*******************目 次 ***************************
1.平成27年 を振り返って 理事長 吉川浩
2.「バイオマス・セミナー」講演概要 講演会企画委員会(進 藤)
3.Kシステム開発プロジェクト(米谷)
4.再エネを利用しての水素(廣谷)
5.熱エネルギー研究会(進藤)
6.竹林プロジェクト(篠崎)
7.バイオチクプロジェクト(渡辺)
8.ホームページによる情報発信
9.世界のバイオマス情報
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最近、バイオマスエネルギーへの社会的関心が高まり、K-BETSに対する問 い合わせが増加傾向にあり、過去2カ月で7件ホーム ページや電話での問い合わせがありました。今後とも、積極的に対応してまいります。
1.平成27年を振り返って 理事長 吉川浩
COP21 が 白熱した議論の末にようやく纏まり、18年ぶりに新たな枠組みができました。温暖化ガス排出量の概ね4割 強を占める中国、アメリカそして発展途上国が新たに加わった事は大いに評価してよいと思います。しかしながら、今後の目標に対する問題点 は多々残り、実効に向けての現実的な検討はこれから始まるといって過言ではないでしょう。K-BETS としてもこれから時間をかけて、個々の合意内容について検証して行きたいと思います。さて、今年の活動について振り返ってみると、まず、FIT に振り回されている木質バイオマス発電の急増とこれに対応するための燃料確保の影響を受け、間伐材収集のため に、Kシステムが実用機としてのプロ林業家による試用という試練に立たされた事が挙げられます。以下、竹林整備およ びダウンストリームの竹材の利用についての農業用や工業用としての実用化検討、従来から進めてきた藻類エネルギーの検討、バイオマスの熱 エネルギーとしての更なる有効利用への取り組みや、日本のみならず海外も含めた多種多様の技術情報の収集検討も続けています。他方、地方自治体、林業関係者、起業家からの相談も増え、これに 応えて、林業及び木質バイオマスに関わる具体的な問題についての支援活動も増えています。総括すれば、活動の枠は拡がり活発化した年でありましたが、それに伴う要員の不足、資金調達に悩まされた年で もありました。本通信を通して、皆様のご支援を賜る事ができれば幸いです。
2.「バイオマス・セミナー」講演概要 講演会企画委員会(進藤)
「森 のエネルギーで地方に活力を」のテーマにて、本年6月 に蔵前工業会とK-BETS共催にて「バイオマス・セミナー」を開催しました。このセミナーでは、近年話題となっている木質資源を利用し た地域エネルギー需給の自立(地産地消)を促進し、更にはCO2削 減にも貢献する方策について、大変示唆に富む講演がなされました。講演概要は本年10月 に蔵前工業会誌に掲載されましたが、より広い方々の参考に供する為に、この度、会誌発行元の許可を得てK-BETSのHPにも掲載いたしました。http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_info_b/?p=654
3.Kシステム開 発プロジェクト(米谷)
神 奈川県大雄山近くの山林のスイングヤーダ講習会を見学、アーム頂部から繰り出したワイヤーを2つのウインチを操作と、同時に張力をコント ロースしながら急斜面の材を牽引する作業は、熟練が必要で、危険が伴うと感じました。改めてKシステムの操作の容易さと安全性が確認出来 ました。山 梨県の森林組合からKシステムについて問い合わせが有り、組合を訪問し、Kシステムの紹介、現場確認など行いました。集材現場は2トント ラックがやっと入れる沢沿い、約1.5Kmの 作業道の両側で、100~150m、30~35度の斜度の下りの場所です。Kシステムが有用と思われるとのご意見をいただき、来年4月か らの作業に試用する準備を進める事になりました。なお、湯河原での、試用も引き続き進める予定です。
4.再エネを利用しての水素(廣谷)
水素のエネルギー利用には未だ問題は多すぎると言う人も居るが目 標を定めて努力することによって、解決できるはずです。2020年のオリンピックを切掛けにして日本の取組を宣伝しようとしているようで、選手村(1万7千人滞在)を水素タウンにし、宿泊所に水素で電気を供給、温水を供給するようです。水素エネルギーは、車にも利 用できます。選手運搬は水素バスで行うようです。トヨタの「ミライ」は2014年1月15日に首相官邸前で市販1号車の納車式が行われ、予定が400台 であったものが、1500台と膨れ、トヨタは特許を公開して次の会社が出てくることを期待しています。水素ステーション整備を進めてい ます。ホンダも2018年に発売します。水素はパタゴニアの風車で造るのが経済的だという説があります。 しかし、その運搬手段については、技術面や経済面の課題が残っているようです。
5.熱エネルギー 研究会(進藤)
レッツ(㈱)の丸太薪ボイラーは、原木を直接燃焼し蒸気発生をす るので有用であるが、現在は熱利用だけであるので、ORC(Organic Rankine Cycle)による小型発電を組み合わせた熱電併給について検討をしました。 またバイオマスの熱利用に関し、熱の需給は地域主導となるので、総務省の進めている「自治体主導の地域エネルギーシステム」について全国 の事例を報告しました。 事例では、発生熱を需要地に供給する熱導管コストが約1億円/Km(往復)なので、投資効果を考慮する必要があります。
6.竹林プロジェ クト(篠崎)
12月10日~12日、 東京ビッグサイトで開催された「エコプロダクツ展」にNPO法人竹もりの里と共同出展しました。全体で数万人、出店したブースには数百人が訪れました。もらった名刺の数 は約100枚。出展物は竹炭、竹粉、大型炭化器、竹細工、ポスター、各種パンフレット。当ブースには「2015年度ミス日本みどりの女神」佐野加奈さんが来てくれました。多くの商談や合意ができました。足を止めてくれた 多くの人が放置竹林問題を知っていました。力強い思いを抱いた3日間でした。
7.バイオチクプ ロジェクト(渡辺)
年初から取り組んできた「バイオマスプラスチック」と「竹ナノセ ルロース」の合成材料による射出成型品の試作に成功し、エコプロダクツに参考展示しました。この技術を発展させて、「植物由来プラスチッ ク」の普及に取り組む予定です。温室効果ガスの削減では、電力・熱エネルギー・輸送用燃料に話が偏りますが、今後は、石油由来の化学工業 製品(プラスチック等)の削減も重要課題です。エコプロダクツでも、多くの企業からバイオプラ関連の製品展示がありました。
8.ホームページ による情報発信
吉澤有介さんに要約して頂いた専門書と再生可能エネルギー関連情報です。
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/12/05
ロンドン便りおおカエデ伐採の記録 荒川英敏[木の性質・役割]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/12/05
「灯台の光はなぜ遠くまで届くのか」テレサ・レヴィット著 2015年12月5日 吉澤有介[科学技術]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/11/22
地球を突き動かす「超巨大火山」佐野貴司著 2015年11月22日 吉澤有介[自然]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/11/21
「たたかう植物」仁義なき生存戦略 稲垣栄洋著 2015年11月20日 吉澤有介[林業・農業]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/11/17
モンゴル紀行 2015年10月 宮地利彦[社会・経済・政策]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/11/07
荒川英敏のロンドン便り 11月号[社会・経済・政策]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/11/04
「声の秘密」アン・カープ著 2015年11月3日 吉澤有介[社会・経済・政策]
<!–[if !supportLists]–>· <!–[endif]–>2015/10/20
「猟師の肉は腐らない」小泉武夫著 2015年10月15日 吉澤有介[林業・農業]
9.世界のバイオ マス情報
1).藻・光合成利用によるバイオエネルギー実用化が進む
日本政府は2018年 にはジェット燃料の量産体制を整え、生産コストも改善して、2020年には実機で使用できる体制を整備する計画である。ユーグレナ社は藻の一種であるミドリムシから千代田化工建 設、全日空、いすず、伊藤忠などと連携して、航空機向け燃料を2020年までに実用化する量産計画を明らかにし、IHIや デンソーなどが藻バイオ燃料の生産計画を進めている。神戸、筑波、東北など各大学との連携も活発である。東日本大震災で被害を受けた宮城 県も産業回復の一端として藻の利用に積極的である。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ01I20_R01C15A2TI5000/
http://www.algaeindustrymagazine.com/japans-algae-pioneers-explore-productive-strains/
2).石油に代わる資源としてのバイオマス
独ヨハネス・グーテンベルク大学が米アラバマ大学と組みバイオマ スを化学物質の出発原料とするバイオマス化学の発展拡大を進めている。アメリカ、ドイツ、日本、カナダの研究者の力を合わせて、石油を使 わない新しい持続性と経済性のある化学インフラストラクチャーを構築する構想のStanCE (Sustainable Technology for a new Chemical Economy) と いう名の国際研究コンソーシアムを設立した。
http://www.biofueldaily.com/reports/Wood_instead_of_petroleum_Producing_chemical_substances_solely_from_renewable_resources_999.html
3.国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21) 関係
COP21では今回、初めて各国が肩を張らずに国レベルでGHG排出削減を語れるようになった。いままでにはなかった大きな前進である。しかし、排出削減の計画達成に見通し は暗い。
http://www.technologyreview.com/news/543596/as-paris-talks-near-emissions-pledges-fall-short/
蔵前バイオ通信第37号 2015年12月15日
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