国産のスギのガードレールに挑む 飯村豊 雑誌致知9月号 福島巖

  宮崎県木材利用センター所長飯村豊さんが取り組んだスギ材活用のインタビュー記事がとっても参考になった。その概要を紹介します。

スギの需要拡大を目的にセンターが取り組んできた方法は木材業界以外の異業種の方々と一緒にやるという方式である。相手の立場に立ち相手の土俵に上がっていく。

スギ材利用のガードレール
スギのしなり易く粘り強いという特性を生かして開発したもの。車が衝突した時のエネルギーを回収し元の車線に戻し、車を破壊しないで済む。この安全性の高いレールは宮崎県内の林道や公園で使い始めている。

木材使用の三原則

①強度 - ②設計 - ③化学処理
の三つ。
この3番目が重要でこれがしっかりできていないと作ってもすぐに腐ってしまう。

最初の大型構造物
北海道津別町で地域材を使って橋を建設して欲しいと依頼を受けた(三井木材工業在籍の時)。橋ができて町の人から感謝してもらったが雰囲気からして本心ではないように受け取った。
平成13年会社を退職してスギの利用技術を実用化するため現役の最後の10年間を賭けようと決心した。
最初の取り組みが宮崎県の西米良村の林道内に県産のスギで長さ140m、高さ24mの車が通る木造橋をつくることであった。関係者からは「常識では考えられないこと」と反対を受けたが実験をやって取り組んでみた。スギは柔らかくて従来通り太めの穴に鉄板で接合したところ変形してしまいガタガタになってしまった。この解決策を探している時先人たちの「木殺しの知恵」を発見した。木材に小さな穴をあけその穴より一回り大きな鉄の棒を打ち込んだ所、スギの復元力が働き接合強度を維持することができた。古来から使われている手法で柔らかいスギにはピッタリの方法でした。その次にはこの方法で7400本のスギを使った直径122mの「木の花ドーム」を作ることにも成功しました。
ユアマインドの精神
相手の立場になって考える、相手が望むことを全力を尽くして努力するというエンジニアの立場で現在仕事をしています。そして大事なことは「目的のものより一回り大きなものを狙う」ことです。120mのドームを考える時200mのドームをどう作るかから始めると裏が見えてきてたくさんのヒントが得られ成功に導いてくれました。

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