蔵前バイオ通信 第12号 2011年8月01日

*******************目次 ***********************
1.新理事長ご挨拶
2.藻の研究会再開
3.ホームページの改定とネットの充実
4.Kシステム実証実験
5.新会員篠崎さんの紹介
6.ホームページの内容と更新状況
A.コラム 技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
7.世界のバイオマス情報佐野レポートから抜粋
(1)原子力発電に関する話題
(2)世界のエネルギー政策の変化

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1.新理事長ご挨拶


 ご承知のように、私たち人類に突きつけられた今世紀もっとも重要かつ困難な課
題が、人口爆発と経済発展の相乗効果がもたらす地球温暖化と云われております。
化石燃料への過度な依存を修正し、持続可能なエネルギーの利用を、全ての国民が
真剣に取り組む必要性を痛感いたします。
20063,東京工業大学の卒業生が中心
となって、当認定NPO法人を立ち上げ、お蔭さまで5年を経過致しました。
この間、暖かいご支援を賜りました各位に心から御礼申し上げます。現在までの諸
活動を通して、私たちに期待されていること、力を集中する分野、活用する技術な
どが絞られて参りました。
私たちの持ち味は現場に強い技術です。食料と競合しな
いバイオマスエネルギーに焦点を絞り、あくまでも巨大技術、システムではなく、
地域に根差した、小規模分散型の技術開発、システム開発を目指して参ります。
並行して、世界の最先端技術情報を収集分析し、我が国のバイオマスエネルギーが
目指すべき方向を明かにし、情報発信に努め、世論の形成や政策への反映に努めま
す。
より良い社会を構築するために、NPOの活動に対する期待が益々大きくなっ
て参りました。同じ志を持つ組織とネットワークを組み、総合力を高め、具体的な
社会貢献が結実するよう努力して参ります。
趣旨に賛同し、ご一緒に活動して下さ
る有志のご参加をお待ちしております。


2.藻の研究会再開


以前SCB研究会(シングル・セル・バイオマス)がありバイオをエネルギーとし
て有効活用することを研究していましたが種々の理由で中断していました。
新理事の広谷精がリーダーになって
7月から藻類をエネルギーとして活用する研究
会を再開する。名前は英語の藻を意味するアルジェ研究会とし微細藻だけでなく海
草類にまで範囲を広げる計画で中味の検討が進んでいる。


3.ホームページの改定とネットの充実


当NPOの内容が多くなってくるに従いホームページが見難くなってきている。
もっと内容が分かり、読みやすくするために全面的な改訂を考え進行中です。
Visual.art社の伊藤さんに業務を依頼し9月から制作に入る計画で進めています。
関係するNPOや関連事業所、官庁や市町村とより緊密な関係を構築すべくホーム
ページのリンク数を増やす活動も始めています。


4.Kシステム実証実験の検討


農水省23年度公募事業の「緑と水の環境技術革命プロジェクト事業」に応募した
山間地の活性化に向けた低コスト集材方法等・・・」は今年も採用されなかった。
ニーズは高いはずですが作業道を整備、大型作業機械を導入して林業を活性化する
国の方針と違うためかパスになった。
当NPOが支援しているNFKガス化炉の技
術開発「フェーズB」が承認され、その一環として安価な間伐材の収集、輸送の項
目がありその予算を利用してKシステムの実証実験を行う検討を進めている。



5.ボートウインチの試作品が完成


ボートウインチの利用はKシステムの重要な作業要素に位置付けられている。
伐採した木材をチェーンループのある場所まで引っ張ってくる役割をする。西欧から
30年くらい前に輸入され、かつて使われていたが、部品が劣化し更新が必要になって
も国内で作られていなかった。

和光機械(http://www.wacoh.ne.jp/)の大和社長がこれに大変関心を持っていただ
き試作品が完成しました。これを活用すること、林業関係者にその特性をPRするこ
となど積極的に進めていく考えです。


6.新会員篠崎さんの紹介


篠崎さんは製鉄会社に勤務、研究部門で電磁鋼板や自動車用鋼板の開発に取り組ん
できた。定年後、理系の子供を育てる蔵前工業会の「くらりか」活動にも取り組ん
でいるが今回縁があってK-BETSに参加された。バイオマスは初めての分野で
あるが何かのテーマを見つけてやっていきたいと意欲的である。


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  7.ホームページの更新状況  
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—-  A.コラム技術者がバイオマスを語る —-(1)ランドラッシュ  NHK取材班 新潮社
旧ソ連のウクライナやシベリアなどで、国が解体した後の混乱で農地が放置され、
外国資本が目を付け争奪戦になっている。土地と水を使ってできた食物を収奪する
構造が各地でできつつある。行き場を亡くした投資資金がこんな使い方をしている。

(2)丹精で繁盛  瀬戸山玄  ちくま新書
山形県鶴岡市で農林業を営むKさんの心温まる話題。米作りや山林作業で丹精を込
め、様々な工夫をこらしてきちんと収益を上げている姿がある。
 

 —-  B.ニュース&トピックス —-
(1)エネルギー戦略:ドイツと日本の差   福島 巖
福島原発事故が発生してから世界各国でこれからのエネルギー政策を巡って議論が戦
われている。自然エネルギーを推進しているドイツと原子力を中心に進めてきた日本
との差がどこにあるか簡単にまとめてある。

(2)海洋発電の話題     吉澤有介
具体的な動きは少ないが大エネルギー源であるので世界中で様々なトライアルが行わ
れている。日本はすぐ近くに海流があるので積極的に活用方法を考えて行きたい。
(3)太陽光発電について   本多 信一
太陽光発電はパネルの初期投資が高いこと、天候に左右されること、エネルギー密度
が低いことなど問題点があり優遇買取り価格制度が必要であるが使い方やバックアッ
プを工夫することで一定の役割は果たす。

(4)注目を集める天然ガス発電   福島 巖
原子力発電を停止する動きが世界的に広がりを見せる中、それを補う資源として天然
ガスが注目されている。掘削技術の進歩で新しい資源が利用できるようになったこと
と発電効率アップ、切替えの迅速性などガス発電の強みが発揮されている。
(5)みちのく紀行(その1)月山   吉澤有介
見ごろを迎えた高山植物がみごとです。

(6)みちのく紀行(その2)羽黒山  吉澤有介
宿坊での朝のお勤めや千年を越える爺スギ、五重塔の話など。


**********  7.世界のバイオマス情報 **********


(1)   原子力発電に関する話題
原子力ではチェルノブイリの現状、深刻化する使用済み核燃料の保管問題の報告が
あった。東電の事故に日本の政治・産業社会と文化の背景がある。過去、安全保安
院の組織問題や隠蔽体質に改善を忠告したが取り上げられなかったと南カリフォル
ニア大教授の指摘があった。現在計画中の原発の40%は中国である。それにも関わ
らず中国には独立した規制機関がなく人材も全く不足しているとの指摘がある。

(2)   世界のエネルギー政策の変化
GEが新型ガス発電機の製造を発表。立ち上がり時間の短い(30分)バックアップ
用発電機で容量50MWである。太陽光や風力発電の調整に使用する。風力発電に関し
てはドイツが風力発電の研究開発を強化するため研究所とスタッフの強化を発表。
上り坂のアジア風力発電市場として中国とインドが登場している。太陽光発電では
欧州で増強が続き、201040GW(ギガ)の能力が今年ドイツ・イタリアを中心に
7.2GWになる。

量が増えると同時に問題もでている。買取り価格を低く抑えようとする政策や設備
設置場所の環境問題など。結晶Siの値段は量産で大幅に下がったが在庫が増え出
しているのが欧州の現状である。
 

発行元:認定NPO法人蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワーク(K-BETS
108-0023 東京都港区芝浦3-3-6活動場所:東京工業大学田町キャンパスCIC内
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