今夏の気象は異常でした。猛暑と豪雨、それに強大な台風が相次ぎ、多くの被害も発生して、安心して山に行ける状況ではなかったように思います。9月に入っても大気の不安定が続きました。しかしもう落ち着くだろうと、秋山を狙うことにしました。
それに、思わぬ肺がん手術からちょうど丸1年です。術後のシニアのムリない秋山なら、これはやはり西穂高でしょう。新宿発の高速バスで平湯、新穂高ロープウェイまで含めた2日間のまるごとフリー12,240円を見つけました。しかも嬉しい平湯の入浴券つきです。
幸いK-BETSの岩田さんにもご同行頂けるとあって、天気図と相談して思い切って出かけました。それが何と大当たり、山ガールとシニアでにぎやかな西穂山荘の夜は、満天の星空に天の川がくっきりです。朝はこの上ない快晴となりました。乗鞍も笠ガ岳もお久しぶり。穂高まで一点の雲もありません。二人で懐かしい西穂独標2701mを目指しました。
この稜線は、私の山岳部での初めての穂高合宿の古戦場でした。今から64年前の夏山です。40kgのキスリングを背負って、はるばる徳本峠を越えて岳沢に入り、翌年3月の極地法の下見を兼ねて入念に歩いたのです。ジャンダルムの飛騨尾根もやりました。3月には奥穂目前の天狗のコルに前進キャンプを設けたのも、北アルプス雪山の強烈な思い出です。
もっと元気なら西穂高までと言いたいところですが、85歳の今では、独標までがいいところでしょう。それでも澄み切った秋山の大展望は素晴らしいものでした。
以下同行者 岩田頼次郎撮影の写真
西穂稜線から笠ヶ岳「2897m」、抜戸岳「2812m」
独標下から「丸山」「西穂小屋」「焼岳」「乗鞍」
北八ツと蓼科山 その後ろが富士山