アメリカ製造業再興演説

  White House  June 24, 2011
President Obama Launches Advanced Manufacturing Partnership
http://m.whitehouse.gov/blog/2011/06/24/president-obama-launches
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 オバマ大統領がカーネギーメロン大学で講演し、競争力強化のた
めに産業・大学・政府の協力により新奇の着想を短期間に実現す
るよう先進的製造パートナーシップの実施を指示した。
大統領科学技術諮問委員会の提議をまとめたものである。

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佐野は1994年から1995年にかけて、今は廃刊になった
『電子材料』誌に電子産業の軌跡と題する連載を1年間掲載した。
その中でレーガン大統領が行ったアメリカ再生政策について取上
げた。
少し長いが1994年12月号の 「ヤングレポート」の副題部分を要
約する。
80年代はアメリカの競争力が極度に低下し、ビジネスウィーク誌
が5年間にアメリカ再生に関する特集を5本も組んだ時代である。

意識の高いアメリカ経営者のキーワードは競争力だった。
この言葉に重要な位置づけを与え、国を挙げての競争力強化の出
発点になったのが、官産学労を代表する30人の委員が技術、資本、
人的資源、国際貿易に焦点を当ててまとめたヤングレポートであ
る。
Global Competition: The New Realityとして、特別に設置した
大統領諮問委員会に1985年1月25日に提出された。
投資の刺激、規制の緩和・改正・廃止、行政体系の抜本的見直し、
職場を含む教育の改善、貿易規制の削減など、官僚の作文では思
いつかない大胆で具体的な内容が含まれている。
これを受けてレーガン大統領は1987年の年頭教書で、産業競争力
の回復を第2期、後半2年の最重要課題に据えた。
不快なスーパー301条はこのとき生まれた。
競争力に関する部分では、新技術の開発・利用による輸出拡大、
製造業・中小企業・生産技術の強化を明確にし、重点開発分野の
特定、教育の改善のための具体策を明らかにした。
官庁組織間の風通しを良くし、民間の技術情報が広く拡散するよ
う情報センターを地域レベルに拡張し、官産学が協力しやすいよ
う法律を改正した。

朝日新聞ニューヨーク特派員時代の環境学者の石弘之氏に、戦後
の世界体制を確立したトルーマン大統領の功績を教えられた。
レーガンの就任はその直後だったが、世界の経営とアメリカの経
営の違いはあれ、私はいまもレーガン大統領を偉大な大統領とし
てランクしている。

オバマ大統領の先進的製造パートナーシップ政策はレーガン政策
に比べてやや小ぶりだが、日本にはないアメリカ政権の政策的な
伝統が根付いていることがうらやましい。

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