1次エネルギーの種類、呼び方について統一的な定義がなされていないので使う人によって様々な言葉が使われている。
対象は石油、石炭、天然ガスなどの化石エネルギーに対する「非化石エネルギー(原子力を除く)」を総称する言葉である。
再生可能エネルギー、持続可能エネルギー、自然エネルギー、クリーンエネルギーなどの呼び方で,バラバラに使われているのが現状である。
再生可能エネルギー (renewable energy)
化石燃料以外の自然系エネルギーはほとんどのものがこれに含まれている。言葉の定義「再生renewal」:そのままでは働かない状態からまた働く状態になる、あるいはするという意味である。
太陽光から光合成により植物を作り出しこの炭素を燃してエネルギーを得るバイオマスは再生エネルギーの典型的なものである。
* 一般に含まれている太陽光発電は再生エネルギーか?
太陽光を直接取り込む太陽光発電を再生と定義するのは言葉の意味から困難である。
*風力や水力はどうか?
太陽や地球は巨大すぎるエネルギーを人類に与えている。その光や熱が空気や水に作用して環境を変え、運動や位置のエネルギーに変化することによって水力や風力発電を生んで電気を作っている。太陽光や地熱などがエネルギーの元になってはいるが環境全体の複雑な動きの中で生じる動力であって再生と定義するのは難しいのではないか。
持続可能エネルギー (sustainable energy)
持続可能エネルギーは将来の世代のニーズを侵すことなく現在のニーズを充足することができるエネルギーで、再生可能エネルギーと、エネルギー効率の二要素がある。資源の枯渇なしに持続的に利用可能なエネルギーのことで大部分の自然エネルギーをこの定義に含めている。エネルギーは我々の周囲に溢れているが取り出す手段や利用する効率に問題があるため化石資源の利用が進む中では注目されてこなかった。
自然エネルギー(natural energy)とクリーンエネルギー(clean energy)
自然エネルギーは光、水力、風力など自然界から得られる動力をベースに得られるもので現在使われている再生エネルギーと同等の意味合いを持っている。
クリーンエネルギーは一般的に電気、ガス、炭など2次エネルギーに使われていて排ガスが出るか否か、それがクリ-ンかどうかになどの識別に供されている。
1次エネルギーの分類に使うのは複雑になるのでやめるべきである。
エネルギーの呼び方の提言
以上、検討してきたように非化石エネルギーの呼称について次のように改めたい。
(1)「再生エネルギー」の定義:バイオマス由来エネルギーに限定する。
(2)太陽光、風力、水力、地熱など自然界からの動力は「自然エネルギー」と呼ぶ。
(3)「持続可能エネルギー」現在の定義と同じとしその意味するところは「自然エネルギー」+「エネルギー効率」の2つの内容を持っていて次世代に影響を残さないエネルギー使用のことである。
これらの定義に基づいた1次エネルギーの名称にし、現在多用されている
「再生エネルギー」は「自然エネルギー」に名称を変更する。
以上 記 福島 巖 2011年3月25日