マイクロリソース社
微細藻類の大量栽培技術を確立すべく米国と日本で研究
工場建設・生産を行っている。
現在は豊富な技術とスタッフを抱えてこの分野で世界の
トップレベル企業として進んでいる。
藻の種類は三万種類もある。
M社は藻に含まれる有用物質を抽出して健康食品、薬品
など高付加価値の製品にして販売している。
製品の代表的なもの
アスタキサンチン:1kg150万円もする抗酸化剤
ボツリオコツカス:石油を生成する
T-12(雪藻):アラキドン酸/医薬品・健康食品
ヘマトコッカス:カニ、紅シャケに含まれる赤色の起源
/抗酸化力のある健康食品
将来展望
藻の有用成分を抽出した後の8~9割は残渣として残る。
これを家畜の飼料や農業の肥料、バイオ燃料等に活用で
きるので新たな展開が期待できる。
地方でやることにより新地場産業の発掘、雇用の場の確
保等夢を生むことも可能である。
微細藻の栽培の原理
炭酸ガスを食料に光合成により藻を濃縮栽培し有用成分
を抽出する。
栽培には屋外でやる方式と室内方式の2つがある。
屋外培養方式
屋外培養は太陽光を利用するので電気代が安いとか建物
が不要なので初期投資が少なくて済むといった利点があ
る。しかし天候の影響を受けるため培養液の温度等環境
管理が難しい。
密閉できないので溶液の汚染が発生するといった問題点
がある。
(1) 池培養:以前の主流で広大な浅い池に液をぐるぐる
回しながら培養する。池を浅くしないと太陽光が届
かない。逆に浅いため底から炭酸ガスを注入しても
逃げ出す量が多くなる。クロレラ、スピルリナなど
はこの方法で作っている。
(2) チューブ方式:ガラスやプラスチックのパイプ内を
培養液が循環するタイプ。チューブの底に沈殿物が
堆積する/光合成が活発にでき酸素濃度が上がって
しまう/水冷するためのコストがかかる等の問題点
がある。
(3) ドーム方式:半球形で直径120cmと110cmのアクリル
のドームを重ねてその隙間に培養液を流す。外から
太陽光を内側からは蛍光灯で光を供給する。天候の
影響に左右されない利点がある。液はドームの壁の
中を循環している。
室内培養方式
建物の中に装置や器具を入れるので初期投資が必要で
ある。
蛍光灯などの照明が必要になるので電気代がかかる。
(1) パネル方式:藻類の沈殿が発生しバクテリアが長
期間の栽培を困難にする。
(2) ステンレスタンク方式:タンクの中に多数のカバ
ーを付けた蛍光灯を入れて培養液につける。
ロト状に絞り込んだ下部から炭酸ガス空気を供給
し攪拌するので沈殿を防止できる。タンク自体を
外部から冷却することができる。しかし蛍光灯の
メンテナンスが難しいという問題がある。
マイクロリソース社はこの方式で光源設置方法の
改善、ミキシング方法の強化など改善を加え生産
性を向上した新技術を提案している。
実験設備としては各種方法があり研究に使われているが
長期間継続し、生産性を高める企業化には乗り越え
るべき課題が多い。生き物を相手にするため常に監
視し、その時の状況に合った対応策をとる必要があ
る。
クロレラの例からも培養にコストがかかるので高く
売れるものでないとペイしない。残渣を活用してバ
イオ燃料にする話は可能だがこれを目的で藻の栽培
は困難であろう。
というのがM社の意見である。
培養装置のブレークスルー技術
a.安定した光の供給・・・・・層が深い場合や、液
の密度が濃いと光が届かなくなる
b.炭酸ガスの供給:充分な反応時間が必要である
c.培養液の温度管理と外からの異物侵入防止・・・
藻の付着や沈殿をいかにふせぐか?
培養液が攪拌した状態でないと藻類が沈殿してバク
テリアを繁殖する
d.光合成が進みすぎると酸素が過剰になる。
問題は多いが障害を乗り越えれば色々な夢が実現でき
そうで前向きに取り組む必要があろう。