蔵前バイオ通信 第3号 2010年02月20日

蔵前バイオマスエネルギー技術サポートネットワークの頭文字を採って「K-BETS
NPO法人の略称にしています。

バイオマスに関心のある方に広く門戸を開放していますのでぜひお問い合わせく
ださい。
  ホームページのURL: http://kuramae-bioenergy.jp/

 *******************目次 ***********************
1.林業活性化の視点
2.KIYOTA式木寄せシステム
3.高温水蒸気ガス化炉の実用化について
4.ホームページの内容と更新状況
A.コラム技術者がバイオマスを語る
B.ニュース&トピックス
5.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋
(1)光合成の模倣によるバイオ燃料の作り方
(2)合成生物学のバイオ燃料への利用
(3)オリジンオイル、筑波大と藻ベースの燃料で共同研究
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1.  ­­­­林業活性化の視点


バイオマス利用の一つとして間伐材の燃料化を推進していきたいというのがK-BETS
の考え方である。そのためには林業全体がより活性化してこれで生計をまかなえる
ような人々が大勢生まれてくる必要がある。
現状は産地で木材を伐採して集材するまでのコストが10~15千円/mと高いた
め住宅用建材のような高級用途に限られてしまう。
このコストが5千円/m位に低下すれば燃料や断熱材原料としての多方面利用が見
えてくる。
コストを下げるためには現在ある機械設備や道具、ノウハウを駆使して
新しい集材システムを構築する必要がある。
K-BETSで提案する「K木寄せシステム」はアイデアとしてはすばらしいもの
だと自負しているが実際の山作業経験の無い会員の中ではもっと現場試験を重ね技
術条件を詰めるべきだとの意見が多い。
技術と実験結果などを公開しますので広くアイデアと実験のための資金を皆さんか
ら募金したいと希望しています。




2.              KIYOTA式木寄せシステム


現在ホームページに新しい集材システムの技術的内容を公開しつつあります。
高額な林業機械を使って一本一本処理していく方法は米国や北海道のような広大かつ
平坦に近い山では成立するが日本の急峻な地形では難しい。
架線で連続処理する方式はその設備の設置、撤去費用が大きくコスト引き下げに困難
を伴う。
K木寄せシステム」は列状間伐材の集材を対象にした鎖を使ったループ方
式で数個の木材を連続して引き上げまたは引き下げようと考え出した方式である。
比較的軽装備でどのような山に適応できて工夫次第では広い応用性を持った方式であ
ると考えます。


3.高温水蒸気ガス化炉の実用化について


NFKhttp://www.nfk-hd.co.jp)が開発している世界で初めての高温水蒸気ガス化炉
についてその設備概要をホームページに紹介した。
この技術の特徴は
(1)高カロリーのガスが得られること、
(2)ガスがクリーンであること、
(3)木質系のペレットやチップをガス化してもタールの発生が無くその処理不要の
ため装置がコンパクトにできることである。
この特性を生かして原料の所在地(森林や公園、街路樹、ゴルフ場などの樹木や廃材
を対象)に行って車に積んだ設備でガス化しボンベに収容して使用先に配給すること
も可能になる。設備は完成しているが木質バイオマスを原料にした長期に渡る実証試
験を待って商業プラントとして完成する予定である。
ようやく実験予算が付き前に進む動きが出ている。
どんな場所でどんな原料を対象にしてガスを作りどのような施設に供給するか調査研
究を重ねたい。
 


**********  4.ホームページの更新状況  **********


—- A.コラム技術者がバイオマスを語る —-(1)「黄砂―その謎を追う」 岩坂泰信 中国内陸部で空中に飛び出した微粒子
が空気中の浮遊物を付着して太平洋に落下する。これが魚介類の栄養源になって生
命を支えているという。

(2)「グリーン・ニューデール」 ジョーンズ著 現在第2次産業などの失業者
を新たなグリーン産業を創造して吸収しようという提唱を行いオバマ政権の政策に
も採用された。

(3)「天と地人の間で」 鷲谷いづみ著 激しい気象や環境変化が生物の適応す
るスピードより速いため彼らの絶滅危機を迎えている。
都市のインフルエンザ流行もその一端の現象である。

(4)セルロースを分解しジーゼル油やアルコールを作る新しい微生物について
広谷 精 
新しい分解微生物を巡る米国社会の動向を佐野レポートから要約している。

(5)「マグネシウム文明論」 矢部隆ら著
レーザービームの特性を生かして太陽光から2万度の高温で海水中のMgを精錬し
て金属Mgを取り出す。これを燃料電池にしてエネルギーを得ると同時に海水の淡水化
も行うという壮大な夢が描かれている。


(6)「山を育てる道作り」 田邊由喜男ら
四万十式林道の作り方の解説実践を通じて作り上げた道作りの基本。現場で発生する木
株、石、土を徹底的に利用する。谷筋の水処理がポイントで自然に逆らわない方法がベ
ストだとしている。

(7)「バイオエタノールの本」 日刊工業新聞  木材などセルロース系のバイオマ
スからアルコールを作るのが何故難しいか調査したもの。
多糖類の分解が困難である事
が原因である。 福島巖

(8)菌が地球を救う 小泉武夫 人類は菌から多くの恩恵を受けている。
特に日本人は発酵食品と仲がいい。生ゴミの処理など含め菌力を見直すべきだ。 
  —-  B.ニュース&トピックス —-

(1)6千万円の木屑ボイラー 東北の話題であるが使い込んで行くうちにその良さ
が分かり廃材や廃油まで燃して元が取れたとのこと。

常識と思っていることでも多方面から検討すると逆になることもある。

(2)「遺伝子のしくみ」 池北雅彦など わがNPOは工学系の人が多いのでこの
ような分野の基礎学習が必要。組み替え技術の功罪については多くの意見があるので
更に調査する考えである。


(3)「遺伝子技術とクーロン」 生田 哲 遺伝子をどのように操作してこの組み
換えが可能になったかこの本で易しく解説してもらった。


(4)自然のいとなみ 福島 巖 昨年の「花畑便り」に変り今年は左の表題にて四
季を通して自然界の変化を送ります。本年度3編を載せています。

花に拘らず動植物に注目するつもりです、お楽しみください。


**********  5.世界のバイオ情報-佐野レポートから抜粋  **********



(1)光合成の模倣によるバイオ燃料の作り方
生物化学では遺伝子組み換え微生物を利用して、二酸化炭素から直接燃料を作る
研究が進んでいるが、化学の分野でも光合成を模倣して太陽エネルギーを利用し
た合成システムの開発が進んでいる。

触媒作用で水を酸素と水素に分解する方法は数多くあり、炭酸ガスと水素を結合
してハイドロカーボンを作る方法もいくつかある。これまでの触媒錯体では、水
を分解するためには強力な紫外線の存在が必要で、通常の太陽光でできるものは
まだ存在していない。
ペンシルベニア州立大学のCraig Grimes教授の研究によって、銅と白金からなる
触媒ナノ粒子で被覆した二酸化チタンのナノチューブアレイが、炭酸ガスと水蒸
気の混合体を太陽光の存在下で直接メタンに変換できる可能性を明らかにした。(2)合成生物学のバイオ燃料への利用
合成生物学が新分野として脚光を浴びている。微生物や植物に単一の遺伝子を導
入する代わりに、一式の遺伝子群を導入して代謝経路を全面的にカスタマイズし
不要な機能は捨てて必要な機能だけを効率化的に作ることができる。
最初に利用される分野のひとつにバイオ燃料がある。UCLAチームがこの試みに
成功した。光合成機能のあるバクテリアを改造した微生物を使って、二酸化炭素
からイソブタノールを生成した。
(3)オリジンオイル( ロサンゼルス)は筑波大と藻ベースのジェット燃料で共
同研究を開始。
指導しているのは藻の大家前川孝昭筑波大学名誉教授である。

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