ロンドン便り その28
英国運輸省は日立が、在来線の次世代都市間高速鉄道(IEP-Intercity Express Program)向け車両270両分、£1.2bn(約1800億円)の追加オーダーを、落札したと発表しました。これにより、主要都市間の移動時間の短縮が見込まれています。
現在、在来線で結ばれている都市間のインターシテイ125(200kmh走行の特急列車)の車両は、30年を越えており、特に非電化区間は、列車の前後に、デイーゼル機関車を持つ プシュ・プル方式です。これに対して、日立が提示していた車両は、クラス800と呼ばれる、次世代新型車両で電化と非電化区間に対応できる、電動機とデイーゼル機関を備えた、新しいコンセプトの車両です。
日立は、既に工場用地を手当てしている、カウンティー・ダルム州のニュート・エイクリフに建設される新車両工場で、先に受注していたクラス800、約600両と、今回の追加分270両の製造を予定しており、これによって730人の雇用が見込まています。マクローリン運輸大臣は、国が約束している、鉄道インフラ更新の一部として、今回の投資を決定したと、話しています。
一方、ダービーに車両工場を持つ、カナダのボンバルディア社は、£1.6bn(2200億円)のテムズリンク線の新型車両の契約を、ドイツのシーメンス社に取られましたが、変わりに南部鉄道向けの£385(540億円)分の新型車両プロジェクトを受注しました。
日立が供給する、次世代のクラス800は、2017年のサービス開始を目指し、ヨークとニューカースル経由のスコットランドへの東海岸本線に、さらに、グレート・ウェスタン本線(ロンドンのパデイングトンからブリストル経由でウエールズを結ぶ本線)でサービスに就くことで、より便利になることが期待されています。
次世代のクラス800は、在来線を140mph(225km/h)で走行し、ロンドンからニューカースルまでは17分、エディンバラへは18分、到着時間の短縮ができます。このことは、ロンドンとバーミンガム間のHS2(専用軌道を350kmh走行で走行する新幹線)の、超高速鉄道が走り始める9年前に、これらがサービスに就くことになります。
これにより、「輸送力の増強だけでなく他都市への接続を容易にし、乗客に様々な恩恵を与え、さらに英国の経済も刺激されるだろう」とマクローリン運輸大臣は語っています。
今回の追加オーダーを加えると、日立のIEPプロジェクトの受注額は£5.8bn(8,800億円)になります。(了)
英国の新聞「The Daily Telegraph」電子版記事(2013.7.18)より要約
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