細胞内の核酸の構造と働き
核酸はDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の
2種類がある。
いずれも塩基―糖―リン酸の化学物質でできている。
この基本単位が直列に数千、数万つながって核酸になっている。
塩基は4種類あり少しずつ構造が違っている。
DNAの構造
糖は全てデオキシリボースと呼ばれるもの1種類。
塩基はA、G、C、T(U)の4種類である。
塩基、糖、リン酸のつながったものをヌクレオチドと呼び基本
単位になっている。
DNAは2本の鎖を縄梯子状にした形でできており足場の部分
には2種の塩基が手をつないだ形になって存在している。
この組み合わせはA-TかG-Cのいずれかに決まっている。
動物の種類によってA―TとG―Cの比率は変っている。
核の直径は5㎛、この中に長さ1.8mのDNAが46本の染色体に
分かれてしまい込まれている。
ピンポン玉の中に1.8kmの紐が入っていると同等である。
収容するためDNAは糸巻きに巻かれ、糸巻きが更に電話のコー
ド状に巻かれ、それが2重、3重巻き取られて収めている。
正に芸術作品である。
ヒトの場合23対の染色体に別れていてタンパク質を作る設計
図として機能し易い構造になっている。
遺伝子のある場所
DNAの鎖の中に設計図が書かれている。鎖の中は設計図―空
白部―設計図―と交互に書かれている。
ヒトの場合遺伝子10万、ゲノムDNAは30億文字となる膨
大なものである。
タンパク質とアミノ酸
アミノ酸はアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH
)を持った化合物である。天然のタンパク質は20種類あるア
ミノ酸が長くつながった形である。
正確にタンパク質をつくるためには厳密な管理システムが必要だ。
DNAの塩基3ケの配列が1ケのアミノ酸設計図になる(例G
AA-グルタミン酸)。
これをコドンと呼び遺伝暗号の最小単位である。
設計だけでなく開始、終了を指示すコドンもある。
この遺伝暗号は全生物共通の信号であるのは不思議な事実である。
細胞を工場にたとえると
レイアウトとしては頭脳として設計図のある核が中心にある。
それを細胞膜で囲まれた細胞質があってここで機械やコンベヤ
ーが働いている。
細胞の中で行われている作業は
(1)ミトコンドリアによってエネルギーを作る。
(2)リボゾームでタンパク質の合成が行われる。
(3)小胞体はできたタンパク質を運搬役としてゴルジ体に運ぶ。
(4)ゴルジ体に運ばれたタンパクはここで糖の鎖を付けられ貯
蔵される。糖タンパクは性質が変り水に溶け易くなるので生体間
を移動し易くなる。
命令通りのタンパク質を作るためDNAの塩基配列をRNAに
コピーしてリボゾームで使い易いようにする。
DNAがたくさんの遺伝子をもっているのに対してRNAは数
ケのタンパク質作成に必要な遺伝子だけを持つ。
RNAの塩基はA,G,C,Uの4種でTがなぜかUになって
いる。核から飛び出したRNAは伝令RNAと呼びこれを基に
タンパク質が作られる。
この伝令RNAの指示に従って20種類あるアミノ酸を順序通
りに運んでくる役割が運搬RNAである。