微生物が地球を救う ゲノムの開拓者ヴェンター語る

”世界のバイオマス関連セレクション”微生物が地球を救う ゲノムの開拓者ヴェンター語る
A Bug to Save the Planet 
Newsweek June 7, 2008
http://www.newsweek.com/id/140066/output/print/

クレイグ・ヴェンター (Craig Ventor) は2000年にヒトゲノムの解読を、誰よりも速くしかも潤沢な研究費に恵まれた科学者チームよりも少ない経費で達成した。ヴェンターはいま、石油産業の再構築という新しい目標に挑戦している。メアリランド州の研究所では、エネルギーの生産能力を持った微生物の創造を目指して、染色体の操作を試みている。目指す微生物は二酸化炭素、太陽光、水を吸収して、SUVの燃料にもなる液体燃料を作る力を秘めたものである。それは単純な微生物の遺伝子情報を加工して、その微生物に砂糖と太陽光と炭酸ガスを原料にして、ガソリンやジーゼルのような燃料を作ろうというものである。試みているのはエタノールよりもエネルギー含量が高く、しかも今あるエネルギーインフラストラクチャがそのまま使えるような、エタノールよりもずっと複雑な分子を作ることができる醗酵槽である。原料として糖ではなく、二酸化炭素を使うところが大きな違いである。二酸化炭素を隔離して地中などに貯留する技術が進められているが、私たちは二酸化炭素の中の炭素を原料にした、新しい燃料を作ることを狙っている。エタノールがもつ最大の問題は、エタノールが水に溶けることである。エタノールに混合した水分は蒸気になってエンジンをおかすから、燃料としては重要な欠陥である。私たちが目指している燃料はごく微量の水分しか含まないから、この問題はない。開発している第4世代の燃料では、必要なのは日光、海水、燃料の原料になる二酸化炭素なので、日当たりのよい海のそばが望ましい。これらを頭に入れれば、どの国や地方にも条件に合った経済的な回答を、いくらでも考えることができる。

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