デンマークの首都コペンハーゲンを訪問　2014/10/28　荒川英敏

ロンドンだより　その46

先日ロンドンから飛行機で2時間のデンマークの首都コペンハーゲンを訪問して来ました。訪問の理由はゼロカーボンハウスに必須の熱交換型換気システム（MVHR-Mechnical Ventilation with Heat Recovery）にエアコンを組み込み一体型とした製品を製造し、ヨーロッパで20年に亘って販売されている当地のメーカー、ジェンベックス社の担当者とコペンハーゲンで会うことでした。

製品そのものは、既に英国スインドン市の英国新築・改築住宅センターNSBRC(National Self Build & Renovation Centre)で見ており、その後にジェンベックス社の英国代理店を訪問し実際の設置現場も見ていたので十分に承知していたが、日本の仙台以西の、猛暑と湿度の高い夏や、氷点下前後の気温と乾燥した冬が特徴の地域に於いて高断熱・高気密住宅への設置の可能性について有意義な情報交換をすることが出来ました。

本製品のコンセプトは、北欧の寒さが厳しく湿度の高い冬の気候地域に対応し、北欧型　　高断熱･高気密型住宅では省エネ効果と居室内の快適性を両立させるピッタリの製品であり、驚きの特徴の一つに室外機と室内機が内蔵されたコンパクトに設計であることです。

日本では換気システムとエアコンはまったく別物で夫々で設置されているで、今後、東京の高断熱・高気密仕様住宅専門の住宅会社と実用試験を実施しながら、日本向けの新しいコンセプトの換気システムの開発が出来ればと願っています。

ジェンベックス社のエアコンが内蔵されている熱交換型換気システムの内部

ここで、デンマークについて少し触れて見たいと思います。デンマークは人口550万人（北海道くらい）の小国ですが世界でも屈指の高福祉国家でもあります。医療費、介護費、教育費（大学の学費も含む）も無料とのことでありますが、それを賄うのは税金であり、その為、国民は所得の52%は税金で持っていかれ、消費税は25%と高い税率となっています。

地形はユトランド半島と以外にも大小約400の島で構成されているとは思いませんでした。首都コペンハーゲンは最大の島シュラン島の東の端にあり海峡を挟んで対岸はスエーデンとなっています。デンマークが大半を占めるユトランド半島の南はドイツと国境を接し、総面積は4.4万k㎡で日本の約1/9です。

二日目の午後、ロンドンへの復路の飛行機の出発時間まで間があったのでコペンハーゲンの観光スポットを見て回りました。まずデンマーク王室がお住まいのアマリエンボ宮殿を訪問した時、ちょうど衛兵の交代が行われていました。次にウオーターフロントで帆船やアンゼルセンの童話でお馴染みの人魚の像を見て、一度は行ってみたいと思っていたデンマークデザイン博物館を訪れました。

デンマークデザイン博物館は18世紀初に建てられた王立病院の建物を継承して、1926年に開館しました。北欧デザインの家具、特に椅子の展示には圧倒されました。その中で今年で生誕100周年になるデンマークの巨匠ハンス・J・ウｴグナー（1914～2007）が戦前から亡くなるまでにデザインした椅子は500種類にもなりそのほとんどが展示されていました。

多くの椅子が展示されている中で、1949年にデザインされた”Just one good chair”と呼ばれている椅子に恐れ多くも座らせてもらいました。座ると言うより横たわる感じで、腰から体全体がフワーと支えられている様で、何ともいえない快い感じでした。考えて見ますと、椅子は西洋から日本に持ち込まれたもので、日本で日本人体型に合う様に椅子の高さは調整されていますが、展示されている椅子の中で、幾つかの座ることが許可されている椅子に腰掛けて見ましたが、いずれも腰が微妙に納まる所に納まり背筋が自然に伸る様に作られているのではないかと思いました。しかし、いかんせん足が短いので靴が床に届かなかった様子に、イギリスの便器でも足が床に届かないので同じことだなと思わず笑いがこみ上げて来ました。

この博物館は建物が回廊式で、今回は時間の関係で展示スペースの半分ほどしか見て回ることが出来ませんでしたが、残りの半分は、次の楽しみに取っておくことにしました。

以下、一連の写真をご覧ください。