蔵前バイオ通信 第39号 2016年4月15日

今回も、私たちの活動状況と自然エネルギー利用の有益な情報をご案内いたします。
是非ご活用ください。

*******************目次 ***************************
1.技術情報検討会(吉川)
2.Kシステム開発プロジェクト(清田)
3.事業推進研究会(清田)
4.藻の健康食品回帰とジェット燃料遅れの憂え(廣谷)
5.熱エネルギー研究会(進藤)
6.竹林プロジェクト(篠崎)
7.バイオチクプロジェクト(渡辺)
8.ホームページによる情報発信
9.世界のバイオマス情報(宮地)
**************************************************
最近、バイオマスエネルギーへの社会的関心が高まり、バイオマス発電や林業関係者との交流が活発化しています。例えば、3月には、熊本の森林組合とKシステムの紹介や林業について活発な意見交換を行いました。

1.技術情報検討会(吉川)
再生可能エネルギーに関する社会的関心が高まるにつれて、バイオマスエネルギー及びこれに関連する技術情報があふれています。K-BETSではこれらの情報の中からメンバーが選んできたものについて、多角的に検討し、情報の真偽やその影響について討議する会を定期的に開いています。最近とりあげた話題からいくつか拾うと、「電力ロスを減らす”直流給電”について考える」、「森林を守る自治体の支援」、「セルローズナノファイバーとは?」、「電力の自由化の実情」、「NHKスペシャル”原発メルトダウン”について」など広い範囲にわたっています。

2.Kシステム開発プロジェクト(清田)
① 箱根湯河原の4つ目の現場での伐採。・搬出に向けて準備中。4月中旬以降に予定されている作業では、長期に亙る連続操業になるので、宿泊方法を含めて準備を進めています。
② 山梨県の森林組合で予定されている伐採・搬出事業に向けて準備中です。6月以降に計画されている事業では、木材搬出直後の自動停止装置を設けるなど、Kシステムの更なる改善改良について検討・準備を進めています。

3.事業推進研究会(代行清田)
① 10周年記念事業としてK-BETS 10周年 記念誌の発行を計画しているが古い資料集めに苦労しています。
② アドインが林業再生を目指して、3DレーザーカメラとKシステムとのコラボでPR誌を出す計画があり、7月以降での発行を計画している。3Dレーザーカメラを搭載できるドローンを探している。空中から林相を撮影できることは画期的なことだが現状のものでは谷風などが吹くと落下してしまうなどの問題がある。

4.藻の健康食品回帰とジェット燃料遅れの憂え(廣谷)
Solazymeは、車の油を藻から造っていた。そして日本の会社はバイオエネルギーとしてBDF、ジェット燃料として購入していた。今度名前を変えてTerraViaという名前になり、油を止めて健康食品製造に変えて、ユニリーバと長期契約を結んだ。アメリカのエネルギー省、環境保護庁は大幅に計画が変わってしまったものと思われる。今までは60円/Lと考えていた様だが。
日本は如何か。IHIのボトリオコッカス、デンソーのシュードクリシスティス等は「藻の星」といわれたがコストは未だ200~300円/Lの程度といわれている状況であり、今はデータを集めて海外での生産の準備中かと思われる。しかし各社充分コストダウンは出来たという話も聞かず、黒字の事業として出来そうだという話も聞かない。
それであればEUが作った法律(ジェット燃料は10%バイオ燃料使用する)は誰が実行するのであろうか。或いは飛行機に使用する人に燃料費として負担する事をお願いするのであろうか。

5.熱エネルギー研究会(進藤)
① 木質バイオマス発電は、再エネの導入加速によるCO2削減と併せて林業再生・地域活性化が目標とされています。当研究会では、これまで主に地産地消型の小規模バイオマス発電(特に熱電併給)を検討してきました。
② 再エネ導入の加速として大規模バイオマス発電の新設・稼働が進行に伴い、燃料調達問題が生じています。例えば、北海道紋別市に設立する5万kWの発電所では、必要燃料の約半分を国内未利用材等とし、不足分はPKS(椰子殻)等の輸入材と石炭を燃料とする予定となっています。一般に大規模バイオマス発電所は港に近く、燃料輸送の面からは利便性があります。しかし、山間地域の林業再生への貢献が今後の検討課題となります。

6.竹林プロジェクト(篠崎)
① 炭化炉の改良が続いています。熱変形対策です。実際に使用してみると、思わぬ不具合が発生します。基本設計は終わっているので、小さい改良を積み重ねています。
② 昨年暮れのエコプロダクツ展への出展、本年2月の竹炭シンポジウム開催などの努力により、商談がポツリポツリと出てくるようになりました。商談成立=竹林整備進捗ですから嬉しいことです。

7.バイオチクプロジェクト(渡辺)
① 竹ナノセルロースとバイオプラスチックの合成技術を研究し、改良中です。
中越パルプでは「竹ナノセルロース」の量産化に向けて、来年以降に製造設備の完成を目指して、鋭意開発を進めている。この動きにあわせて、量産性に優れた新素材「バイオチクナノ」の実用化を目指しています。
② 竹炭を活用した「樹木用土壌改良剤」ブレスパイプの新型を開発支援しています。
新容器の材料にバイオプラスチックを採用し、環境に優しい商品化を図ります。
「ブレスパイプ」は、(株)木風の樹木医のメンバーが「樹勢回復」に使用して各地での回復事例を実証しています。竹炭の効果の適切な利用事例です。

8.ホームページによる情報発信
吉澤有介に要約して頂いた専門書と再生可能エネルギー関連情報です。
① 2016/04/06「樹は語る」清和研二著 2016年4月6日[木の性質・役割]
② 2016/03/27図解「燃料電池自動車のメカニズム」 川辺謙一著 2016年3月27日 [科学技術]
③ 2016/03/17「生物化するコンピュータ」デニス・シャシャ&キャシー・ラゼール著 2016年3月15日 [科学技術]
④ 2016/03/13「弥生時代の歴史」藤尾慎一郎著 2016年3月12日 [社会・経済・政策]
⑤ 2016/03/03異端の植物「水草を科学する」田中法生著 2016年3月2日 [林業・農業]
⑥ 2016/04/06「樹は語る」清和研二著 2016年4月6日 [木の性質・役割]
⑦ 2016/04/10「日本海」-その深層で起こっていること-蒲生俊敬著2016年4月9日[気候・環境]
⑧ 2016/04/14「哺乳類誕生」酒井仙吉著2016年4月14日[気候・環境]

9.世界のバイオマス情報 (編集 宮地)
① 藻バイオ燃料のコスト低減を推進しているエネルギー省は、CAP法という名の新しい燃料生成法と、藻に脂質を作らせこれから燃料や化学物質を作る従来の考え方を棄てることによって飛躍的なコスト低減を図っている。
② 国立ローレンス・バークレイ研究所が、活発に挙動するHCTと名付けた酵素を使って植物中のリグニンを減らす技術を発表した。リグニンの生成が減り糖の生産が増えて、バイオ燃料の生産コストを大幅に削減するブレークスルー技術に発展する可能性がある。
③ トヨタ自動車や東芝は神奈川県と協力し、風力発電で製造した水素を燃料電池フォークリフトに供給する実証実験を今秋に開始する。水素燃料のサプライチェーンモデルを構築するのが狙い。政府も2020年東京五輪で「水素社会」を世界にアピールしようとしており、こうした実証実験が各地で広がってきた。
④ 日本学術振興会の支援も得て、スタンフォード大学でCO2と農業廃棄物や草などの非食用バイオマスを使って、PET代替可能なプラスチックの、ポリエチレンフラン・ジカルボキシレート(PEF)を作る新しい化学領域を開発した。工業規模になるにはまだ課題が多いが、期待のできる製品と領域である。
特定非営利活動法人 蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワーク
(http://www.kuramae-bioenergy.jp/)
略称 K-BETS(Kuramae Biomass Energy Technical Support Network)
〒108-0023東京都港区芝浦3-3-6
キャンパスイノベーションセンター801号室
ご質問等は返信メールでお寄せください。

カテゴリー: メルマガ:蔵前バイオ通信 パーマリンク