蔵前バイオ通信 第16号 2012年04月01日

*******************目次 ***********************
1.バイオマス発電の固定価格買取制度に関する意見表明
2.Kシステムを三井物産フォレスト社亀山の森にて簡易実験
3.ガシファイヤーの見学会
4.国土緑化推進機構に補助金申請
5.NPO法人百年の森づくりの会 との交流会
6.ホームページの内容と更新状況
7.世界のバイオマス情報佐野レポートから抜粋
(1)天然ガスが再生可能エネルギー(RNE)に勝てない3つの理由
(2)海藻栽培によるバイオ燃料の確保と海洋環境の改善
(3)し尿を使った藻バイオプロジェクト
(4)ドイツの電力政策
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1.
バイオマス発電の固定価格買取制度に関する意見表明

再生可能エネルギー固定価格買取制度が7月から実施される。その価格をいくらにするか現在検討が進められている。我々が関係する木質バイオマス発電については規模が小さいためか声が聞こえてこない。国内数ケ所にバイオマス発電所はあるが建築廃材や輸入木材を対象にした大規模発電である。当NPOが目指しているのは間伐材などの捨てられている部分を利用して熱と電力を得ようとする限定地域で行われる小規模な地産地消システムである。発電規模が小さいので買取価格を高くして集材費用をカバーすると共に、小規模効率型バイオマス発電システムそのものを開発育成することが重要である。間伐作業を推進し林業の再生をはかるためにはこの制度の支援が必要である。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=675
 

2.Kシステムを三井物産フォレスト社亀山の森にて簡易実験

三井物産フォレスト社所有の千葉県亀山の山林で小規模集材実験を実施しました。ボートウィンチを使って木を引き上げたり横引したりする実験とかなりな急斜面をチェーン使用の電動ウィンチで引っ張り上げる作業。集材作業の各要素を三井物産フォレスト社の担当者に見ていただくと同時にボートウィンチを開発した和光機械(株)の技術者に作業現場を見ていただいた。今回のデモでシステムの各要素は理解していただけたので4月初旬、更に規模の大きい実験を2日に渡って行う計画をしています。三井物産フォレスト社の多くの関係者にご理解いただくような計画を考えています。

3.ガシファイヤーの見学会
 
実際に稼動している姿を数人の会員で栃木県の塩原温泉のホテルに見に行きました。チップやペレットに加工する必要がなく90cmにカットした丸太をそのまま投入できること。水分を含んでいても問題なく、燃焼時間が長いので数時間に一回の投入で済むこと。燃焼温度が高く1000℃を越えるので炎は青く灰の発生が少ないので処理が楽である。このように操作がシンプルであるメリットは大きい。利点が多く用途も広がりそうなのでいかに安く作って供給できるかが今後の課題である。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/news/?p=684
 
会員情報によると道志村にある道志の湯でも5台の同様設備が稼動に入り4月から稼動するとのことである。

4.国土緑化推進機構に補助金申請

製紙連合会が支援している緑の募金事業にKシステムの普及活動を行うために費用を申請することになった。今まで飯能などで行っていた実証試験規模の体験実習を国内数ケ所で行い林業に携わっているリーダークラスの人々に体験して頂く。その活動を行うための諸費用を得るためである。  

5.NPO法人百年の森づくりの会 との交流会

埼玉県の荒川流域で植林活動や山村の人々との交流を推進されている百年の森づくりの会から吉田常務理事が参加されて交流会が開かれました。整備された山道もない埼玉県最高の和名倉山をベースに活動されていて、植林会の様子などをビデオ映像見ながら楽しく説明されました。大きく育った苗を運び上げる作業は大変な労働のようです。

 **********  6.ホームページの更新状況  **********

(1)   英国の建築設計事務所訪問   荒川 英敏 ゼロカーボンハウスの実体を見る
(2)   「竹徹底活用法」       農文協 竹に関する新しい知見があります
(3)   世界に残る馬による木材の搬送 メールの交換  東北の遠野に残っている。英国でも問題があるようです
(4)   バイナリー発電について    研究会資料 その原理と地熱発電の例
(5)   「水を守りに森へ」水について  山田 健
(6)   「水を守りに森へ」シカの被害  山田 健  シカの被害とその対策
(7)   日本の田舎は宝の山       曾根原久司  このような発想が必要です
(8)   植えない森づくり       大内 正伸 日本の山は自然に育つ、間伐が必要
(9)   ロンドン便り(6)、(7)  荒川 英敏 住宅暖房、DIYペアーガラスに挑戦 

**********  7.世界のバイオマス情報 **********

1.天然ガスが再生可能エネルギー(RNE)に勝てない3つの理由
シェールガスの開発で天然ガスが注目されているが長期的視野で見ると
・天然ガスは遠からず値上がりする: 大量のガスが見つかったと宣伝されたが10~ら20年で寿命が切れる心配がある。
・追われる立場のRNEのコストが着実に下がってきている:例えば風力についてはタービンの大型化や信頼性の改善、材料の開発などで成果を挙げている。
・化石燃料である天然ガスは地球を温暖化する:
天然ガスは石炭代替のピンチヒッターにはなり得るが総合評価でRNEに勝ることはできない。

 2.海藻栽培によるバイオ燃料の確保と海洋環境の改善
テルアビブ大学のA教授らはバイオマス原料として海藻に着目している。海藻は陸上植物より成長が速く、農地も占有しないので原料として適性が高い。加えて海藻にはし尿や養殖による海中の過剰栄養分を清浄にする効果がある。イスラエル南部の紅海を含む沿海地域の海水はし尿や養殖で汚染され、海藻やサンゴ礁も生存しにくくなっている。

3.し尿を使った藻バイオプロジェクト
藻にとって栄養豊富であるし尿で藻を育てバイオ燃料を作るという魅力的なプロジェクトが南スペインで進められている。し尿に含まれる有機物質の多くは嫌気的に消化されてメタンを生成する。メタンと一緒に生成するCO2は汚水に還流されて藻の餌になる。汚水には窒素とリンが豊富に含まれている。使用する藻は特別なものでなく普通に池に生えているものである。藻を採集・分離し、バイオ燃料を作ったあとの残差は発電用の燃料として利用できる。

4.ドイツの電力政策 
グリッド電力として送電される再生可能電力量は、ドイツが先進工業国中で最も多く、2011年には再生可能電力が20%の壁を超えた。2011年までに設置された太陽光発電設備は25GWに相当し、夏季には電力需要の40%を太陽光発電が供給した。現状では不足分は天然ガスに頼らざるを得ない。グリーン電力は値上がりしたが、最近の調査では大部分のドイツ国民はこれを容認している。ドイツの家庭用電力料金はフランスの約2倍だが、産業用の料金はほとんど同じである。主な理由は大手250社に対しては再生可能を対象としたサーチャージを免除されていることである。ドイツの電力供給は大型の集中型から、小型の分散型に変わろうとしている。4大電力会社が全電力需要の75%を支配しているが、彼らのグリーンン電力のシェアは7%しかない。また再生可能な電力投資の約75%は個人投資家、地域社会、農民、中小企業によるものである。いまドイツで顕著なことは小さな町でエネルギー革命が進行していることで、100以上の農村共同体が再生可能のほぼ全部を担っている。再生可能エネルギー分野で働く人の数は、原子力と石炭発電を合わせたよりも多い。グリーンエネルギーが若干高くても受け入れているのは、それが大企業ではなく地域の社会と住民に還流しているからである。

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