【竹材の活用問題】竹炭  2012年7月18日    林業システム研究会 渡辺 雅樹          

  【竹材の選定と条件】

・竹は、身近にある手頃なあり余った材料とみられているが「複雑で厄介な材料である」。

・古くから銘竹を扱う竹屋さんは、「竹に三害あり」(割れ、カビ害、虫害)と言う。

・炭材としての竹種の選定は、用途と炭化法に影響し、大変大事な作業の一つである。

・炭材の選定と同時に、適期伐採が必要で、8月中旬から12月上旬頃。(福井県での気候で)

 適期の伐採では含水率5060%、4月伐採では120%(乾燥に2か月を余分に要す)

・炭材にする材料は、モウソウチクが主流で、竹棹が太くて長く肉厚。板状にして炭化する。

【炭化の作業特性】

・1本の竹材を部位によって分けて炭化すること。部位によって含水率の違いがおおきい。

 「地上部1m」:根棹。  「第1枝部まで」:中棹。  「末梢部」:先端棹。

・燃料用の竹炭は、500℃程度(400℃以下が良いとの説もある)で炭化した方が、着火温度が320400℃で使いやすく、燃料として優れている。

・吸着用の竹炭は、5001000℃の炭化温度で、細孔構造に影響させて、吸着対象物質の違いと、「比表面積」の違いができる。複数の化学物質を吸着除去するには、炭化温度の異なる竹炭を、ミックスして用いる。

《考察》上記の特性を十分に考慮した炭化装置と温度管理が必要である。

   簡易な設備や、野焼き方式(その場竹炭)は、燃料用の竹炭利用になる。

【炭化法・装置と概要】  (小規模の炭化、設備)

    ドラム缶窯(横置き式):乾燥竹を80cm長に切断し67時間。火炊き12時間。

    ドラム缶を加工し窯口と煙突をつける。穴を掘ってドラム缶を30cm土で覆う。

    ドラム缶窯(縦置き式):ドラム缶を2/3に切断し、下部に燃焼室を設け煙突をつける。

    1回の量40kg。焚口の過熱2時間。5~8時間、約300℃で炭化。

    円筒状窯(林試式):底面径190cm。高さ190cm。排煙口に煙突10cm×1.5m。4箇所。

    ステンレス製で分解して移動。1部材の重さ3570kg。組立は2人で可能。

    1回の炭化部材1500kgから200kg生産。炭化時間24時間、消化2030時間。

    露天焼き:高温で熱分解(750℃)、やわらかい多孔質のポーラス竹炭(親指大~粉状)。3050アール当たり、10×10mの凹部状の空地を作り、竹材を集積しておく。火つけ後に幹部と枝部を交互に投入。炭化時間は2時間。9割方燃焼後、水で消火。

    伝統的土窯:高品質の炭化法(7001000℃)。水分調整の口焚に2日間。炭化3~5日間。

    自動化機械窯:新潟県(株)熊谷農機製。価格160万円。幅1m、長さ2m、高さ1.5m。

    容量600㍑。灯油燃料、1回に8㍑使用。温度は自動調整。24時間以内に完了。

    可搬式炭化装置:石川県明和工業株。重量4.3t、幅2.45m、長さ3.72m、高さ2.5m。

    処理量:2500㍑。推奨燃料、伐採木、竹など(水分20%以下)化石燃料不要。

    炭化時間:約5時間(立ち上げ~取り出しまで)。明和工業株式会社、カタログ。

(注)データ―出典:【竹炭・竹酢液、作り方生かし方】200410月日本竹炭竹酢液生産者協議会編)

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