菌が地球を救う! 小泉武夫     宝島社新書

               あなたのまわりの発酵菌が人を幸せにする

除菌社会は本当に健康か?
菌の無い場所はない。除菌効果を宣伝して色々な商品が紹介され
ているが果たして何の菌を除いているのか?

無菌状態になると人間の身体の抵抗力が弱くなって悪い菌にむし
ばまれる。
昔から日本人は菌と上手に付き合ってきた。
取った魚はすぐ腐る、その防止のため塩漬けにする(それが発酵
して)  塩辛が出来上がる。
発酵食品大好き民族が日本人である。

菌の働きには2種類ある。
 発酵:微生物が人間のために良いことをしてくれる。
       (味噌、チーズ、酒や抗生物質など)
 腐敗:微生物が人間のために悪いことをする(病気など)。

ガンは菌力で治す
日本人の寿命が延びて高齢社会になってきている 
 食料が良くなったこともあるがそれ以上に貢献したのは菌力
(1)抗生物質ができて結核やガンなどの治療薬が開発された。
ペニシリンは青黴。

(2)化膿止めが可能になり大掛かりな手術が実施できるように
なった。
ガン治療薬は広く抗生物質が使用される、化学合成薬は
副作用があり問題である。

環境問題と食料自給
日本国民の捨てている食べ物(コンビニ弁当、給食残飯、家庭残
飯)2千万t/
カロリベースで食料の60%は海外依存である。
海外の水を使い燃料を使った船で運んできた物が破棄されている。

日本の河川を蘇えらせた環境発酵菌:
工場廃液に含まれる有機物によりバクテリアの異常発生―酸素の
大量消費―魚類の死滅という悪循環が高度成長期の副産物だった。

これを排水処理設備を作り、メタン発酵法や活性汚泥法など有機
物を菌に食べさせることにより解決している。
この技術は日本の誇りである。

生ゴミを燃やすな!
生ゴミは湿っているから不完全燃焼する。ダイオキシンが発生し
やすいので重油を使って高温燃焼している。
これらの焼却灰は処分場で埋め立て土壌汚染を引き起こしている。
生ゴミを菌の力で発酵させ堆肥に変え土に戻すことにより炭酸ガ
スの発生を無くすことができる。
 

菌力で水素を作る
ラン藻菌に光が照射され周囲に水があると水素と酸素に分解す
る能力がある。
光合成細菌は有機物の存在下に光が当たるとそ
の有機物を分解して水素を発生する。
これに生ゴミを与えればエネルギーを得た上でゴミ問題も解決
するといったメリットがでる。

日本酒 発酵技術の優秀さ……世界一高いアルコール度を達成し
ている
日本独自の醸造法:(1)米を原料にする/(2)麹カビを応用す
ること、で発酵原酒平均20%、最大23%のアルコール度を達成して
いる。他の酒類ではワインで813%、ビール37%などに比べて圧
倒的な高さを示す。
ウィスキーやウォッカなど高アルコール酒は蒸留して濃度を高めて
いる。何故これができたか? 
清酒酵母はモロミの中でアルコールを発酵するが自分で作ったアル
コールに冒されて活動が鈍ってくる。
しかし麹菌はリピットプロテインという複合蛋白質を持っていて細
胞内に貼りついてアルコールの働きをブロックする。
麹を使った味噌、甘酒、米酢などはガンを予防する、疲れた身体を
癒すといった健康に役立つ作用を持っている。
                   記  福島 巖

カテゴリー: バイオマス パーマリンク