その4 滞在先の庭の木Sycamore(日本名:おおカエデ)の伐採の記録 2011-8-19
ロンドン西部イーリング区の滞在先の庭にあった木Sycamore が’76 年の入居時は数メートルの高さでしたが、この30 数年の間に10 数メートルに成長しました。しかし根が木の傍のレンガ塀を地中から押し上げ数年前から塀が徐々に傾き始め2006 年に自治体の許可をもらい、大幅な枝落としで風による揺れを抑え、様子を見ましたが、塀の傾きは止まりませんでした。
結局、自治体もレンガ塀倒壊の危険性を認め、伐採を許可し2009 年7 月27 日*Tee Surgery によって伐採されました。
伐採状況を記録していましたのでご紹介します。
レンガ塀際の伐採前のSycamore の全景
枝も幹も落とされ半分の高さに
*Tree Surgery(樹木の専門家)とは森林、樹木の知識に、景観や公園の法律や各自治体の条例専門学校で学び、剪定、枝落とし、伐採等を経験して取得する資格です。資格取得後は業界体であるArboricultural Association(AA)(森林連盟)に加盟し、最寄の自治体に登録され、公庁や民間(個人邸の庭の木を含む)からの仕事を請け負うことができます。
当日、作業の前にTree Surgery が木に登り、巣を作っていた“リスの家族”に転居をし、親リスは子リスを口にくわえて,すぐ近くのポプラの木に無事に転居してほっとました。残念ながらリス家族の転居の模様を写真に収めることは出来ませんでした。
庭の奥のレンガ塀はビクトリヤ女王の時代に、近くにあった女王の施設の警備にあたってた近衛兵の兵舎の約150 年経過した塀だったのです。その後この地は女学校として約100間使用された後に、1958 年に再開発が行われ、当時のレンガ塀の一部が滞在先と隣家と境界として現在も使われているわけです。
結局、自治体からSycamore の伐採の許可が下りるのに5年を要しました。これは滞在先の域が緑地保護区に指定されており、街路樹も公園の樹木、そして個人の庭の木々も社会本の“緑地”を形成する重要な要素である為、樹木の大幅な枝落としから伐採に至るま自治体の許可が必要となっています。特に伐採に関しては厳しく審査され、許可が下りまで数年を要するのも珍しくありません。ちなみに無許可での伐採には2,000 ポンド(約4 万円)の罰金が科せられます。
伐採されたSycamore は現場の強力シュレッダーでチップ状にされ、自治体指定のバイオ専業者であるEco Sustainable Solution Ltd(ESS 社)に引取られCompost(堆肥)、Mulch(腐土)、Soil(土壌)、Colour Chip(公園や遊園地の歩道用)等に姿を変え、一部はChipoard( 壁材等の建材)メーカーに送られリサイクルされます。ちなみにESS 社は2013 年の稼働を目指して、25,000 トン/年のWood Chip を燃料とした3MW のバイオマス発電所を建設で、完成時に現場を訪問したいです。
落とされた枝や幹の山 強力シュレッダーでチップ状にされトラックの荷台へ
残った根幹から芽が出ないように根幹をデイガーで粉砕した時の屑で白くなった伐採直後の庭
現在の庭です。広さ約50 ㎡半分が芝生、残りがパテイオで芝生を取り囲む様に節の花を植えています。左の紫陽花とレンガ塀際の中央の小振りの竹は976 年の入居時からSycamore の成長を見守り、伐採も見届けました。(了)