6千万円の木屑ボイラー    渡邊 雅樹

地域においては、バイオマスのエネルギー利用が、静かに進行している様で、ハイテクとは無縁の地産地消が進んでいる。この情報によれば、「木くずボイラー」の価格は6千万円もするとのこと。同クラスの重油ボイラーが、1/20で買える時代に、思い切って投資したことが、今になって成果が確認できるようになった。
政府の国産材自給率50%目標の計画には、このようなバイオマスエネルギー利用技術の普及に力を入れて欲しいものと考えます。
<以下、参考情報>  渡邊 雅樹
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脱化石燃料「病みつき」   朝日新聞2010年01月13日
 原油高による燃料費高騰で省エネを突き詰めたら、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を5年で60%以上減らせたという製めん会社が盛岡市にある。製材所の経営者との茶飲み話をきっかけに木くずボイラーや蒸気発電などに次々と取り組み、脱化石燃料は今も進行中だ。
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 同市の兼平製麺所は、1日10万食のうどんやそばを製造する湯を沸かすのに重油を1日3千リットル使う。ところが数年前の原油の高騰で重油の値段が1リットル25円から50円近くに。年2500万円も負担が増え、「これ以上高くなったら赤字」という状況になった。
 そんなとき、兼平賀章専務が近くの製材所の経営者と雑談中、「薪でもたくしかないかな」と嘆くと、「そういうボイラーがあるよ。木くずなら、うちからどうぞ」。
 木くずボイラーの価格が6千万円と重油ボイラーの約20倍もするのに面食らったが、国が3分の1を補助する制度を利用して2003年に購入。燃料には製材所の木くずのほか建築廃材を使った。半日に1度、ボイラー内の燃えかすを除去する手間などで苦労したが、要領を得ると軌道に乗り始めた。 年秋からは近くの食品工場や社員の家庭で出た天ぷら油などの廃
油からバイオディーゼル燃料を生成し、木くずボイラーと並行して動かしている重油ボイラーに使い始めた。一昨年には、国の半額補助を得てボイラーの蒸気でタービンを回す2600万円の発電機を導入し、電気代も減らした。
 木くずや植物性の廃油を燃やした場合、原料の植物が光合成で吸収した分のCO2を出すだけなので、石油のようにCO2を増やしたとはみなされない。このため同社のCO2排出量は03年度の3364トンから08年度は約60%減の1384トン、重油代も以前の10分の1以下の年200万円に。一昨年夏、重油が1リットル150円近くに高騰しても動じなかった。
 今年は工場の屋根200平方メートルで太陽光発電を始め、事務所の電気をまかなう予定だ。木くずボイラーももう1台導入し、重油を使わない完全な「エコめん」化をめざす。同社の年間売上高は26億円。初期投資はかかるが、「環境のためには必要なこと。いずれは元が取れる」という。
 昨年12月の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)で日本が掲げた温室効果ガスの削減目標「25%」を、はるかに上回る削減ぶり。兼平専務は「『やれるわけない』と思われがちだが、知らないだけ。中小企業の我々でもできた」と話す。「もう病みつきです」

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