アル・ゴアの 『不都合な計画』

”世界のバイオマス関連セレクション”アル・ゴアの 『不都合な計画』Al Gore’s Inconvenient Plan
MIT Technology Review July 18, 2008

http://www.technologyreview.com/blog/editors/22098/

アル・ゴアは昨日の演説で、アメリカは10年以内に二酸化炭素を排出しない再生可能なエネルギーを使って、すべての電力をつくらなければならないという構想を語った。具体的な細目は語らなかったが、風力、太陽、地熱の利用を念頭においていたようである。原子力の利用についても触れなかった。可能性はどうかといえば、難しそうである。アメリカの2006年の発電量は40億kWhである。最終的に風力、太陽、地熱などでこれをすべて賄うということのようだが、今は1%強を占めているに過ぎない。それを100倍にするということはソーラーパネル、風力タービン、蒸気タービンを作ればよいということではなく、新しい送電システムも必要である。太陽発電では夜間の蓄電、風力発電では天候による発電の平準化も対策しなければならない。アメリカは再生可能なエネルギーに転換しなければならないという、ゴアの主張は正しい。しかも転換の歩みは気が遠くなるほど遅い。しかしバイオ燃料と食料品価格の問題で見たように、新しいエネルギー源のスケールアップには、予想しなかった結果を伴うものだ。計画には格別の慎重さが大切である。大規模な再生可能電力への転換には、達成困難な目標だけを決めた空疎なレトリックより、現実的な計画が必要である。

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