ScienceDaily March 2, 2011
Algae Converted to Butanol; Fuel Can Be Used in Automobiles
http://www.sciencedaily.com/releases/2011/03/110301200638.htm
アーカンソー大学で藻からブタノールを作る効率的で低コストの方法を
開発した。
畑から川に流出する窒素とリンを減らす効果がある。
桶状の槽に窒素、リンを含む川水を通し、CO2は中空繊維膜を通して供
給し数日ごとに収穫する。
乾燥、粉砕した藻から得た糖は1段目の醗酵で酪酸、乳酸、酢酸などの
有機酸に変換し、2段目の醗酵で酪酸などの有機酸を生成し、これから
ブタノールを作る。
ブタノールはエタノールよりも高濃度でガソリンに混合できる。
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コメント
今回の「藻から作る自動車燃料ブタノール」は、おおいに参考となりました。
バイオ燃料と言えば、世の中は、穀物由来のエタノールの流行時期を過ぎて、
今や、セルロース系からのエタノールと、ヤトロファなどのバイオジーゼル燃料に、
ほとんどの話題が占められています。
しかし、私の見方は、(あまのじゃく的傾向があるにしても)、自動車用に
エタノール燃料を増加させることに疑問をかんじていました。
前にも書きました様に、エタノールは、ガソリンの代替にするには欠点が多すぎる。
・エネルギー密度が低い。
・水分を吸収する性質が強く、タンクや輸送管に悪影響があり、長期間においては、
燃料が劣化する。
・腐食性が強く、燃料系の部品が対策済みのものでないと、燃料漏れによる事故が
懸念される。(火災事故でも起きて被害者が出たら、誰の責任となるか?)
・ガソリンに混ぜる量に制約(現行では10~15%が上限)があり、融通がきかない。
などなど、です。
この欠点を「ブタノール燃料」は、ことごとく解決できる有利さがあります。
課題は、ただ一つ、エタノール化よりもブタノール化の製造技術がまだ未完成、または、
コストが高い。という理由で、バイオ燃料業界は、エタノールばかりに注目してしまう。
以前に「ドロップイン燃料」という【用語の定義】が話題になりましたが、
厳密なドロップイン燃料ではないにしても、ブタノール燃料の方がはるかに、
【ドロップイン】の目標に近い燃料と思われます。
技術者の宿命は、最終消費者の要望する商品、技術を提供することにあります。
その視点にたてば、「エタノール燃料」は、暫定的にバイオ燃料におきかえる
途中経過のつなぎ技術にすぎない。というのが私の見解です。
電話の世界では、発展途上国では、有線電話のインフラを一気に飛ばして、
直接、携帯電話のインフラ時代にスキップしました。
同じ様に、自動車用燃料のバイオ燃料技術は、エタノールをパスして、
『バイオブタノール』および、その先の燃料を必要としています。
願わくば、日本の石油業界が、エタノールを飛ばして、一気にブタノール製造の
技術を世界に先駆けて進化させて、日本の技術力を世界に示してもらえると、
自動車業界においても大歓迎と言える状況、が作り出されるモノと期待いたします。
渡辺雅樹