその原
生林の存在に感嘆の声を上げたという。
欧州では第1次世界大戦までにこのような森は無くなってしまっているとい
う。このような原生林は世界的にも非常に珍しいものになっている。
立山は国内有数の多雨地帯
立山は多雨地帯で半分は雪となって降っているが(雨量年間6000mm)ゆっく
り大地に浸み込み川や伏流水となって下っていく。
富山大の研究によると10年~20年後に海底の湧水になって富山湾に湧き出る。
この栄養分は河川水の1.2~2倍あり植物プランクトンを養い海の生物を育む。
ホタルイカなど富山湾の独特で、豊富な魚貝類はブナ平辺の水が元になって
いるという。
富山県の酸性雨
県では長く水素イオン濃度を調査しているがこの20年間排ガスなどの影響によ
りPH4.7~5の酸性雨が降っている。
ところが渓流の水は7.3に中和されている。
微生物によって作られた土壌が中和を促進していることを実験で確かめている
という。
記 福島 巖