Kシステム開発の意義ですが、これは単なる間伐した放置残材の低コスト集材法というだけではなく、手入れの遅れた人工林の、木材資源の有効活用と、理想的な森林形態へ再生するための、簡便で安全かつ低コストの森林管理技術をめざしたものといえるかと考えます。
したがってKシステム技術の合理化改善はもちろんですが、その応用に際しては、将来の方向として、事前の人工林全体の管理と、準備が大きな課題になってくるはずです。
その第一は、現在の密植したままの多くの人工林を、徹底的に強度間伐することでしょう。おおまかに言って7割を間伐する。そうすれば残した針葉樹の生育が進み、同時に林床に十分な日が当たって、植樹をしなくても周囲から広葉樹が侵入して、次第に健全な針広混交林を形成します。林床に微生物が増えて土壌が豊かになり、樹勢がさらに高まることでしょう。(参考文献1、2)
第二として、その間伐を実施する際には、最初からKシステムの導入を想定してラインを定め、広範囲に間伐する。そうすれば邪魔な木はなくなり、良木を傷つける心配も小さくなる。間伐する木の抜倒する方向も、引き出しやすいように考える。その切り株も引っかかりしないよう、上下チェーンを分けるように高さを予め決めておく。そして間伐材は十分に葉枯らししてから集材する。
強度間伐は全面的に行い、既存の作業道を利用できる範囲をでKシステムを適用する。作業道から上下のチェーンの長さプラス、ボートウィンチの可動距離が対象になる。作業道はむやみに作らない。急斜面の多い日本では、山を荒らすことが多いからである。しかも作業道はすでにかなり作られているのに、あまり活用されていない。既存の作業道だけでも人工林を施業再生できる範囲は広大である。なおKシステムでも届かないところは、やはり強度間伐して、あとはそのまま放置する。ムリにすべてを引き出すことはせず、そのまま自然にまかせる。
(参考文献1、鋸谷式間伐施業法)
以上の森林管理法は、次の参考文献によりましたが、これらはまだ林業の現場にはあまり知られていないようです。
(参考文献1) 「植えない森づくり」 大内正伸著、農山漁村文化協会。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k column/?p=193
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=249
(参考文献2) 「多種共存の森」 清和研二著、築地書館。
http://www.kuramae-bioenergy.jp/k_column/?p=322