日本のバイオマスエネルギー開発はなぜ進まないのか? 渡邊 雅樹

今回の「藻サミットからの報告」「各国のバイオ燃料事情」のレポートを拝見して、これからのバイオマスエネルギーの無限の可能性を感じさせる各国の動きを感じ取ることができました。日本でも動きを加速させるべきだと感じました

確かに現状では、バイオマスエネルギーは、クズ、廃棄物利用の片隅産業に思われ技術開発促進の動きはほとんど見受けられません。この状況をみて、20年ほど前の太陽光発電に関する技術開発と事業化に対する、「思い入れの強いメンバーの会合」に出た時を思い出しました。当時の太陽光発電技術はまだ揺籃期にあり、1キロワットの設備で600万円という高価なものでした。常識的な人から見れば、事業になるなどとはほど遠い状況で、「オタクの発電技術」と悪口を言われていた段階です。
今では、日本でも1キロワット60万円を切るレベルになり、世界ではもっ
とコスト
ダウンが進み、太陽光に恵まれた日照条件の良いところでは、事業性が十分なレベルです。さらに、技術の進化により、1キロワット時の電力コストが、化石燃料発電のコストを下回る時代が来るのは、時間の問題となりました。これには、日本の技術者、事業者、政策担当者の、限りない熱意と積み上げのプロセスがあったことは、今では良く知られる様になりました。
一方、バイオマスエネルギー、特に、「藻類の栽培によるエネルギー化」については、レポートにあります様に、多くの国の取組も始まっている様ですが、現状では技術も未開拓の分野であるので、生産コスト、事業性は、まったく成り立たない状況です。 しかし、取組をしているかどうかが最初の段階では重要ですが、日本は全く立ち止まっている状況に等しい。太陽光発電技術が成長産業になるのに、20年くらいかかっていますが、藻類からの「バイオ燃料技術」「エネルギー利用技術」は、その半分以下の期間で成長産業に発展する可能性が大きい。 これほど可能性の高い産業分野に、日本のエネルギー関係者はもっともっと関心をもってよいと思います。        渡邊 雅樹

藻サミットからの報告

アリゾナで開かれた今年の藻バイオマス・サミットは、藻に対する過剰な期待を批判した去年とは対照的に楽観論が支配した。理由は業界の協力ムードが高まったことと、大手の参入が始まったことである。しかし全体的には大手や一般の関心を引くための会議に終わった。
今後の動向には2012年に終わる現行農業法に代わる新法の審議の帰趨が影響する。
 
                                       
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