【Ⅰ】竹林の繁殖規模
・栽培竹林 6万ha (出典、日本竹炭竹酢生産者協議会編、「竹炭・竹酢液 作り方生かし方」)マダケ 27% モウソウチク 62% ハチク 0.3%
(注1)孟宗竹は約300年前に中国から輸入されるまでは、日本ではハチクが主流であった。
モウソウチクは、年間に約8.2%ずつ竹林面積を広げて行く。10年後には、約2.2倍の面積に広がる。
(注2)孟宗竹による放置竹林面積は9万ha。(1997年の調査報告による)
自然繁殖による推定面積 20万ha。(2007年推定計算、渡辺)30万ha。(2012年推定計算、渡辺)
(千葉県の人工林:63000haに対し、竹林6000ha 岸本資料)
・放置竹林の原因 タケノコ、栽培 中国製品による日本製の価格競争力の喪失。竹材として【建材、日用品、工芸品、スポーツ用品】などの商品が、プラスチック製品に置き換わり、管理する人が消えた。
【Ⅱ】放置竹林による脅威
・最も進化した竹類は、地下茎と無性生殖によって、急速に他の植物を駆逐する力を持っている。
・静岡県では、茶畑やミカン畑に竹に地下茎が侵入し、竹林の拡大が深刻な問題となっている。
・急斜面の森林が竹林に駆逐されると、地下茎が浅いことで、土砂崩れの災害要因となる。
【Ⅲ】伐採竹の利用策
・竹炭 土壌改良材として認定: 多孔質の特性を活かし、豊富なミネラルによる増収効果。
湿度調節機能: 住宅の床下調湿材。 冷蔵庫・下駄箱のにおい消し。
・竹酢液 酢酸を主に200種類以上の成分。 土地改良。作物の成長促進。殺虫。小動物の忌避剤。
・竹チップ 2~8ミリ程度チップ化し、副材料として、米ぬか、油カス、鶏糞、骨粉など混合。堆肥はC・N比(炭素と窒素の比率)を20以下にするため窒素分の多い副材料を混入する。
・竹粉末 竹に含まれるデンプン、ショ糖などは微生物にとって栄養分となる。土壌改良材としての効果。 【生産作物の栽培効果】が、今後の研究課題となる。
・竹粉末 養鶏用飼料 【鶏卵のビタミンE強化】。 投与量と効果の関連を調査要す。肉用鶏飼料 静岡県中小家畜試験場で、出荷2週間前に与えて腸内環境の改善効果。肉牛飼料 徳島県肉畜試験場、熊本県農業研究所、鹿児島大学農学部畜産学科で、竹材飼料の栄養評価、嗜好性、給与方法など研究を実施中。
【現状までの展望】
事業として経済性の成り立つ「放置竹林の伐採」と「伐採竹の利用」は、成功例が見うけられない。