今アメリカでは藻の研究が盛んである。
テキサス大学、テネッシー大学等で学んだ者等がベンチャーを作りそれを資産家、大会社がサポートしている。
このビジネスに約30社が挑戦しており、2014年にはディーゼルのコスト25円l、生産量600万klに達成目標を設定している。藻に注目が集まるにはその成長性が高いことと炭酸ガスと水、光を利用してハイドロカーボン(油)を生産できる可能性があるからである。
日本でも数は少ないが藻の培養を研究し油の獲得と炭酸ガス削減を目指して挑戦している企業・大学・ベンチャーがある。新聞情報によると沖縄電力・ユーグレナ(ベンチャー)はユーグレナ(Euglenophyceae;通称ミドリムシ)を培養して電力会社の炭酸ガス減
らすことを試みている。
(株)デンソー・慶応大学先端生命科学研究所・(株)海洋バイオテクノロジーは藻(Pseudochoricystis ellipsordea)の培養を研究し、油の生産効率を上げることを試み生産まで計画している。
電力中央研究所エネルギー技術研究所は「アオコ」から油を取る研究を実施している。
筑波大学生命環境科学研究科の渡邉信教授は、自分が実施していた藻の研究と、詳しいエンジニアリングデータ、それに基づく計算結果をBio Fuels World 2009で報告した。
それによると種々の植物での比較では、油の場合でトウモロコシ0.2t/ha, 大豆0.5t/ha, アブラヤシ6.0t/ha であるのに対して藻の場合は47-140t/haあり土地利用効率がよい。その中で淡水に生える藻であるBotryococcus brauniiでは油成分である炭化水素を乾燥重量の20-75%含む事が分かってきた。
今日本には不作地、耕作放棄地が30万haあると推定されている。そしてこの30万haで本システムが投入されれば、3540万t-oil/年が取れる計算になる。容量では約4400万klになる。平成21年に石油の輸入量は2億1200万klであり、もし藻の培養が出来れば20%の石油の調達ができることになる。
今日本政府は温暖化を止めるために炭酸ガス発生を25%(1990年度に対して)減少すると公約した。既存の経済界では生産活動が活発になれば炭酸ガスが多く発生するが、
藻の場合は培養スタートすると炭酸ガスが減少する。培養の副原料、ユーティリティー等から炭酸ガスが発生するが、それを差し引いても30万haの場合では約7800万t-CO2 /年の炭酸ガスが吸収消費されることになる。2007年ではCO2 発生は世界で289億トンであり、日本では11.5億トン(4%)である。炭酸ガスの2007年の発生の7%を減少することになり、政府の目標の25%減少の3割を藻(Botryococcus)の培養で達成できることになる。
しかしこの技術を実現するためにはたくさんの克服するべき課題がある。各プロジェクトは低コストで藻を栽培するという主課題に向かけ努力し、健闘中である。目標値が早く達成できるよう応援したい。