「バイオマス発電」の優遇政策の提案

小規模分散型エネルギーバイオマス発電に関して

地域の活性化の産業として、林業、農業の副産物である廃棄物を
バイオマスのエネルギー源として利用する技術の開発と普及促進が期待されている。
このたび閣議決定された『再生可能エネルギー発電の全量買取り制度』は、一定の効果を産む制度として期待できるが、バイオマス発電に対しては不十分な内容となっている。

 

  【狙いと手段】

政府原案では、バイオマス発電の固定買取り価格を20円/KWhとしているが、大型施設のバイオマス発電にとっては、効果のある優遇政策である。大きな懸案となっている「林地残材」の未利用資源を、奥深い山林から集材運搬して大量に集めることには困難が伴う。このままでは、大型発電施設のバイオマス原料は、海外からの輸入品に依存する事になる。本来の狙いである、『地域産業の振興』には、効果が期待できないと危惧される。それゆえに、集材に利便な地域に立地する『小規模なバイオマス発電施設』を、一段と有利な買取り価格で優遇することが、本来の目的に沿った制度となる。
また、バイオマス発電は熱利用を併用することで、本当の効果的な資源利用となる。『熱電併給のバイオマス発電』をさらに二段階有利な買取り価格で優遇するべきである。

 【具体的制度の提案】

政府原案に加えて、次の条件に該当するバイオマス発電は、上乗せ買取り価格とする。

・バイオマス発電: 20円/KWh。
  原産地の森林保全に最大限の配慮が実施されていること。

・小規模バイオマス発電:  30円/KWh。
  発電所周辺の100km以内の原材料に限る。

 ・熱利用併用バイオマス発電:40円/KWh。  同上。
 優遇対象になる施設の付帯条件は、地域自治体の条例によって、追加することができる。


 【上乗せ買取り価格の理由・説明】

・政府目標である2020年の国内産木材利用率50%を達成するためにも、国内の林業への最大限の支援をすると同時に、林地残材(林野庁データ*2000万m3)の徹底利用をはかる。その最有力な利用技術は
   『小規模分散型・熱電併用バイオマス発電』である。

・手入れ不足人工林の間伐材、林地残材の利用にあたっては、地域に多くの雇用機会を産み、地元に密着した小規模発電所によって、地元産業に収益確保の機会をもたらす。また、熱利用の産業を引き寄せる効果を生み出し、地域活性化に貢献できる。 

【優遇買取りの期間】

 ・揺籃期にある小規模バイオマス発電と関連技術への研究開発投資を引き出す「インセンティブ」とするために、10年間の固定上乗せ優遇制度とする。(3年から5年毎の見直し。)

・制度の効果による技術開発の促進度、普及度合いを調査し、継続、減額、廃止の見直しを実施。

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