蔵前バイオ通信 第17号2012年06月01日

*******************目次 ***********************

1.第7回通常総会の開催と平成24年度新体制発足

2.バイオマスセミナー「藻類がジェット機を飛ばす」 6月26日

3.再生可能エネルギーの電力固定価格買取り制度原案公示
4.オーストリア・ギュッシング町のエネルギー自給モデル

5.集材のKシステムの進捗

6.新会員森田さんの紹介

7.ホームページの内容と更新状況

8.世界のバイオマス情報佐野レポートから抜粋
(1)短命汚染物対策連合が発足した(20122月)
(2)バイオチャー/森の残留物は宝の山
(3)持続性のあるバイオガスを普及する条件
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1.
第7回通常総会の開催と平成24年度新体制発足

5月28日田町のCIC産学連携談話室にて会員18名の出席を得て第7回通常総会が開かれた。平成23年度の活動報告と決算、24年度の活動計画などが報告された。役員の改選年度ではなかったが稲生理事長が健康上の問題で退任され、副理事長の吉川浩が新しい理事長に就任した。理事の梶原肇が退任し顧問に、脇野紘胤が新理事に就任して事業推進部門を担当する。
吉川理事長の挨拶:昨年からの方針を引き継いで実行していく。国のエネルギー政策について方針が定まらず困惑している。再エネ固定電力買取り制度の社会に対する影響が大きく、我々が取り組んでいるバイオマスエネルギーの分野も予測しがたくなってきているので、状況を踏まえ柔軟に対応していきたい。


2.
バイオマスセミナー「藻類がジェット機を飛ばす」
究極のバイオマスエネルギーといわれる藻類のエネルギー利用の現状と将来について講演頂きます。知り合いをお誘いの上是非とも参加くださるようお願いします。
  日時:2012年6月26日(火)    講演会 17:0018:45 交流会 19:1520:45
  場所:東工大蔵前会館「ロイアルブルーホール」(東急目黒線大岡山駅前)

(1)『エネルギー利用に適した藻類について』
  国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター室長 中嶋 信美氏
(2)『航空業界におけるバイオジェット燃料の動向~藻類への期待』
  日本航空 広報部 担当部長(兼)安全推進部長付阿部 泰典氏
       の2題を予定しています。

3.再生可能エネルギーの電力固定価格買取り制度原案公示

7月から実施予定の標記買取り制度の各種類別買い取り価格が公表された。(4/25
最も関心の強い「バイオマス・固形燃料燃焼」については
買取区分    未利用木材    一般木材    リサイクル木材
  税抜き価格   32/kwh     24円/kwh     13/kwh

買取期間はいずれも20年、内部利益率(IRR)は未利用木材税前8%、他は4%と算定している。最も警戒しているのは価格が高すぎると紙や建築資材として利用すべきものが燃やされてしまうことである。間伐材などは履歴が分かるようトレーサビリティの証明書が必要になる。経産省はこの案に対するパブリックコメン
トを応募中で実施に向けた最終段階に入っている。当会は未利用材発電に関して能力の小さい発電所に限定するよう提言している。

4.オーストリア・ギュッシング町のエネルギー自給モデル
この町は産業もなく、出稼ぎで生計を支える寒村であった。出費の大半がエネルギー消費であることが判明し町長がリーダーになって改善に取り組んだ。様々な活動の中でも身近にある木質バイオマスを徹底活用して燃料を自活することを目指した。
熱電併給システムなど積極的に取り込み10年余の努力のすえ、自給は勿論、安い土地と安い燃料を武器に多くの企業を呼び込むことに成功した。その結果新たに1500人の雇用や町の税収アップなどの成果を得ることができた。日本の農山村のモデルとなるような例であり是非参考にして頂きたい。

. 集材のKシステムの進捗
NFK社の下請け契約でプロジェクトチームを作って進めた「Kシステムの実証実験」は飯能の森で2回に渡って行いその結果を報告書にまとめて提出して全ての業務を終了した。
三井物産フォレスト社の亀山の森にてKシステムのデモンストレーションを行い社員の方に実際に作業を行ってもらう仕事を3日間に渡って行った。専門家だけあって短時間に要領を習得し45度の急斜面を引っ張り上げることができた。
今年はなんとか予算を習得してこのシステムのPRを関東地区数か所で実施すると同時にもっと実用的な耐久性のある設備にするべく検討していく。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=696  

6.新会員森田さんの紹介
Facebookで当会員と知り合いになり入会することになった。バイオマスエネルギーの研究員を約10年務めた後故郷の鹿児島県に戻り木質バイオマスの会社に勤める40歳を過ぎたばかりの人。会合等に参加できないのでメールを通して情報交換しながら活動する。

**********  6.ホームページの更新状況  **********
(1)
「群れのルール」ピーター・ミラー著 東洋経済新報社 吉澤有介 生物の不思議なシステム
(2) 4億年の知恵に学ぶ「昆虫未来学」藤崎憲治吉澤有介    昆虫たちの多様な知恵
(3)森の人 四手井綱英の九十年 森まゆみ 晶文社 吉澤有介   森林生態学の先駆者
(4)「ニホンオオカミ」は生きている 西田智著 吉澤有介   本当にオオカミだったのか?
(5)英国で再エネ発電量記録的な伸びを記録        水力、風力などの自然エネルギーの活用が着実に進む
(6)イギリスのPV-Tメーカー Romag社を訪問  荒川英敏   発電で生じる熱を取り込むこの方式に注目
(7)
ロンドンのアナログTV放送終了が秒読み段階へ荒川英俊   英国は長い時間を掛けて変換してきた

**********  7.世界のバイオマス情報 **********

1.短命汚染物対策連合が発足した(20122月)
地球温暖化の原因になっている汚染原因の55-60%が炭酸ガス、40-45%が短命汚染物(煤、メタン、など)であると推定される。この物質は大気圏に数日から15年ほど存在するものであるがこれの削減効果は大きく特に北極圏やヒマラヤなど極地で温暖化被害の大きい所ほど効果がある。また大量の人命や農作物の被害が救われるという。

2.バイオチャー/森の残留物は宝の山

伐採や手入れを施すたびに、大量の切り株、枝、木の破片などが地上に残される。そこでワシントン大学では、森の残留物をバイオチャーに変える装置を開発した。バイオチャーは燃料としても使えるが、地上に散布すれば土地改良剤としても利用できる。ワシントン大学で開発したのはピックアップトラックに積める程度の軽い耐熱性積層ブランケットで、これで残留物を包みバイオチャー製造用のキルンのように利用する。空気を透過しない材料を使い、使用時に適宜に通気口を開けられるようになっている。通気口を閉じると内容物は熱分解され、ゆっくりいぶされてバイオチャーが残る。

3.持続性のあるバイオガスを普及する条件
再生可能エネルギーとごみ処理の両面で中核となるバイオガスを広く普及するためには、社会、環境、経済の三本の柱が必要である。バイオガス設備は有機物を廃棄したときに発生する有毒なメタンを減らす意味で環境的持続性がある。また社会的には廃棄物の発生者と処理設備業者とエネルギー消費者間に共通関係ができる。経済的な意味では設備所有者に健全な損益の維持と近隣家庭のごみ処理費用の経済負担を減らす意味合いがある。(生ゴミの焼却処理は問題がある)

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