*******************目次 ***********************
1.Kシステム普及プロジェクトを発足
2.バイオマスセミナー「藻類がジェット機を飛ばす」
3.NFK社の「バイオマスガスの熱電併給事業」に助成金が付く
4.電力の固定価格買い取り制度が7月から実施された
5.竹林の管理と竹の利用について
6.新会員山本善太さんと宮地利彦さんの紹介など
7.ホームページの内容と更新状況
8.世界のバイオマス情報-佐野レポートから抜粋
(1)セルローズバイオ燃料用植物開発
(2)バイオマスの半炭化処理(Torefaction)
(3)米国では再生エネルギーが原子力を越えた
(4)福島原発事故の報道
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1.Kシステム普及プロジェクトを発足
国土緑化推進機構の24年度「緑の募金事業」に応募した「間伐を促進するチェーン式集材システムの普及事業」が合格しました。426万円の補助金が得られ、飯能などで行っていた実証試験規模の体験実習をモデル機を使って飯能市、君津市など関東地区数ケ所で開く予定です。林業に携わっているリーダークラスの人を対象に、4回/年以上、120人以上の参加を予定し清田常務理事がリーダーになって活動を推進します。実機ベースの能力を高めた設備については市販品のみでは対応が困難なため得意な技術を生かして新設備を設計中です。
2.バイオマスセミナー「藻類がジェット機を飛ばす」
究極のバイオマスエネルギーといわれる藻類のエネルギー利用の現状と将来について講演会を2012年6月26日(火)に大岡山で開きました。
(1)『エネルギー利用に適した藻類について』国立環境研究所 中嶋 信美氏
(2)『航空業界におけるバイオジェット燃料の動向~藻類への期待』日本航空(株) 阿部泰典氏
生産側と使用者側の進捗状況を両氏から御講演いただいた。詳細は「蔵前工業会バイオマスセミナー」 http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_info_b/?p=181 を参照ください。
講演会には121名もの参加を得、その後の懇親会でも47名の方が講演会で話すことができなかった専門的な話題で盛り上がりました。燃料用の藻類については大量生産ができる事が前提であるがまだその段階には至ってない。一方航空業界はバイオマスのドロップイン燃料を渇望し、規格まで整えて待っている状況である。特に面積あたり生産性の高い藻類に将来の主役を期待している。
3.NFK社の「バイオマスガスの熱電併給事業」に助成金が付く
「超高温水蒸気バイオマスガス化熱電併給事業」に関しフェーズA、、Bの段階を完了し、今回は最終のフェーズCの実証試験に申請して合格した。NEDOの「新エネルギーベンチャー技術革新事業」の一つとして認められたもので実証試験は間伐材のガス化及びその発電・熱利用を事業者と共同で実験するものです。協力相手企業は現在交渉中です。当NPOはNFK社と協議しどのような技術支援をするか検討中です。
4.電力の固定価格買取り制度が7月から実施された
前号で報告したように政府から再生可能エネルギーの電力固定価格買取り制度の原案が7月より実施に移った。メガソーラーの分野などは利益獲得のため激しい参入競争が展開されている。当会が注目する間伐材を使った発電所の建設については福島県に5,000kwの1ケ所が立ち上がったとの情報がある。 これがモデルと錯覚してか地方の町村ではこれを目指す動きもあるようだがバイオマス資源の安定供給という側面からはとてつもなく大規模なものである。資源の長距離輸送のない地産地消の観点からは適正規模は2~3百kw位ではないかと見ている。原発のような百万kwクラスと比較するとアリのような存在だが熱利用を生かして高効率のエネルギー回収を心掛けないとバイオマス資源は生きない。石炭混焼などで大量に燃焼してしまうと資材としての建築材やパルプ材などの利用に問題が出ると心配されている人が多いと聞く。しばらくは日本社会の動きに注目していきたい。
発電所建設に当たって考慮すべき項目についてhttp://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=706 にまとめています。
5.竹林の管理と竹の利用について
林業システム研究会の話題の一つは人工林内部に侵入し激しい勢いで広がっている竹林問題である。従来様々な用途に使われてきたが、現在それがプラスッチックなどの工業製品にとって代わられてしまった。新しい用途を開拓して竹で経済活動が成り立たないと竹林の攻撃には対処できない。篠崎会員が中心になって情報を収集した結果竹をパウダー加工して土壌改良剤や家畜の餌、その他に応用している例が見つかった。安いパウダー製造機械の開発も進んでいるようで当会で取り組む課題がたくさんありそうだ。千葉県長南町でNPO「竹もりの里」を開設し実際に竹林を管理し、竹製品やパウダーなどを作られている理事長の田島と知遇をえた。田島さんが今回、研究会に参加され作業の実態やその販売先の話などを伺って非常に参考になった。用途の開拓と竹製品の知名度を上げていく必要を感じた。
6.新会員山本善太,宮地利彦さんの紹介など
山本さんは静岡県浜松市在住でバイオマスに関心があり参加しました。天竜川の森林や竹などに興味を示しています。実際にはK-BETSの会合には出席できないのでメールを通しての交流になります。宮地さんは電機メーカーで家電の設計などに携わってきました。その後大学に勤められましたが情報処理の研究をしていますので会の広報活動を担っていただけたらと期待しています。夏場に入って何人かの方が体調を崩されていますので8月は理事会、例会を中止して夏休みを取ることに決まりました。
********** 7.ホームページの更新状況 **********
ロンドンオリンピック開幕まであと10日 2012年7月16日 荒川英敏
イギリスの車検(MOT) 事情 2012年7月12日 荒川英敏
練馬区の牧野記念庭園 2012年7月2日 吉澤有介
イギリスの初夏はスポーツデイ(運動会)のシーズン 2012年7月1日 荒川英敏
滞在先のビクトリア時代のレンガ塀が倒壊 2012年6月28日 荒川英敏
大佐渡石名の天然スギ 2012年6月17日 吉澤有介
ダンゴムシにも心はあるのか 森山徹著 2012年7月25日 吉澤有介
「決着! 恐竜絶滅論争」 後藤和久著 2012年7月15日 吉澤有介
イギリスとドイツの住宅エネルギーパスについての考察 2012年7月11日 荒川英敏
最後の吉本隆明 勢古浩爾著 筑摩選書 2012年7月7日 吉澤有介
自己組織化とは何か 都甲潔ら共著 講談社ブルーバックス 2012年7月9日 吉澤有介
身近な雑草の愉快な生き方 稲垣栄洋 ちくま文庫 2012年6月30日 吉澤有介
********** 8.世界のバイオマス情報 **********
(1) セルローズバイオ燃料用植物開発
再生可能な液体燃料を作る方法の中ではバイオマスを生産するのが最も生産効率が良いとみられる。食糧と競合する糖、デンプン、植物性油脂は持続性の点で問題はあるが食用にならない細胞壁のリグノセルローズは長期にわたる利用の可能性が残る。世界にはこの百年間に発生した6億haの耕作放棄地がある。光合成植物の中で4ケの炭素でCO2を固定するC4植物(普通の食糧などはC3系)がある。ススキやスイッチグラスなどの多年生植物物で光、水、窒素を効率的に使う能力がある。少ない水分で生存し、地下深く根を張りミネラルを蓄えるので肥料が不要である。アガベは干ばつ地帯に、塩害に強いユーカリやプレアリーコードグラスなどその土地に適合した植物の開発が進んでいる。(米、エネルギーバイオ科学研究所の報告)ただ燃料に加工する技術やコストの問題は残る。
(2)バイオマスの半炭化処理(Torefaction)
半炭化は木質バイオマスを石炭と混焼するなどの目的で低い温度(200- 300°C)で熱分解処理する。これでエネルギー密度の高い(約30%)製品ができ、重量と嵩が小さくなるため長距離輸送もできるようになった。石炭と同じように長期の屋外貯蔵ができ、除湿する必要もない。粉砕や微粉化には石炭用の装置を使用できる
(3)米国では再生エネルギーが原子力を越えた
米国エネルギー情報局によると2011年再生可能エネルギーの生産は対2009年比+26%、2010年比+15%と着実に比率を増やしてきている。その分訳はバイオマス/バイオマス燃料49%、水力35%、風力13%の構成になっている。全体では再生可能エネルギーが原子力発電を約5%上回るところまで伸びてきている。また再生可能エネルギーが国産原油で発電する量の77%にまで比率を上げ、その差を縮めたことが注目される。
(4)福島原発事故の報道
日本で原発事故の原因調査が行われ発表されている。この情報は世界中で関心を持って見られていている。放射能の人体に対する影響とか動植物に対する影響のレポートもたくさん出ているが基本的なデーターが不足しているために事故の影響なのか他の原因だったのか判明できないのが現状である。
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アメリカフヨウ 1日咲いたら落ちる1日花です
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