蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワークの頭文字を採って「K-BETS」を
NPO法人の略称にしています。
バイオマスに関心のある方に広く門戸を開放していますのでぜひお問い合わせください。
ホームページのURL: http://kuramae-bioenergy.jp/
第4号をお届けします。
*******************目次 ***********************
1.認定NPO法人5年延長認可
2.KIYOTA式木寄せシステム
3.ホームページの内容と更新状況
A.コラム技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
4.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋
(1)光合成機能を持つ人工葉
(2)バイオ燃料の新原料レブリン酸
(3)編集者:佐野さんの感想
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1. 認定NPO法人5年延長認可
K-BETSは2008年3月特定非営利活動法人(認定NPO法人)の資格を得ま
した。本年3月までの認定だったので再延長を申請し2013年まで5ケ年間の資格
を得ました。全国には約3万9千のNPO法人が存在しているが認定NPO法人とし
て認定されているのは134法人に留まる。
多くの認定NPO法人が財政的に厳しい運営を行っている。新聞報道によると政府は
税制面と規制緩和の面で支援を強化する方針で4月までに具体案ができるという。
現在も認定NPO法人への寄付に対しては非課税になる所得控除がある。欧米に比べ
て寄付をする個人が極めて少ないのが問題である。
寄付の総額米国約20兆円に対して日本は2千億円余に過ぎない。
2. KIYOTA式木寄せシステム
現在ホームページにて新しい集材システムの技術的内容を(1)から(6)に分け
て詳細を公開しています。http://kuramae-bioenergy.jp/news/?p=294
また全体をまとめたpdf版を作っていますのでご要望があればメールにてお届け
します。
日本の木材は収集するのに大変なコストがかかり輸入材や他の材料との競争に負け
てしまっている。林業の復活のためには5000円/m3以下の集材コストが必須条
件である。
政権が変ってから各種大型林業機械の導入や林道網の整備、作業員の教育など国の
政策として林業の活性化を目指す動きが出てきている。
(1) システムのイメージ
山の上と下に立つ木の幹に滑車を取り付ける。この滑車に鎖を通してループを作る。
その中の滑車の一つに駆動ギアを取り付けて駆動させる。この駆動部を小型トラック
に載せて移動させれば道路のある場所ではどこでも作業が可能になる。
ループも地形や山林の状況に合わせて鎖を入れ子してやれば適当な長さを選ぶことが
できる。
木を鎖のループに取り付けるのには丸太をワイヤでくくってカラビナを使って固定す
る。木の取付け、取外し時はループの駆動を止めて行う。
木材の先端にはスリッパ形ソリを履かせて障害物を避ける。また冬のソリ競技に使わ
れているハーフパイプ(FRP製)を傾斜に沿って敷設して滑り易い状態を作る。
(2) 集材場所と集材方法
木の伐採はチェーンソーで行って、あらかじめ決めた集積場所(スポット)まで木
を移動する。この移動には小型ボートウィンチを使う。スポットに木が集まったら
集材作業の開始になる。
このシステムは縦方向に木一本分を搬出できる幅があれば良いので列状間伐よりも
狭い筋状間伐が可能になるので大切な木を選んで残すことができる。
(3) 作業道の節約
ループを使って搬出できる範囲が道路の上部200m、下部200mと考えれば40
0~500mピッチで水平方向の作業道があれば作業が可能になります。
一般に必要とされる高密度道路網は100~120m/ha必要なのに対しこのシステ
ムでは25m/ha程度の道路で済みます。
(4) 木材収集費用の算定
このシステムでは大型の機械設備投資や道路網の整備費用など初期投資が極端に少な
い。したがってその回収のため稼働時間を増やしたり能率を無理に上げたりする必要
は無く天候など自然と労働者のリズムに合わせた作業が可能になる。
しかし作業は複雑で種々判断業務が増えるため作業者の教育訓練は充分行う必要はあ
る。試算の結果土場渡しで3200円/m3程度で可能になる。
管理間接費や山主への謝礼などを加味しても4000円/m3強の費用で済みそうで1
万円を越える現状に対して強力な競争力を確保できることになる。
以上がこのシステムの内容で早く現場実験を試みて問題点とより精度のよいコスト見
積を得ることにしたい。
********** 3.ホームページの更新状況 **********
—- A.コラム技術者がバイオマスを語る —- (1)地球環境 46億年の大変動史 田近英一著
地球が誕生してから現在に至る歴史について、生物の誕生や小惑星が衝突して恐竜が
滅亡した事件などが取り上げられている。生物が住める環境があったこと、生物の活
動で空気や温度など環境条件が整えられてきたことが分かる。
(2)木とつきあう智恵 エルヴィン・トーマ オーストリアチロル地方の木こ
りがそこに伝わる言い伝えが事実であることを実証してみせる。
12月から1月の新月に伐った材木が病害虫の浸食に強く品質が良好であることを突
き止める。月の引力は我々の生活に大きな影響を与えていることに納得する。
(3)イタヤカエデはなぜ幹を枯らすのか 渡邊一夫 亜高木のカエデはブナやミズ
ナラの日陰で生息する。弱い光で光合成を行うので全て効率良く行われるよう葉の向
き、葉の厚さなど工夫している。光が足りないときは幹を枯らしてしまい復活のチャ
ンスを伺うことまでやっている。
(4)CO2温暖化の正体 S・ブロッカー 地球の過去の歴史から海洋が大量な炭
酸ガスを吸収している。これが大気に運ばれるブロッカーのベルトコンベヤー理論の
提案者である。わずかなCO2の変化で気候が野獣のごとく暴走して人類に牙をむき
出すことがあり得る。
(5)スノーボール仮説 かつて地球は3回の全面凍結の経験をしている。
メタンガスの温室ガスで覆われていた地球がシアノバクテリアの誕生で酸素が発生し
た。メタンガスが酸化して無くなってしまい裸になってしまった結果だという。 —- B.ニュース&トピックス —-(1)KIYOTA式木寄せシステムの話(1)~(6)の6編
(2)日本海の防砂林 吉澤有介(3)藻には夢がある 広谷 精
********** 4.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋 **********
(1)光合成機能を持つ人工葉
中国上海交通大学チームが米化学会総会で発表。天然葉の化学と生物学の反応を徹
底的に模倣した人工葉構造(AIL)を決定した。太陽のエネルギーを取り入れて
水を効率的に水素に変換する。光合成の触媒として知られる酸化チタンを注入した
後白金のナノ分子を埋め込んでアネモネで実験した結果8倍以上の効率で水素の製
造が可能になったという。(2)バイオ燃料の新原料レブリン酸
植物の糖分を濃塩酸で加熱処理する過程で発生する副産物、レブリン酸を除去する
のではなく活用する試み。
Dumesic(ウィスコンシン大学)は燃料状のHNFを作ることに成功した。
もう一つの副産物、蟻酸とレブリン酸の結合でアルケン混合物(ガソリンやジーゼ
ルの基になるもの)を変換することに成功した。
これらの活用でバイオ燃料の収益改善に結ぶ狙いがある。(3)編集者:佐野さんの感想
少し前には藻の、最近はセルローズの登場機会が増え、コーンエタノールは業界の
盛衰や政策面の話題ばかりで技術的な記事はほとんど目につかなくなりました。森
林破壊の話題性も減り、途上国ではヤトロファとバイオジーゼル志向が高まり、軍
と航空業界のバイオ燃料指向も高まっているようです。
バイオ燃料への関心はアメリカ、EUでは政治テーマのかなり上位にあるのに反し
日本は産油国並みの関心の低さが感じられます。
― エネルギー総輸入国の日本、このままで良いのだろうか? -