「セルロース系原料のバイオマス燃料が、今後本格的に普及して車、発電用燃料
として使用されていくには何が必要なのですか?」
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セルロース系バイオマス原料の普及について
現在バイオ燃料としてブラジルのサトウキビや米国のトウモロコシから
作られるアルコールが有名になっていますが種々問題点をかかえています。
トウモロコシや大豆などは食料との取り合いで燃料にすることに批判を浴びて
います。サトウキビは糖類のため比較的取り扱いが簡単でアルコールにし易い
のですがセルロース一般に関しては一度糖に変換してからアルコールにするた
め複雑な工程が必要になりコストアップになることが難点です。
世界中の学者や企業家がセルロースから直接アルコールに変換してくれる微
生物を発見したり工程を省略するための工夫をこらしたり鋭意取り組み中です。
次にセルロース系バイオ燃料として現時点で最も進んでいるバイオ
エタノールについて検討してみます。
再生可能エネルギーとして普及させる為に重要な事は製造コストを下げる事と
エネルギー生産効率の向上です。
******************* コスト低減 *******************************
(1)日本の場合セルロース系原料として有力なものは木材です。
建築廃材は別として林地残材(間伐材)の集材・運搬コストを下げる工夫が必要です。
(2)製造工程の中では硫酸による糖化工程の合理化が期待されます。
硫酸の代わりに開発されつつある固体酸が使えるようになれば、硫酸回収、排
水処理費用が大幅に削減出来ます。
(3)糖からアルコールへの工程は酵母による方法が主流ですが、生産効率に
優れた新たな酵母も見つかっているようです。
(4)精製工程でも大きなエネルギーを消費しています。
特にエタノールから水を分離する為の蒸留工程で大量の熱が必要です。
改良策として膜分離技術の応用が一つの答えになりそうです。
こうして出来たエタノールを自動車用燃料として使う為には、当面ガソリンに
混合する事になるので混合する為の油槽所の設置等インフラの整備も必要にな
ります。
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以上のような問題がありますが、解決の糸口は見えているようです。
価格競争力については当面国の後押しが必要ですが、石油価格が上昇すればバ
ランスポイントに近づいてくるでしょう。
発電用としては向いていないと思います。原料収集を考慮すると大型発電所向きではありま
せん。
木材で発電を考えるならば、地産地消的な、例えばガス化コジェネ装置のような設備の方が
優れていると考えています。
以上 吉川、福島