*******************目次 ***********************
1.東北大震災を経験した後のエネルギー政策
2.第6回通常総会の開催と新体制
3.ガス化炉開発資金継続決定、Kシステムは申請中
4.バイオマス発電の買取り価格40円/kwhを提案
5.新会員阿部さんの紹介6.ホームページの内容と更新状況
A.コラム 技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
7.世界のバイオマス情報–佐野レポートから抜粋
(1)短期、長期の地震発生予知技術
(2)木質ペレット商品市場誕生
(3)リスクの少ない地熱発電
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1.東北大震災を経験した後のエネルギー政策
政府はエネルギー政策の中で原発推進目標50%を撤回し、自然エネルギー発電比率を
アップする方針に変換した。原発は安いことが推進理由であったが使用済み核燃料
の最終処分や事故時の放射線被曝処理など莫大な費用は計算に入っていなかった。
当NPOはドイツや米国などに比べて自然エネルギーに対する研究開発が消極的で
マスコミや社会の関心も低く日本の将来を悲観していた。
この災害をきっかけにエネルギー節約の流れがでてきた。便利だということで作ら
れたもの、必要以上に大型化されたものなど見直さなければならない。
通勤手段も自転車が登場、社会の仕組みが変る可能性もある。
確かに今自然エネルギーのコストは高く、使い勝手も良くない。時間をかけて皆で
工夫していけば地域に合った理想的なエネルギーを選択し、使用比率を上げること
は可能になる。
IPCCが発表した直近資料では世界の1次エネルギーに占める自然エネルギーは
現在13%であるが2050年には77%までアップするという見通しである。
2.第6回通常総会の開催と新体制
5月18日田町のCIC産学連携談話室にて会員22名の参加をえて第6回通常総会
が開かれた。平成22年度の活動報告と決算、23年度の活動計画などが報告され
た。役員が改選されて新体制が発足した。新任役員は理事長:稲生武、副理事長:
福島巌、吉川浩、常務理事:米谷栄二、理事:廣谷精、進藤昭夫、小西達雄(特別
顧問)、監事:宇高克己、顧問:藤田良廣、福士暢郎の諸氏で事務局長は米谷栄二
が担当する。
7月より新体制が発足する。
稲生新理事長の抱負:6年目に入り組織も固まってきたので「K-BETSだから」
できる活動を積極的に展開する。外部へのメッセージの発信や講演会などを充実さ
せ社会貢献をしていく。
3.ガス化炉開発資金継続決定、Kシステムは申請中
a) 当NPOが支援しているNFKガス化炉の技術開発「NEDO助成事業のフェ
ーズA(事業化可能性調査)」は5月で終了し、「フェーズB(基礎研究)」への
継続が承認された。開発内容は「超高温常圧水蒸気を用いたバイオマス廃棄物の高
効率ガス化技術によるコジェネシステム」で今年度も支援を継続することになった。
b) 農水省23年度公募事業の「農山漁村6次産業化対策事業」の中に、「緑と水の
環境技術革命プロジェクト事業」があり、これに当NPOは、未利用バイオマスの
エネルギー利用に関する調査事業として、「山間地の活性化に向けた低コスト集材
方法による未利用間伐材の小規模熱・電力利用技術の調査検討事業」を申請した。
木材の低コスト集材システムを開発し小規模な設備で熱と電力に変換、バイオマス
エネルギーの利用促進に向けて本格的に取り組むための予算申請である。
4.バイオマス発電の買取り価格40円
/kwhを提案
再生可能エネルギー発電の全量買取り制度は20円/KWh一律として内閣で検討さ
れているがバイオマス発電の優遇策としては不充分な内容である。
林地残材を有効活用するため発電所周辺100km以内の原材料を使った小規模発電に
対しては30円/KWh、効率アップのため熱電併用(コジェネ)発電の仕組を取り
入れている発電所に対して40円/KWh相当の買取り価格設定が必要であると考え
る。バイオマス発電所も建築廃材や安い輸入木材を使うような大規模発電所は20円
/KWhでよいが、森林の維持育成に必要な間伐材を対象とする小規模発電にはこの
程度の優遇策を設定しないと参入者が増えない。
林業活性化の支援として是非実現したい目標である。
5.新会員阿部さんの紹介
阿部さんは製紙会社に勤めたことがあり災害のあった東北地方での生活経験があっ
た。今回の災害で早速プロジェクトを立ち上げ、被災者に簡易温泉「希望の湯」を
提供、喜んでいただいたようです。現地の瓦礫になっている廃材を燃料として利用
した。何事にも積極的な方でお会いした時頂いた木製の名刺は印象的です。
********** 6.ホームページの更新状況
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—- A.コラム技術者がバイオマスを語る —- (1)日本の農林水産業 八田達夫、高田真 日経新聞
日本の林業について:間伐と路網整備の遅れが衰退を招いた。森林組合が正常に機能
せず公共事業の日銭稼ぎに走ってしまった。フィンランドなどでは政府が小規模所有
者をまとめる仕組みを作り、地域を集約施行することで成果をだしている。(2)日本の農林水産業―2 八田達夫、高田真 日経新聞
日本農業について:ここでも市場の失敗と政府の失敗を鋭く指摘し、効果的、具体的
な方策を提言している
(3)捕食者なき世界 ウィリアム・ソウルゼンバーグ 文芸春秋
鹿の異状繁殖にオオカミを放つことでバランスが回復した。
お互いに緊張しながら生きていことが自然の姿なのである。
—- B.ニュース&トピックス —-
(1)
水沢観音近くにある山林の間伐した姿を見学した。所有者が賛同して広範囲な集約
間伐を実施した。たくさん出た材木を販売することにより収益がでてそれを分配す
ることができた。路網が整備されるとどこでもこれが可能になる。 (2)芦ヶ久保の日向山 4月24日
日向山ハイキング:果樹園とプラムの花、イノシシ対策には苦労の跡が・・(3)早春の多峰山(とおのすやま) 4月11日
********** 7.世界のバイオマス情報 **********
(1) 短期、長期の地震発生予知技術
アメリカの地上と衛星などの観測によると、今回の地震直前の数日間に震源地上空の
赤外線放射が異常に増え3月8日に最高値を示した。これは地震の数日前になると異常
に大きなストレスが蓄積、大量のラドンが放出されるという理論と合致する。
他の大学では過去の発生場所のネットを作って予知をトライしている。山林火災が発
生し、延焼するのは燃え易い木のネットワークができているからであることがヒント。
(2) 木質ペレット商品市場誕生
EUでは暖房用として人気が高まっている木材ペレットが、近く公設市場で小麦、金
や原油と同じように市場商品として取引されるようになる。ロッテルダムにあるエネ
ルギー取引所で年内には木材燃料商品として初登場する。世界のペレット需要は年間
800万トンないし1,000万トンである。再生可能エネルギーの見直しを受けて存在感を
増加させている。
(3) リスクの少ない地熱発電
クリーンで持続性のあるエネルギーが24時間休みなく供給され枯渇することなく供給
できるのが地熱の特長である。世界の昨年度地熱発電能力は10,175MWである(原発15
基相当)。この比重は総発電量の5.5%を占める。地熱事業には、財政的、地質的なリ
スクがある。一般には高圧の液体を注入して岩盤を破砕する必要があり、これが誘発
地震や帯水層の汚染などを起こす危険がある。G社の新技術を使えばこれらのリスク
を避けることができる。この技術は熱伝導のよいグラウト材で覆われた熱交換器を使
うことで、周囲の岩から熱を効果的に吸いとることを狙っている。液体が閉ループを
通して熱を地上に運び、ここで第二の閉ループにある液体が気化し発電タービンで発
電する。